“破天荒”なガンバ大阪は何が変わったのか? 守護神・東口が語るチームの復調とパナスタの魅力

 2014年の加入後、ガンバ大阪の守護神としてチームを支えてきたのがチーム最年長の東口順昭選手。37歳を迎えて、なおJリーグ屈指のシュートストップを見せる東口選手にガンバ大阪の復調の理由やパナソニックスタジアム吹田の魅力などを聞きました。

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試行錯誤の中でつかんだ流れ

――今季序盤は先発から外れた時期もありましたが、新潟戦以降の巻き返しで東口選手が最後尾を支えて勝利に貢献しています。37歳で迎えた今季、ここまでの足取りを振り返ってください。

(ダニエル)ポヤトス監督に変わってサッカーのスタイルもガラッと変わった中でシーズンの前半戦はいろいろ試しながらサッカーをやっていましたが、なかなか結果が出ていませんでした。ただ、試行錯誤の中で選手もつかむモノがあって、いい流れになってきましたよ。今はすごくいい噛み合い方をしてきましたし、ピッチに立っていても楽しいですね。

――2014年の加入以降、これまでは不動の守護神としてゴールマウスを守ってきました。今季序盤、ポジション争いがあった中で意識して取り組んできたことを教えてください。

自分が試合に出たら、どういうふうにプレーしようかと常にイメージしていましたし、本当に強い気持ちを切らさずにやっていましたね。チームがうまく回るようにということと、どうしたらチームが強くなるのか、僕自身がいい影響を与えられるのかというのは意識しつつも、コンディションを落とさないように取り組んでいました。ただ、特別な取り組みはしていないです。今まで試合に出ていた時も、常にもっとうまくなれるようにやってきましたし、試合に出る出ないはあまり関係なく、練習にしっかりと取り組めていました。

――8月上旬まではリーグ戦8戦無敗もあり、チームの状況は上向きだと思います。復調の要因はどんなところにあると考えていますか? 

リーグ戦の前半戦でうまくいったところと、うまくいかなかったところの修正について、選手たちがピッチ上でどれだけ見せられるかというバランスが取れていた8試合でした。パスをつなぐだけではアカンし、前に蹴るだけでもアカン。そこの使い分けがうまくいっていました。それに加えて、単純に相手より走るとか1対1の戦いで負けないとか、細かいところもチームにいい流れをもたらしたと思います。

――単に結果が出ているだけでなく、最近の試合ではかつてガンバ大阪が得意としていた魅せる攻撃を披露する時間帯も増えてきたように思います。GKとして最後尾から試合を見る東口選手が感じるチームの進化を教えてください。

自分たちのDFラインから攻撃を組み立てて、相手のプレスを一つ剥がせたら、相手のゴール前まで攻め込んでいけるシーンはすごく増えましたし、圧倒的にシュートの数も増えてきました。そこはガンバが変わった点ですね。後ろから見ていても手応えを感じます。いい時間帯には、皆が相手のゴールに向かって走っていますし、「何かが起きそう」というスタジアムの空気感は、観戦に来られる方にも伝わるんじゃないかなと思います。

――東口選手といえば、Jリーグを代表するシュートストップが武器ですが、攻撃の一歩目としてキックやスローでも魅せています。攻撃面でGKとして意識することを教えてください。

後ろからパスをつないで相手を剥がしていければ一番いいですし、僕も常にアシストは狙っていますよ(笑)。アシストにならなくても、早く前にボールを送り込むポイントが見つかれば、どんどん出したいと思うので、守備だけじゃないGKのプレーも見てほしいですね。僕らのゴール前から、相手のゴール前まで行くスピード感も今季上がってきたポイントですし、一瞬も目を離さずにプレーを見てもらいたいです。

