今季限りで退団のG大阪DF藤春広輝「当たり前がいきなりなくなるのはやはり寂しい」満員サポに感謝
◇明治安田生命J1リーグ第34節 G大阪0-1神戸(2023年12月3日 パナソニックスタジアム吹田)
クラブ一筋13年の快速サイドバックが、最後のパナスタを噛み締めた。G大阪DF藤春広輝(35)は後半40分から出場。「個人的には13年間を締めくくれたんじゃないかと思う」。何度も左サイドをアップダウンし、後半アディショナルタイムには相手ゴール前まで侵入。わずか10分足らずだったが、今できる最大限を表現した。
試合前、電光掲示板で自身の名前がコールされるとスタジアムが一際沸いた。途中出場でピッチに入る際には万雷の拍手を浴びた。試合後には何度もチャント(応援歌)を歌ってくれた。チームメートからは背番号にちなんで4回胴上げされた。
「今までここで試合するのが当たり前だったけど“もうここでできないんだ”というのがあった。当たり前がいきなりなくなるというのはやはり寂しい」
だから涙を流しながら声を振り絞って、サポーターへ伝えた。
「皆さん(サポーター)のことが大好きです!!」
プロ初スタメンとなった11年5月15日・福岡戦。試合前日には緊張のあまり腹痛を起こしたが、背中を押してくれたサポーターへの感謝は尽きない。また13年間、育ててくれた愛するクラブへの感謝も深いからこそ願う。
「ガンバはこういう順位(16位)にいたらいけないチーム。7連敗とかするようなチームでもない。素晴らしい選手がいっぱいそろっている。優勝、タイトルが取れるチームにまた戻ってほしい」
苦しい時ほど誰よりも走った。試合に出られなくても、練習で手を一切抜かなかった。そして14年の3冠、15年の天皇杯…クラブが獲得した計9個のタイトルのうち4つに貢献した。その“魂”は受け継いでいかなければいけない。