【番記者の視点】G大阪、10人の浦和に逆転負け 勝負を分けた2失点目招いた“魔の9分間”
◆明治安田生命J1リーグ▽第28節 G大阪1―3浦和(24日・パナソニックスタジアム)
【G大阪担当・金川誉】見せつけられたのは力の差だったのか、それとも覚悟の差だったのか。1―1の後半14分。FW宇佐美貴史に頭突きを見舞った浦和FWカンテが退場となり、数的有利となった。しかし後半23分、勝ち越しゴールを奪ったのは浦和だった。
数的有利となったG大阪は、一気にたたみかけて試合の主導権を握りたいはずだった。しかし直後の時間帯、浦和は自陣に引きこもることなく、人数差を感じさせない前へのプレスでG大阪のDFラインにもしっかりと制限をかけてきた。ひとりひとりが走る距離、強度を高めて数的不利のハンデを押し返そうとした相手に対し、G大阪はギアを上げきれず。DF福岡将太が「一人多くなってからの方が、相手にボールを動かされた」と語った状況に陥った。
ゴールを奪われる直前の後半20分にも、浦和に攻め込まれた状況から一度はクリアしたが、再び拾われて波状攻撃を受け、シュートまで許した。MF山本悠樹は「人任せになるというか、(守備で)制限もかからないし、ひとり多いのにボールもとれない。嫌な感じがするな、と思っていたら、案の定やられた。11人だからいけるという安心感というか、そういうものを感じていたならおかしい」と話した。10人の相手に対し、主導権を握れなかった“魔の9分間”に失点。リードを許した後は押し込む時間帯が増えたが、J1最少失点を誇る浦和に、自信と活力を与えてしまった2失点目が勝負を分けた。
9月だけでルヴァン杯の準々決勝2試合を含め、浦和に3敗。内容的にはすべての試合で圧倒されたわけではないが、勝負所をかぎ分けるギアチェンジの巧みさ、局面での強さ、そして決定力には差を見せつけられた。中位とさまようG大阪と、逆転優勝を狙う浦和の間に、メンタル面での差はあったのかもしれない。しかしホームに3万人以上の観客が集まった中で、かつてはタイトルを争って数々の激闘を演じた浦和への今季4敗目は、屈辱以外の何ものでもない。試合後に響いたG大阪サポーターからのブーイングと、浦和サポーターの歓喜の声に感じた悔しさを、残り試合の糧とするしかない。