浦和 24年度天皇杯参加資格剥奪 サポ暴徒化問題に協会が厳罰「日本サッカー史上極めて醜悪なもの」
天皇杯で浦和サポーターが暴力行為などに及んだ問題で、日本サッカー協会の規律委員会は19日、浦和に対して来年度の天皇杯の参加資格剥奪とけん責の懲罰を科すと発表した。70人以上が集団暴徒化したこの問題について「日本サッカー史上、過去に類を見ない極めて危険かつ醜悪なもの」と断じた。
8月2日に名古屋市のCSアセット港サッカー場で行われた名古屋との4回戦で、0―3で敗れた試合後に浦和サポーターの一部が暴徒化。愛知県警が出動する騒ぎとなった。その後、大会を主催する日本協会の映像検証で、警備員を押し倒したり、相手サポーターの胸ぐらをつかんだりする暴力行為などが確認された。浦和は集団暴徒化したサポーターを即時に退去させることができず、収束まで約1時間を要するなど、安全を確保するための措置を講じることができなかった。
浦和は00年以降にサポーターが11件の問題行動を起こしており、協会は浦和に対して「実効性のある再発防止策」を求めてきたが、「これまでと同様に罰金の処分を重ねたとしても、十分な効果は得られない」とし「これまでに対象者に科した懲罰よりも重い懲罰を科すことが相当であると判断した」と説明した。サポーターの熱量はアジアでも随一とされるが、その一部は何度も問題を起こしてきた。自浄作用がないことは明らかで、クラブ側の抜本的な対策が求められる。
≪田口社長「痛恨の極み」6項目の再発防止策発表≫
日本協会からの処分通達を受け、浦和は公式サイトで陳謝。違反行為に対する新たな処分基準を策定することや、コンプライアンス委員会を立ち上げ構成メンバーや外部有識者の選定を来月までに行うことなど、6項目の再発防止策を発表した。クラブの田口誠社長は「スタジアム観戦への好意的なイメージを深く傷つけてしまったことは、サッカー界、スポーツ界に身を置く者として痛恨の極み」などとつづり、田口社長が役員報酬の15%、取締役が同報酬の10%をいずれも3カ月間、自主返納することも発表した。
≪浦和サポの主な問題行為≫
☆08年5月17日 ホームG大阪戦で、相手サポーターが水風船を投げ込んだのが発端で両チームのサポーターが衝突。管理責任が問われ、過去最高額(当時)の2000万円の制裁金が科された。
☆13年8月24日 アウェー清水戦で、浦和サポーター4人が清水の選手が乗ったバスに爆竹や花火などを投げつけ、けん責処分と制裁金1000万円。
☆14年3月8日 ホーム鳥栖戦で差別的な横断幕を掲げたとして、けん責と次の主催試合となる同23日の清水戦をJ史上初の無観客試合とする処分を科した。
☆22年5月21日、7月2日 ホーム鹿島戦、アウェーG大阪戦で、新型コロナウイルス対策ガイドラインで禁止されている声出し応援を行い、けん責と罰金2000万円。