【G大阪】裏MVPは“オウンゴール未遂”の丹羽。「全員にいじられまくりです。逆にいじってほしい」と切望 SOCCER DIGEST Web 11月28日(土)22時9分配信

“ハプニング”が起きたのは、延長後半の117分だった。

 試合の流れを左右する“ハプニング”が起きたのは、延長後半の117分だった。

CBの丹羽が余裕を持ってGKの東口にバックパスを送る。なにげない場面だったが、そのパスはふわりとGKの頭を越えて、自陣のゴールへ。あわやオウンゴールとなりかけたが、東口が背面飛びで足を伸ばし、足先でわずかに触ってボールはポストに当たった。

難を逃れた東口がすぐさま前線にパスを送ると、オ・ジェソク→遠藤→パトリックとつながり、米倉がファーサイドに高精度のクロスを供給。この日が誕生日の藤春が最後に利き足とは逆の“右足ボレー”を叩き込み、G大阪が勝ち越しに成功した。

東口は「味方からもシュートが飛んでくるとは思わなかった」と冗談を飛ばしたが、結果的に丹羽の“オウンゴール未遂”が勝ち越し弾の起点となったのも事実。当の本人は「バックパスを出した瞬間、ポストに当たるのは分かった。跳ね返ったボールがどうなるかなという感じだった。あれがまさか、そのまま点につながるとは思わなかった」と振り返る。

「あれが入るのと、入らないのとでは全然違うし、紙一重のプレーだった」と反省の面持ちを見せるも、すぐにいつもの“丹羽節”が戻る。「サッカーの神様がいましたね。結果オーライです」と笑顔が弾けた。

「まぁ日頃、悪いことをあんまりしていなかったから、それが良かったのかなと(笑)。(ミスについて)全員にいじられまくりです。逆にいじってほしい (笑)。なにも触れられないほうが厳しい。あのプレーに関しては、監督にも『なにやってんだ、頼むぞ! まぁ勝てたから良かった』みたいなことを言われま した」

慢心も過信もなく兜の緒を締める丹羽。広島戦に向けて「今から戦いは始まっている」。

 浦和戦では23本ものシュートを浴びたが、最終的に1失点に抑え込んだ。それもCKの流れから許したものであり、丹羽は「流れのなかで失点はなかったし、最後のところで僕がしっかり弾き返せばいいと思っていた。そういう意味で自分の仕事はできたと思う」と胸を張った。

負傷を抱える岩下に代わり、22歳の西野がCBの一角で出場したなか、先輩の丹羽が冷静に最終ラインを統率。ディフェンスリーダーとして、最後まで組織をまとめ上げた。

「延長戦に入った後も、自分では1メートル、10センチぐらいのラインコントロールをやっていたつもり。サッカーを分かっている人は、その部分を見てくれると思う。それが浦和に対してボディーブローのように効いた」

今季のG大阪は、ACLでベスト4、ナビスコカップで準優勝に終わっており、ここ一番で勝利を逃してきた。そこから一転、リーグ最終節に勝利して年間3位に滑り込むと、アウェーでのCS準決勝・浦和戦も競り勝つなど、昨季のような“瀬戸際力”が戻りつつある。

「ACLとナビスコカップの教訓を今日の試合に活かせた。勢いに乗れる勝ち方でしたし、浦和のホームで勝つのは気持ちいいこと。(CS決勝第1戦まで)中3日ですけど、まずは回復だけ考える」

そう口にして広島戦を見据える丹羽は、慢心も過信もなく兜の緒を締めるのだ。

「今から戦いは始まっている。水曜日の夜7時半には万全の状態で臨めるようにしたい」

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