今季J1移籍組の成否判定…期待以上の活躍だった5選手は? GK谷ら代表クラスの苦戦も【コラム】

期待以上の活躍をした5人、厳しいシーズンとなった3人をピックアップ

今シーズンもJ1では、さまざまな選手がチームを変え新たな地での挑戦を試みた。「FOOTBALL ZONE」では、「Jリーグ通信簿」の特集を展開し、2023シーズンに籍を移した選手に絞り“期待以上&期待外れ”だった選手をピックアップ。それぞれの過ごしたシーズンを振り返る。(文=河治良幸)

【動画】オフサイド判定が妥当? 大迫勇也がリーグ優勝を手繰り寄せる決勝ゴールを決めた瞬間

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【期待以上】

■FWキャスパー・ユンカー(浦和レッズ名古屋グランパス

成績:リーグ戦33試合出場/16得点

浦和レッズから期限付き移籍で加入したが、大迫勇也(神戸)、アンデルソン・ロペス(マリノス)に次ぐリーグ3位の16得点を記録。文字通り名古屋のエースとなった。何より良い意味での驚きが、目立った怪我なくフルシーズン戦えたこと。浦和でも好調時の得点力は高かったが、コンディションの安定が新天地でのパフォーマンスにつながったことは間違いない。基本的には選手に攻守のハードワークを求める長谷川健太監督だが、ユンカーにはゴールに最も近いところでフィニッシュに体力と意識を向けられるバランスや周囲のサポート環境を構築したことも大きい。

■MF佐野海舟(FC町田ゼルビア→鹿島アントラーズ)

成績:リーグ戦27試合出場/1得点

昇格する前のJ2・FC町田ゼルビアから加入してきたが、開幕当初から岩政大樹監督が“近い将来、必ず日本代表に呼ばれるタレント”として期待を懸けて使い続けたとおり、11月に追加招集されると、2次予選のミャンマー戦でA代表デビューした。中盤でボールを奪う能力は町田時代から高く、怪我で離脱するまでの期間で1試合あたりのボール奪取数は1位だった。鹿島では奪ったボールを効果的につなぐ意識が高まった。さらに前で決定的なパスやシュートを繰り出せるようになれば、さらなる飛躍が見えてくる。

■DF本多勇喜(京都サンガF.C.→ヴィッセル神戸)

成績:リーグ戦32試合出場/0得点

今シーズン最大のサプライズと言っていい。名古屋でプロのキャリアをスタートさせたが、京都サンガF.C.時代にはJ2で6シーズン過ごし、J1に昇格した昨シーズンは浦和から期限付き移籍で在籍していた荻原拓也の影に隠れる存在だった。

その京都を契約満了となり、完全移籍してきた32歳のDFは菊池流帆の負傷など、台所事情が苦しくなったディフェンスにおいて、センターバックとサイドバックでフル稼働。神戸はMVPに輝いた大迫勇也を筆頭に、武藤嘉紀、酒井高徳、山口蛍、そして途中で離脱となったが齊藤未月というリーダーシップもあるビッグネームが主軸であることは間違いないが、この本多をはじめとした“汗かき役”の奮闘なしに、クラブ初のリーグ優勝は語れない。

■MF紺野和也(FC東京→アビスパ福岡)

成績:リーグ戦29試合出場/5得点

日本代表の森保一監督も注目する気鋭のドリブラー。特別指定から4年プレーしたFC東京ではジョーカーとしての役回りが多かったが、アビスパ福岡では長谷部茂利監督の信頼を得て、主にスタメンでチームの攻撃を引っ張る存在に。右サイドから左利きの特性を生かしたカットインや鋭く切り込む突破で、堅守速攻をベースとしたチームに攻撃のエネルギーを加えた。ルヴァンカップの決勝では浦和を相手に見事な活躍で、優勝に貢献。フィニッシュワークの精度に磨きを掛ければ、5得点4アシストという結果を大きく上回るポテンシャルがある。

■MF浅野雄也(サンフレッチェ広島→北海道コンサドーレ札幌)

成績:リーグ戦34試合出場/12得点

サンフレッチェ広島から加入してチーム最多の12得点。第9節の福岡戦ではスーパーゴールが不運にも取り消されるアクシデントを経験したが、前向きに乗り切る明るさも新天地での活躍につながったはず。終盤戦には欧州移籍した金子拓郎に代わり、右サイドで起用されながら、大事なところでゴール前に顔を出して、得点に絡んだ。そのポリバレントぶりにはミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)も大いに助けられたはずだが、もちろん本来は2シャドーの一角でプレーした方が、より攻撃センスを生かせるだろう。来シーズンはチームの順位を大きく上げて、ベスト11に選ばれるぐらいの活躍を期待したい。

代表経歴のある昌子、谷らが苦戦

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