【U-22代表 最新序列】パリ五輪出場への第一関門。注目は中盤の組み合わせ。タフに戦える松木は連戦で重宝されるはず

中東特有の“暑さ”と戦う必要も

パリ五輪を目ざす戦いがついに幕を開ける。

来年7月中旬に開幕するパリ五輪まで残り10か月。来年4月中旬から実施される最終予選を兼ねたU-23アジアカップの予選が9月6日から行なわれる。

【PHOTO】欧州遠征でドイツ・トルコと対戦!親善試合に挑む日本代表招集メンバーを一挙紹介!

決戦の地は中東の島国バーレーン。6日にパキスタン、9日にパレスチナ、12日にバーレーンと対戦し、グループ1位になればアジアカップの出場権が手に入る。2位になった場合は全11グループの上位4か国に入る必要があるため、首位での勝ち抜けが最大の目標となる。

「我々と同じ年代で活動しているチームが少なく、このチームで試合をしたり、強化をしているグループがなかなかないので分析しづらい。我々が想定した以上に違う戦い方をしてくる可能性はある」

大岩剛監督が警戒を強めるように、スカウティングを進めている一方で、相手の戦い方は未知数。また、中2日の連戦で日中の気温は40度弱。キックオフ時間は1、2戦目が21時半、3戦目が18時半に設定されているとはいえ、中東特有の“暑さ”と戦う必要もある。

さらに今回は週末のリーグ戦を終えて即合流の即試合という強行日程だ。所属クラブでの出場状況にもよるが、全選手が揃うのは初戦の前日が見込まれる。そうした見えない敵との戦いも勝敗を左右する要素だ。

だからこそ、今回は総力戦で戦わなければならない。試合毎にメンバーを大幅に入れ替える可能性もあり、誰がスタートからピッチに立っても良い準備を今まで以上にする必要性があるだろう。

6月の欧州遠征以来となる今回の代表活動には23人の選手が名を連ねており、2022年3月のチーム発足当初から何度も招集されてきた面々がベースになっている。

「パリ五輪出場にかかる大事な公式戦。発足当初から活動するなかで積み上げてきて、よく知っている選手たちを中心にして、あとはU-20で活躍した選手、そして今、Jリーグで、もしくは海外で活躍している選手を中心に選考させてもらった」(大岩監督)

スケジュールを考えれば、チームコンセプトを一から落とし込む余裕はない。4-3-3と4-4-2を使い分け、場合によっては3バックも併用する。そのため短期間で完璧に理解するのは簡単ではない。そうした状況を踏まえれば、今回の人選は妥当と言えるだろう。

GKのレギュラー争いも見逃せない

選手のコンディションを踏まえたうえでターンオーバーも想定されるなか、注目すべきポイントはいくつかある。

最大の焦点は中盤の組み合わせだ。インサイドハーフとアンカーのポジションで、クラブでレギュラーを張っている選手は川﨑颯太(京都)、松木玖生(FC東京)の2人。だが、彼らは3日の日曜日にリーグ戦を消化したうえで合流する可能性が高く、初戦でプレーできるかはコンディション次第になっている。

一方で、海外組の山本理仁(シント=トロイデン)、藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)、鈴木唯人(ブレンビーIF)は国内組の2人同様にリーグ戦が3日にある。新天地に活路を求めて間もなく、週末のゲームでどれだけピッチに立つかは不透明だが、カラッとした気候の欧州から移動してくるとあって、酷暑に適応できるかは懸念材料だ。

厳しい条件のなかで大岩監督はどのようなメンバーを送り出すのか注目が集まるが、期待したいのは松木だ。強度の高いプレーでチームを牽引できるか。タフに戦えるタイプであり、物怖じしない性格の持ち主であるだけに連戦で重宝されるはずだ。

またSBも起用法が流動的で、コンディション次第でスタメンが変わっても不思議ではない。今回はA代表歴を持つ右SB半田陸(G大阪)と、左SBバングーナガンデ佳史扶(FC東京)がコンディション不良や怪我などで不在となっているからだ。

一方で今回招集された選手たちは、継続して大岩ジャパンに名を連ねている面々で力は横一線。スピードとフィジカルに特長を持つ畑大雅(湘南)、左足が武器の大畑歩夢(浦和)、両SBに対応できる内野貴史(デュッセルドルフ)、戦術理解度が高い中野伸哉(G大阪)は、セントラルMF組とは異なり、日曜日に試合を控えている選手がいない点は心強い。相手に応じて使い分ける形で挑むことになりそうだ。

GKのレギュラー争いも見逃せない。今回は鈴木彩艶(シント=トロイデン)、小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)といった常連組に加え、FC東京で出場機会を掴んでいる野澤大志ブランドンがリストに名を連ねている。

過去の活動では鈴木が一番手として起用されるケースが多かったが、8月まで所属していた浦和では出場機会を得られていなかった。移籍後は出番を掴みつつあるが、実戦経験の面では不安が残る。

小久保もポルトガル2部リーグに籍を置くベンフィカのセカンドチームでピッチに立っているとはいえ、代表チームで絶対的な存在ではない。パリ五輪の最終予選行きが懸かった場面でいきなりの抜擢は難しいが、コンディション面ではFC東京で守護神の座を掴んだ男にアドバンテージがあるだけに、指揮官の采配に注目が集まる。

タイトなスケジュールで挑むU-22日本代表は最終予選に進めるのか。「我々のスタイルを厳しい環境で発揮していきたい」と意気込む指揮官のもと、新たな戦いに足を踏み入れる。

https://www.soccerdigestweb.com/

Share Button