【番記者の視点】大阪ダービー5連敗招いたG大阪の守備のズレ リーグワースト2位55失点の改善が必須
◆明治安田生命J1リーグ▽第31節 C大阪1―0G大阪(28日・ヨドコウ)
【G大阪担当・金川誉】小さなズレが、大阪ダービーへアクセル全開で臨もうとした選手達にブレーキをかけたように見えた。「前半の最初の入りで少しズレが生じ、そこのところで失点したのが非常に響いたかなと思っています」。ポヤトス監督は会見冒頭、そう切り出した。順位や立場に関係なく、局面での強度が上がるC大阪戦。しかしこの日の前半、選手達は守備の狙いが定まらず、強度を上げたくとも上げられない状況に陥っていた。
準備してきた守備の狙いがはまらなかったことが理由だ。C大阪の2センターバックに対し、FWジェバリがパスコースをサイドに限定しながらプレッシャーをかけていくプランで入ったが、立ち上がりから守備のスイッチが入らず。前半8分にはC大阪DF鳥海にフリーで持ち運ばれ、タイミングよく差し込まれた縦パスから先制点を許した。小さく見えたズレが、試合を決める1点につながってしまった。
後半はボールこそ握ったが、3試合連続の無得点。指揮官は「最後決めきる正確性が欠けていた」と嘆いたが、シュートわずか4本で相手を崩したと言えるような場面もほとんどなかった。攻守ともに課題はあるが、選手達からは攻撃以上に「守備を何とかしないと」というニュアンスの声が多く聞かれた。
GK東口は「いい守備ができていないから、いい攻撃もできない。どのチームを見ても強度は高くなってきている中で、うちはどうかなと思うし、そこは全員でもっと強度を上げていかないと」と語る。またMF山本は「守備のやり方を合わせることが大事。後半に修正が入れば、やられることはほとんどなかった。守備が最重要課題。強度を出せる選手もいるので、そこでリズムが出ないのが苦しい」と説く。シーズン中盤、8戦負けなし(7勝1分け)と好調を誇った時期と比較し、守備の狙いが共有できていない現状の課題を指摘した。
すでに来季の続投が決まったポヤトス監督の下、今季のG大阪はボールを動かし、攻撃的に戦うチームとしての下地を作ったと言える。しかし失点数はリーグワースト2位の55失点。過去のJ1リーグ10年間を見ると、50失点以上を喫してトップ5に入ったチームはない。守備の整備が進まなければ、来季の躍進を夢見ることすらできない。大阪ダービー史上初の5連敗(リーグ戦)をただの汚点として終わらせないためにも、残り3試合で何とか改善の兆しをつかみたいところだ。