U-17日本代表はU-17W杯出場国のベネズエラに2-3で惜敗。世界の基準を学び、悔しさを力に
[9.14 国際ユースin新潟第1節 U-17日本代表 2-3 U-17ベネズエラ代表 新潟市陸上競技場]
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U-17日本代表、U-17ベネズエラ代表、U-17ニュージーランド代表のU-17ワールドカップ(11月開幕)出場3か国とU-17新潟選抜の計4チームが総当りのリーグ戦で優勝を争う「第25回国際ユースサッカーin新潟」が14日、新潟市の新潟市陸上競技場で開幕した。U-17日本代表は開幕戦でU-17ベネズエラ代表と対戦。2-3で競り負けた。
日本の廣山望監督は試合直後、「このゲーム、悔しさを感じなかったらサッカーを続けてもなかなか伸びるチャンスなくなってしまう。そういう(悔しさを感じる上で)良いゲームだったと思う。(試合後、)ベネズエラの監督さんには感謝しました」と振り返った。
U-17ワールドカップへ向けて準備を進めるベネズエラはメンバーの選考を兼ねていることもあってか、各選手気合十分。攻守の切り替えが速く、強度も高い。また2人、3人ではなく、ピッチ上の全選手が身振り手振りで指示の声を飛ばし合う。この日は球際の攻防がファウルと判定されることが多く、イエローカードも5枚受けるような試合(日本はゼロ)だったが、技術力や闘争心を全面に出して全力で勝ちに来ていた。
日本は切り替えのスピードや強度で相手に劣り、奪ったボールをすぐに奪い返されるようなシーンが散見された。また、主力組中心の相手に対し、U17アジアカップ優勝メンバーが一人だけの日本は経験値の浅い選手が多く、特に前半はベネズエラに飲み込まれているところがあった。徐々に相手の強度やスピード感に慣れ、追う展開で迎えた試合終盤には前への意識が向上。そして、良い距離感でボールを動かし、2点を奪い返したが、序盤から力を発揮できなかったこと、敗れたことをチームは悔しがっていた。
「彼らにとっては初というくらいの強度のある相手に対して、面食らうのはしょうがないけれど、その経験値はデカいですね。ここを上回って、相手に知らしめて、自分たちも自信つけてというのが理想だけど、現状、基準を知る良い機会にこの選手たちにとっては、なったと思います」(廣山監督)
日本は4-4-2システムで試合をスタート。GKがU17アジアカップ優勝メンバーのGK上林大誠(山形ユース)、右SB江口拓真(神戸U-18)、CB田中玲音(東京実高)、CB山田佳(前橋育英高)、左SB佐藤海宏(鹿島ユース)、ゲーム主将のMF長田叶羽(G大阪ユース)とMF布施克真(日大藤沢高)のダブルボランチ、右SH柚木創(流通経済大柏高)、左SH小竹知恩(清水ユース)、FW鈴木大馳(鳥栖U-18)、FW前田勘太朗(横浜FCユース)が先発した。
前半2分、日本は自陣でボールを奪い返されると、右の背後のスペースを突かれる。そして、クロスをクリアできず、最後は10番MFダビド・エマニュエル・マルティネス・ラミレス(モナガスSC)に先制点を押し込まれた。
日本はビルドアップのミスを突かれる形で8分、10分と決定的なピンチ。田中がギリギリのタイミングでチャージして止めるなど2点目を阻止したものの、なかなか自信を持ってアクションをすることができず、後手に回るシーンが続いてしまう。
攻撃も足元のパス中心。テンポが上がらず、苦しいロングボールのこぼれ球をMFホセ・ミゲル・コレア・テラン(ヌエバ・エスパルタ)らに回収され、逆にスピードのある攻撃を受けるなど難しいゲーム展開となった。ただし、歯が立たない相手ではない。徐々に慣れて攻め切られる前にボールを奪い返し、右サイドから中央でのプレーを増やした柚木や苦しい中で起点になろうとしていた前田が攻撃を牽引。そして、攻めどころとしてボールが集まり、爆発的なスピードを見せていた小竹がドリブルからラストパスへ持ち込む。