プレーできる喜びを改めて感じた

――チームとして、東口選手個人としても今季は苦しい時期があったと思います。そこを抜け出せるきっかけになった試合や出来事があれば教えて下さい。

なかなかチームが勝てない時期も、サブメンバーとしてベンチで試合を見ていても、やっぱり試合に出ないと何かを変えられないというもどかしさはすごくありました。やっぱり、試合に出てプレーするのが喜びであり、楽しみなので。こんな素晴らしいスタジアムで大観衆が見てくれているというのは、サッカー選手にとって一番ありがたいことですし、プレーをできる喜びを改めて感じました。苦しい時期には自分の信頼している人とかに話をしてもらうとか、話を聞いてもらっていましたし、そういう周囲の人に僕自身は恵まれているなと思います。

――7月にはガンバ大阪でのJ1通算300試合出場という節目もありました。過去には三冠達成や残留争いなど、いい時も悪い時も経験してきた東口選手が考えるガンバ大阪というチームの魅力を教えて下さい。

すごく簡単に言うと破天荒なチームやなって思います(笑)。いい意味でも、悪い意味でも、周囲の期待を裏切るというか……何か目を離せないチームなところが魅力なんじゃないかなと。悪い時はめちゃくちゃ悪くなるし(笑)、いい時は急に復調して三冠を獲得したし、めちゃくちゃ点を取ったりするところもありますし。今季も最下位だった時期がありましたけど、今は勝ちが続いて好調です。そういうところがガンバっぽいなと思いますし、大阪のノリみたいなモノは感じます。

他では感じられない特別な雰囲気

――パナソニックスタジアム吹田を選手目線で知り尽くす東口選手ですが、観戦する際の注目ポイントや魅力などを教えて下さい。

ゴール裏のサポーターの数もすごく多いですし、観客席とピッチの距離が近いので、プレーしている僕らもサポーターの存在や声援を近くに感じています。そういう臨場感は、実際にスタジアムに足を運んでいただけたら、テレビ観戦するよりも迫力が全然違うと思います。そのスタジアムの雰囲気が一番楽しめるところですね。サポーターの声が僕らの後押しになっていて、試合中しんどい時も走れますし、あと一歩という場面でも足が出るのを感じます。どんどん声を出していただきたいですね。GKとしては相手のシュートを止めた後の盛り上がりも感じますし、沸いてくれるとうれしいし、もっとやるぞって気持ちになります。

――東口選手も負傷やメンバー外の時に観客席から試合をご覧になった経験をお持ちだと思います。観客席から見る魅力を教えてください。

パナソニックスタジアム吹田って外観からしても何か特別な場所に来たなって思わせますよね。毎日の練習には自分の車で来ていますけど、試合の日にチームバスでここに到着すると、同じ建物のはずなのに感じる空気が違うんです。観客が入っていたら、雰囲気が違いますし、海外のスタジアムっぽいというか……説明が難しいんですけど、生きていて他では感じないような雰囲気があって。勝利後にサポーターと一緒にガンバクラップ(勝利後の儀式)をやれるのは選手としても一番うれしい瞬間だし、できるだけその回数を増やしたいと思います。

――リーグ戦もいよいよ終盤戦に入ります。東口選手が個人的に思うところも含めて、今後への意気込みを聞かせてください。

今いいサッカーができている手応えはありますけど、それをもっと結果につなげるようにして、もっと点を取りたいですね。ゴールが入れば入るほど、スタジアムも盛り上がるし、観客にとっても面白いと思うので、そういうサッカーを目指したい。実際に決定機も増えてきましたし、サポーターの方が試合中に沸く回数や雰囲気も変わったなと感じています。僕らが攻撃している時に、点が入るかもって期待を感じてくれているような雰囲気が増えてきましたし、ホームでも勝てる雰囲気が出てきました。

――パナソニックスタジアム吹田での観戦を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

実際に生でサッカーを見るっていうのは、もちろんガンバに対してのイメージも、サッカーに対してのイメージも変わって、皆さんが持っているイメージが色々な意味で書き換えられる場所だと思います。ぜひスタジアムに足を運んでいただいて、色々な雰囲気とサッカーを楽しんでほしいです。そして美味しいスタジアムグルメを食べたり、飲んだりしてより楽しい週末にしてもらいたいです。そして最後に一緒にガンバクラップができたら一番理想的だと思います。

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