U-17日本代表が地元の新潟選抜を5ゴール撃破。「本気で」U-17W杯を狙うための成果を見せる

[9.18 国際ユースin新潟第3節 U-17日本代表 5-1 U-17新潟選抜 デンカS]

U-17日本代表、U-17ベネズエラ代表、U-17ニュージーランド代表のU-17ワールドカップ(11月開幕)出場3か国とU-17新潟選抜の計4チームが総当たり戦で優勝を争う「第25回国際ユースサッカーin新潟」。18日、その最終節に当たる第3戦が新潟市のテンカビッグスワンスタジアムで行われた。

日本はその初戦でベネズエラに2-3と敗れものの、2戦目はニュージーランドを2-0と撃破。新潟選抜との最終戦を「まだ優勝の可能性が残っている状態なのだから、当然それを狙っていく」(廣山望監督)と位置付け、この試合に臨んだ。

日本の先発は第2戦から3名が入れ替えに。GKピサノアレクサンドレ幸冬堀尾(名古屋U-18)、右SB森壮一朗(名古屋U-18)、CB木吹翔太(広島ユース)、CB山田佳(前橋育英高)、左SB佐藤海宏(鹿島ユース)、ゲーム主将のMF長田叶羽(G大阪ユース)とMF布施克真(日大藤沢高)のダブルボランチ、右SH加治佐海(川崎F U-18)、左SH小竹知恩 (清水ユース)、FW神代慶人(熊本ユース)、FW前田勘太朗(横浜FCユース)と並んだ。

3連戦の3戦目となる試合だが、日本は疲れた様子を見せずに立ち上がりから積極的に新潟選抜のボールを狩りに行く。帝京長岡高の選手たちを中心に編成されている今回の新潟選抜の特長は後方から丁寧に繋いでいくビルドアップにあるが、ここで自由を与えない構えだった。

そんなボールを奪いに行く姿勢を選手たちが見せる中で存在感を発揮したのは、MF長田。「ミーティングで『新潟選抜のほうが自分たちよりもベネズエラやニュージーランドに対して良いビルドアップができていた』と言われて悔しかった」と言い、高い位置からのボール奪取を狙っていった。

14分には新潟MF阿部日夏太(開志学園JSC高)に裏を取られてGKピサノアレクサンドレのビッグセーブに救われるという前半最大のピンチもあったが、その2分後だった。ショートCKが失敗に終わって相手ボールになるという流れの中で、長田が「(ボールを奪った)相手がどっちに持ち出すかを観ていて、サイドに持ち出したので『ここだ』と思った」と鋭いプレス。猛烈な寄せからボールを奪い取ると、そのままドリブルでペナルティエリアへと侵入した。

「本当はそのままシュートに行くつもりだったんですが、角度もなくて、中の選手が見えたので」とパスを選択。状況を観ての判断が功を奏し、中で前田が合わせ、日本に先制ゴールが生まれた。

さらに19分には再び勘良くボールを奪った長田が絶妙のラストパス。ニュージーランド戦では、同じような流れでパスを出せなかったことを課題とし、「神代とは事前に話していた」というイメージ通りに相手の最終ラインを破ると、抜け出した神代が冷静なシュートを突き刺し、2-0とリードを広げた。

36分には加冶佐のアシストから神代が決めると、さらに44分には高い位置でのボール奪取からのカウンターで左サイドのスペースを小竹が「得意な形」と胸を張るドリブルで快走。「しっかりDFを外してから、落ち着いてぉおコースも見えていた」というシュートも流し込んで、4-0。精度を欠いて得点を積み上げられなかった第2戦の反省を活かすように、前半でほぼ勝負を決めてみせた。

後半、このままでは終われない新潟選抜も猛反撃を開始。前から奪いにいく姿勢を見せると、後半早々の3分にMF石山青空(新潟U-18)のアシストから交代出場のFW安野匠(帝京長岡高)がゴールを奪うと、その後も後半開始から受けに回ってしまった日本を攻め立てていく。19分にはMF山村朔冬(帝京長岡高)のFKが、MF和田陸(帝京長岡高)のミドルシュートがそれぞれポストを叩くビッグチャンスも作るなど、前半以上の決定機も確実に作ってみせた。

こうした流れの中で日本は34分にDF田中玲音(東京実高)を投入してフォーメーションを変更して守備を整えて対応すると、アディショナルタイムには交代出場のMF柚木創(流通経済大柏高)がドリブルで持ち込んでからのアシストを受けた神代がダメ押しとなる5点目を決め、ハットトリックを完成。粘る新潟を退けた日本が5-1の勝利で最終戦を飾った。

日本の廣山監督は「1試合ずつ成長するというこのチームのコンセプトに沿ったプレーを見せてくれた」と海外勢との試合で得た経験をしっかりフィードバックした点を高評価。選手たちには事前に「本気でU-17ワールドカップを目指して選ばれればもちろん良いし、もしも選ばれなかったとしても、本気で目指したからこそ感じる悔しさが生まれ、それが成長に繋がる」とした上で、求める「W杯の基準」も強調してきた。そうした言葉はしっかり選手に届いてもいたようだ。

長田は「大会を通じてW杯の基準を知ることができたし、初戦は南米のチームとやるのは初めてで課題が凄く出て、その課題が出たのは凄く良かったと思っています」とした上で、「本大会に出られればもっと凄い経験ができると思うし、ここからの(メンバー決定までの)1か月も死ぬ気でやって、絶対にメンバーに入りたい」と意気込む。こうした姿勢を持つ選手が増えれば、世代全体のさらなるレベルアップに繋がっていきそうだ。 (取材・文 川端暁彦)

https://web.gekisaka.jp/

Share Button