代表戦3試合で3ゴール!日本代表・中村敬斗が語る「自分でも、いま波に乗っている感じがします」

「日本代表で活躍すると反響のケタが違います。友人や知人からのお祝いの連絡はもちろん、SNSにもたくさんのメッセージをもらいました。代表戦3試合で3得点。デビュー戦となった3月のウルグアイ戦は残り1分からの途中出場で5分も出ていないし、6月のエルサルバドル戦は後半45分、9月のトルコ戦は前半45分のみの出場でしたから、″ほぼ90分″で3点です(笑)。自信にはなりますが、いまの代表はレベルの高い選手が揃っていて、自分はまだまだ当落線上のひとり。代表定着に向け、頑張るだけです」

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昨季、オーストリア1部のLASKリンツで17ゴールを挙げて、今夏にはフランス1部のスタッド・ランスへの移籍を勝ち取るなど、カタールW杯後に森保ジャパンで台頭してきた新星は、早々に期待に応えた。なかでも出色だったのは9月12日のトルコとの国際親善試合だ。

中村敬斗(けいと)(23)は左MFとして先発すると、久保建英(たけふさ)(22)のシュートのこぼれ球を詰めて1点、毎熊晟矢(まいくませいや)(25)の右クロスに合わせDFの股を抜いて2点目を奪ったのだ。いずれも「狙い通り」だったと中村は振り返る。

「1点目はタケ(久保)のシュートの軌道を見て、絶対にこぼれてくると思っていました。2点目は――DFの股下を狙うのは僕の得意な形なんです」

幼稚園の年長だった’06年にドイツW杯を見て、日本代表に憧れたという中村。実際にチームの中に入ってみると「楽しみしかない」と笑う。

「だって、代表の紅白戦でマッチアップするのが、リバプールの遠藤航(わたる)選手(30)やアーセナルの冨安健洋(たけひろ)選手(24)、ボルシアMGの板倉滉(こう)選手(26)だったりするわけですよ。しかも、自分と同じポジションには三笘薫選手(26)がいる。僕が三笘さんと同じ左MFを定位置としていることで(ポジションを争うため)可哀そうだと言われることもありますが、光栄でしかない。だって、そのポジションで世界の5本の指に入っているような三笘さんのプレーを目の前で見られて、一緒に練習できてアドバイスまでもらえる。こんな最高な環境ないですよ!」

代表で親しくしている選手はいるかと尋ねると、真っ先にGK中村航輔(28)の名前が挙がった。同じ苗字だが、代表入り直後からイケメンすぎると甘いルックスでも話題のアタッカーと、坊主頭にひげを蓄えたワイルドな守護神の組み合わせは少し意外にも思える。

「古橋亨梧(きょうご)選手(28)や同世代のタケやユキナリ(菅原由勢(ゆきなり)・23)とか、みんな仲がいいですよ。でも、航輔くんとは6月に代表で一緒になってから肌感覚が合うっていうか。なんか、話したりしたときに不思議とこの人とフィーリングが合うなって人いますよね?(笑)」

新天地でのスタッド・ランスでは開幕以降、5試合に出場。9月17日のブレスト戦ではヘディングで初アシストもマークしている。

まだ10代だった’19年にガンバ大阪からオランダ1部のトゥベンテに期限付き移籍し、ベルギー1部のシント=トロイデン、オーストリア2部のジュニアーズ、同1部のLASKと渡り歩いてきたが、欧州5大リーグのひとつ、フランス1部でのプレーは新たな挑戦となる。

「速さや技術など全体的なレベルは昨季まで所属していたオーストリア1部と比較して、1段階上な気はします。ただ、実際にピッチに入れば同じサッカーですし、そこまで大きな差は感じない。移籍したばかりのころは、今回に限らず、ストレスやプレッシャーが多い。新しい環境で新たな監督や仲間とイチから関係を築くわけですから。いまはランスに来て約1ヵ月が過ぎて、ようやく慣れてきたところ。トルコ戦で2点取れたことで、ランスのチームメートからも認めてもらえたような気がします。フィーリングはいいですし、自分自身も波に乗っている感じがするし、これからチームに貢献していければと思っています」

スタッド・ランスでは、代表の先輩でもある伊東純也(30)とチームメートであることで、馴染みやすかったという。

「代表チームでは1~2回しか会ったことがなかったので、最初は緊張しましたよ(笑)。ましてや僕は代表では新入りなのに、純也くんはエース格ですから。普段の純也くんは飄々(ひょうひょう)としているというか、クールでカッコいいんですけど、食事に誘ってくれたり、めちゃくちゃ優しい。チームにも純也くんという良いお手本がいるのはマジで最高な環境だと思います」

まだ23歳ながら、海外での暮らしはすでに5年目。フランスでの生活にも不安はないという。ただ、海外組には付き物の「引っ越しだけは苦手」だと笑う。

「移籍は急に決まることもあって、結構弾丸。ここランスでも、まだ家に入居できていなくて、ホテル暮らしですから。欧州では家具付きの物件も多いですが、できれば家具は自分で揃えたい。変なところで潔癖症で、誰がどう使っていたかわからないベッドだと、百パーセントゆっくり寝られない。シント=トロイデンのときなんてIKEAで家具を揃えて、ベッドも自分で組み立てましたからね。半年で移籍しちゃいましたけど(笑)」

アンダー世代から国際経験を重ね、A代表でも定着に向け着々と歩みを進める中村のキャリアは一見、順調に見える。

ただ、海外2年目のシント=トロイデン時代はベンチに入れない時期が続き、故障も重なって練習すらできない日々を過ごした。当時はG大阪からの期限付き移籍だったことで復帰も打診された。

だが、中村は欧州での戦いにこだわって、’21年2月にLASKのセカンドチームに当たるジュニアーズへ移籍。結果的に、この判断が功を奏した。同年夏にLASKの完全移籍を勝ち取り、昨季の好成績につながったのだ。

「プロとしてやっていける手応えを掴んだのは、正直、去年のLASKが初めて。僕にとってはもうあとがなかったし、どうしても結果が必要だったんです」

11月には’26年の北中米W杯に向けた予選がスタートする。今後の目標を聞くと、「代表定着」と中村は即答した。

「世の中、自分の思った通りにいくことばかりじゃないので、まずは足下をしっかり見てやっていきたい」

マスクは甘いが、サッカーに対する姿勢は堅実。しっかり地に足がついている。悲願のW杯ベスト8入りに向けて、頼もしいアタッカーが代表に加わった。

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