G大阪DF藤春廣輝が今季限りで退団へ ガンバひと筋13年 左サイド支えたスピードスターが別れ
G大阪の元日本代表DF藤春広輝(35)が、今季限りで退団することがわかった。今季のJ1出場は1試合(ルヴァン杯3試合)のみ。近年左サイドバックのポジションはDF黒川圭介(26)がレギュラーを奪い、来季は法政大からDF今野息吹(22)が加入し、さらに世代交代が進行。2011年に加入し、13年の長きにわたってG大阪の左サイドを支えてきたスピードスターが、青黒のユニホームに別れを告げる。
東海大仰星高、大阪体育大を経てG大阪に加入した藤春。当初クラブは別の左サイドバックを狙っていたが、その選手が他チームを選んだことで、抜群のスピードを持つ藤春を獲得した。11年、西野朗監督が率いたプロ1年目から出場機会をつかんだ藤春は、2年目からスピードを生かした攻撃参加を武器にレギュラーを獲得。14年にはG大阪の3冠獲得に貢献し、15年には日本代表にも選出された。16年にはリオ五輪にオーバーエージとして出場。しかし1次リーグのコロンビア戦でオウンゴールを記録するなど、悔しい結果となった。
日本代表ではDF長友佑都=現FC東京=の牙城を崩すことはできなかったが、G大阪では13年にも渡ってチームを支えた。年齢を重ね、そのスピードは攻撃のみならず守備のカバーリングにも生かされるように。近年は負傷も増えたが、スタメンを外れても変わらず全力でトレーニングに取り組む姿勢は、後輩たちにも影響を与えた。またポジションを争うライバルの黒川に対しても、常に助言を送るなど、その人柄もチームメートから愛された。
今季のリーグ戦先発は、黒川が出場停止だった8月6日・川崎戦のみ。約11か月ぶりの先発出場で、勝利につながるワンプレーを見せた。3―3の後半アディショナルタイム。最前線で相手DFにプレスに向かいミスを誘い、劣勢の中でCKを獲得。これが決勝ゴールにつながった。「あの時間帯にいけたのは、昔から最後まで走り抜く、ということをやってきた積み重ね」と語ったプレーからつかんだ勝ち点3が、残留争いに巻き込まれた最終盤に効いた。
司令塔のMF遠藤保仁、同い年のMF倉田秋と構成する左サイドは、長きにわたってG大阪のストロングポイントとして、相手チームの脅威となった。黙々と仕事をこなし、足がつってもチームのために走り抜くスタイルは年齢を重ねても変わらず、多くのサポーターにも愛された。「おれ、ガンバがめっちゃ好きなんですよ」と“ガンバ愛”を隠さなかったG大阪史上最高の左サイドバック。12月3日の神戸戦(パナスタ)で愛するクラブ、そしてサポーターに別れを告げる。