「そして3つになった」悪循環の横浜FC、湘南ベルマーレの低迷と好転の柏レイソル【英国人の視点】

来季より明治安田生命J1リーグが20クラブに拡張されることに伴い、降格枠は最下位1クラブに絞られた。今季も残すところあと6節。来季もJ1で戦う資格を得るのはどのチームなのか。下位3チームの直近の動向を整理しつつ、クライマックスを展望する。(取材・文:ショーン・キャロル)

【Jリーグ順位表】2023シーズン明治安田生命J1リーグ

●残留争いの主役は3チームに

そして3つになった。

J1も残り6試合。「争い」というと少し語弊があるかもしれないが、降格をめぐる争いは3クラブに絞られた。クライマックスに近づく中で、柏レイソルは下位3クラブの中で最も健闘していると言えるだろう。

湘南ベルマーレはここ22試合でわずか2勝しか挙げておらず、勝ち点21で最下位に沈んでいる。また、17位の横浜FCもここ14試合でわずか2勝しか挙げておらず、湘南との勝ち点差は1(得失点差は横浜FCが7下回る)しかない。

この2クラブは先週末も敗れている。横浜FCはアウェイでアルビレックス新潟に1-3で敗れ、湘南は“ホーム”の国立競技場で川崎フロンターレに0-2で敗れた。両チームともすぐにでも調子を上げられないようなら、最終節の直前、第33節の直接対決が運命を決める降格決定戦になるかもしれない。

横浜FCは最悪のスタートを切り、最初の10試合で1度も勝てなかった。周囲からはほとんど見放されるような状況だったが、5月に5試合で3勝と復活の兆しを見せ、16位まで順位を上げ、明るい未来が待っていることを予感させた。

しかし、四方田修平監督が率いるチームの期待は、梅雨の雨に流されるように打ち砕かれた。5月28日にアウェイでセレッソ大阪に2-0と完敗。それ以来は前述したとおり、たった2勝と低迷が続いている。

●湘南ベルマーレの低迷と好転した柏レイソル

湘南のシーズンは、開幕節のサガン鳥栖戦で大橋祐紀がハットトリックを達成し、5-1と大勝したことで、かなりポジティブなスタートを切った。しかし、その後の20試合で勝利できたのは1度だけで、6月24日にはレモンガススタジアム平塚で6-0と大敗して、開幕節のリベンジを食らってしまい、順位表の一番下に沈んでいる。

山口智監督率いるチームは、9月16日にアウェイで北海道コンサドーレ札幌と対戦し、1-0の値千金の勝利を収めた。アウェイでの勝利は開幕節で鳥栖に勝利して以来となったが、ホームでの成績は芳しくなく、エイプリルフールのガンバ大阪戦と8月5日のサンフレッチェ広島戦の2勝のみだ。

下から3番目の柏も2023シーズンは21試合でわずか2勝というスタートだったが、(コーチから監督に昇格した)井原正巳がチームを安定させ、6試合負けなしという記録へと導いたことで、ここ数カ月で状況は少し好転している。とはいえ、直近の先週土曜日は、ホームで好調のアビスパ福岡と対戦し、1-3の逆転負けを喫している。

それでも、タイトルを狙う横浜F・マリノスや苦戦を強いられている横浜FCに勝利するなど、この好調な時期に稼いだ勝ち点12は、レイソルに余裕を与え、降格圏内から勝ち点5差のリードを保持している。実際、9月17日にニッパツ三ツ沢球技場で行なわれた横浜FC戦では後半に調子を落としたものの、前半45分で勝利に近かったのはレイソルだった。

●「悪循環に陥った」横浜FC

四方田監督は前半の45分間でチームが消極的なプレーを見せたことを風のせいにした。しかし、レイソルの選手は五分五分のシチュエーションに素早く対応し、前線から後方まではるかに意欲的に見えた。横浜FCの選手たちが相手を封じるのが遅かったことの言い訳にはならなかった。

伊藤翔は1-2で敗れた試合後にこう話している。

「(敗因は)いろいろあると思う。前半は風下だったこともあって、ボールが飛ばない。攻めづらさを感じて若干受けに回ってしまった。ディフェンスラインが下がって事故が起きる、それで失点して相手が元気になる。そういう悪循環に陥ってしまったので、悪いところが全部出た前半だったと思います」

永井堅梧も同様に、レイソル戦の立ち上がりを悔やんだ。

「もちろんメンタル面も大事ですけど、今日の前半の戦い方をポジティブに捉えることはできないので、その部分を修正して次の新潟戦に向かっていけたらいい」

その6日後、横浜FCはセンセーショナルなスタイルを見せた。山下諒也がその猛烈なスピードで裏へ抜け出し、わずか56秒後に小島亨介のゴールに迫ったが、ピッチの揺れやマイケル・ジェームズのプレッシャーに躓き、結局は決定的なシュートを放つことはできなかった。

その5分後、三戸瞬介は素晴らしいファーストタッチでンドゥカ・ボニフェスのマークを外し、GK永井の牙城を突き破るシュートを放ち、新潟を先制した。

横浜FCは25分にユーリ・ララが同点に追いついたが、新潟は渡邊泰基と高宇洋のゴールで勝ち点3獲得を確実なものとし、横浜FCと最下位の湘南の差は1ポイントのまま変わらなかった。

レイソルに敗れた後、山根永遠はこう語っていた。「みんな自分たちが何をすべきかは分かっているし、この結果を受けて、状況はさらに厳しくなった。どう勝ち点を積んでいくのかはチーム全体で話し合っていかないといけない」。

横浜FCにとって幸運なのは、湘南にも同じことが言えることだ。ここからの4試合でどちらもカギを見つけることができなければ、11月25日に三ツ沢で決着がつくことになるだろう。 (取材・文:ショーン・キャロル)

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