攻守に奮闘した布施や鈴木、江口も突破や抜け出しにチャレンジ。31分には連動した攻撃から佐藤のグラウンダークロスがゴール前を横切った。また、守備範囲広く守る山田やDFラインまでカバーした長田、球際でバトルしていた柚木や布施がボールを奪う。一方で、相手の寄せの速さの前にボールロスト。攻め切れずにカウンターを食らうなど、前半は公式記録上のシュート数がゼロだった。
日本は後半開始から田中、鈴木に代えて、200cmCB木吹翔太(広島ユース)とFW神代慶人(熊本ユース)を投入。立ち上がり、布施と小竹で左サイドを崩し、ラストパスに柚木が走り込む。
また、木吹や山田が落ち着いてボールを動かすなど前半に比べてビルドアップも好転。加えて、GK上林が前に出て対応するなど相手の攻撃を阻止していた。だが、後半もミスの起きていた日本は15分、自陣でボールを奪われると、再びダビド・マルティネスに決められ、0-2となった。日本は直後に江口と右SB森壮一朗(名古屋U-18を入れ替えると、守備で奮闘していた佐藤が前に出て、左サイドPAやや外側FKを獲得。これを柚木が右足狙うが、ボールはクロスバーを叩いた。
追う展開の中で前への姿勢が出た日本は、小竹の仕掛けや森のシュートなどで反撃。27分に布施と前田をMF加治佐海(川崎F U-18)とMF川合徳孟(磐田U-18)へ入れ替えると、32分には左の佐藤が斜めのパスを差し込み、神代が右足を振り抜く。さらにこぼれ球を拾った長田が縦パスを通し、神代がドリブルでPAへ侵入。ここで倒されてPKを獲得した。
このPKを神代が自ら決めて1点差。その後、森のシュートブロックや佐藤のカバーリングでピンチを凌ぎ、柚木をMF西川宙希(C大阪U-18)を入れ替えて同点を目指す。だが、40分にCKのこぼれ球をCBヘスス・リカルド・ラープ・イヤンドロ(PSV)に決められて1-3。2点差を追う展開となった日本は、鋭いターン、ギャップへのドリブルを見せる川合を中心に距離感良くボールを動かす。そして45+4分、長田の奪い返しから加治佐が中央突破。粘り強く前へ出て、最後はスルーパスから西川が左足でゴールを破る。1点差としたが、反撃もここまで。2-3で敗れ、黒星発進となった。
試合の中で世界相手にできることを増やしたが、3失点が重くのしかかり、敗戦。「なかなか資料を見せたり話をするでだけでは。準備は気持ちの中でしていただろうけれど、(体感すると)身体がまだそこ(世界レベルの速さや強さ)に追いつかない。やっていく中でそれを上回る時間を作れた選手もいるから、それ(90分間出しきれなかったこと、敗れたこと)を悔しいと思って欲しいですね。(ただし、)これをベースに2、3試合目にやれれば良い」(廣山監督)。今大会で優勝するためには残り2試合の勝利が必須。また、彼らはU-17ワールドカップメンバーに加わる可能性もある。今回、ベネズエラから学んだ基準を忘れず、世界を超えるために取り組んでいかなければならない。
「(守備は)今日の試合をベースにしてもっと上げていく」(佐藤)、「90分出たらもっと自分の良さを出していきたい」(木吹)。次戦は16日にU-17ニュージーランド代表と対戦。初戦で新潟選抜に敗れたものの、身体的な速さや強さを備えた選手がおり、試合終盤は相手を押し込み続けていた。U-17日本代表の選手たちは、U-17ワールドカップメンバーへのチャンスを掴むためにも、勝利し、自分がより世界相手に戦えることを示す。