【番記者の視点】G大阪、リード後の「コントロール」に課題…逃げ切り失敗のドローに見えた選手間のズレ

明治安田生命J1リーグ▽第27節 G大阪1―1新潟(17日・パナソニックスタジアム)

【G大阪担当・金川誉】ホームでの6連勝は、2016年にパナソニックスタジアムを本拠地としてからは初…。そんな原稿に手をつけ始めていた、1点リードの後半38分だった。自陣に押し込まれた状況から中央を割られ、最後は新潟FW三戸にDF佐藤瑶大がかわされ、同点ゴールを奪われた。シュート数では19対6と圧倒した中で、ワンチャンスを決められて引き分けに終わった試合は、まだ発展途上にあるチームの課題を浮き彫りにした。

ポヤトス監督は「ゴールを決めた後にもっとボールをしっかりと自分たちで持って試合をコントロールしていく。カウンターに行くのか行かないかの選択も含め、メンタル面を含めて強化していかないといけない」と話した。リード後、G大阪の狙いとしては、相手の焦りを逆手にとってボールを動かし、隙を見つけ出して2点目を奪うこと。しかし、カウンターでチャンスはつくれど、相手の首を真綿で締めるようなボールの動かし方は、少なかった印象だ。

たとえば後半27分。自陣でボールを奪い返すと、MFアラーノがカウンターを仕掛けようとリスクの高いパスを選択した。しかしカットされて、再び守備の時間となった。もちろん確実にカウンターが発動できるのであれば問題はないが、まずはボールを落ち着かせて相手を押し返す手もあった。リードしている後半32分に、ボール保持時にミスの少ないFW宇佐美貴史を投入した意味も、自分たちの時間を増やしたいという意図があったはず。MF山本悠樹は「ここ数年、勝っている中で試合を進めていく、ということが少なかった。そういうところが求められていると思うし、もうひとつ順位を上げていくためには、課題だと思う」と語った。

「試合をコントロールする」という意識に、選手の間でわずかにズレがあったことが、ボール支配率でも41%と新潟に下回り、「(リード後は)後ろに引いて、ゴールを守ってしまうクセがある」(ポヤトス監督)と明かした展開につながったとも言える。もちろん、何度もあったカウンターのチャンスで、2点目を決めていれば問題はなかった。また失点時、新潟FW三戸に股抜きでかわされたDF佐藤は「相手がうまかった。やられました。自分が予測していないプレーでした。でもあれを予測に入れておかなければ」と悔やんだ。攻守両面におけるゴール前での精度は、選手個々の課題。一方でチームとして目指す方向性も、再確認する必要がある。

勝ち点2を失った感もあるドローだが、勝ち点1を積み上げたことで順位は一つあげて10位に。残留争いに巻き込まれていた昨季のこの時期は、1点を奪えば守備を固めてしのぎきるサッカーに終始していた。そのころと比べると、チームのスタイルは確実に変わった。真剣勝負の中で、チャレンジもできる貴重な時間をどう生かしていくかが、G大阪の未来につながる。

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