大阪信愛学院大学 後藤圭太監督#1「現実的にプロを目指せる環境というのも大きなポイント」
鹿島アントラーズユースからトップチームに昇格し、ファジアーノ岡山、松本山雅FCなどでディフェンダーとして活躍した後藤圭太。魂のディフェンダーとも呼ばれプロで活躍した男は、昨年JFLのFCティアモ枚方でプレーした後、現在は大阪信愛学院大学のサッカー部で監督を務めている。
そんな後藤監督に、大学生の指導に当たって感じる難しさや大切にしていること、監督しての立場から思うこと、そして大阪信愛学院大学にしかない魅力など、いろいろと話をうかがった。
ーー2023年4月から監督に就任されたと思いますが、まずは感触としてはいかがでしょうか?
大きくはイメージ通りと言いますか、想像していた通りに進んでいるなと思います。細かい問題はところどころありましたが、大筋向かっている方向や、チーム作りに関しても、イメージから大きく外れることはなく、日々よくなってきている印象です。まずは4部を圧倒して勝ち抜くという目標もあり、その目標にむけて着実に進んでいる感触もあります。
ーー大学生たちを教えることの楽しさや難しさがあれば、教えてください。
楽しさはとてもいろいろとありますね。現役時代と同じように、熱量の高い集団の一員として過ごさせてもらえることが、とても楽しいですし、なおかつその集団の一番前を走る「監督」という存在として関わらせてもらっていることに日々ワクワクします。現役時代に遜色なく、熱く楽しく刺激的な生活ができているかなと思います。楽しいとかやりがいがあるなという感覚はとても強く感じますね。難しさは、もっと多いですが、一番はどのようなメニューを組むのが、より効果的なのかという部分ですね。自分もプレーヤーとしてやってはきましたが、監督としてどんなメニューにするべきかという部分は日々学びの連続で、とても難しいなと感じます。今は模索しながら毎日戦っています。
ーープロの世界で学んだチームづくりを、大学サッカーのチーム作りでも活かそうという考えはありますか?
プロの世界を見てきた人間だからこそできるチーム作りもあるのかなと思うのですが。
これは本当に難しいところでもあるんですが、一周まわって「個々でいいのかな」と思うようにはなりましたね。というのも、やはりプロの世界でもチームそれぞれに大事にしているものはあるんですが、輪を大事にしていても勝てないチームもあれば、輪にこだわらなくても結果をだしてしまうチームもあるんですよね。だけど、輪にこだわっていなくても強いチームは、共通して試合になると強い連携を発揮するんです。そういった世界を学んだ身でもあるので、大阪信愛学院大学で、全ての足並みをみんなで揃えようというチームにするつもりはあまりなくて、ひとつの同じ目標に対して重要な場面では視線を合わせられるようなチームを作れたらいいのかなと思っています。
ーー選手時代には「情熱を持って戦い抜くこと」を貫いてきた後藤監督ですが、監督としてはどのようなことに重きを置いて指導しているのでしょうか?
これは監督になった今も同じで、選手たちにも情熱の重要性を伝えることは強く意識しています。僕が信じているサッカー感みたいなものでもあるんですが、小手先よりも情熱や、気持ちの部分の方が最後には強いと思っています。これは選手たちにもハッキリと伝えていますがスーパーな選手であれば、まずここにはいません。だったらそれを受け入れてもうやるしかないんですよね。そんな時に、自分の限界をつついて、辛くてもさらに一歩を踏み出せるような勇気は、やっぱり情熱からしか生まれないと思います。とはいえ、サッカーを始めたのはみんな「楽しい」という気持ちからなのも間違いないはず。だからこそ、楽しみながら学びや気づきを与えられるような指導というものも強く意識はしています。 今、僕たちは大学の4部リーグに属していますが、そんな中でも志高くプロを目指したいという意欲を持っている選手はもちろんいます。そういう選手はしっかりと引っ張り上げてやらなくてはいけませんし、その選手に刺激されて他の選手も押し上げられていく。そうやってグループとしてレベルアップしていくというイメージは常に欠かさずに持っています。
ーー志の高い選手たちを引っ張り上げるためにしている活動などはありますか?
大阪信愛学院大学はFCティアモ枚方と、いろいろな部分でタイアップしながら活動しています。月に1度くらいのペースでFCティアモ枚方の練習にも参加させてもらっていますが、最もプロに近い場所であるJFLで戦っている選手たちと同じ環境で練習できるというのは、とても大きな経験になります。やはりプロを目指したい選手にとっては「現実的にプロを目指せる環境」というのも、大きなポイントになりますし、こういった経験から得られる刺激が、また情熱に火を付ける良い循環を生むので、本当にありがたい環境だなと思います。また、ガンバ大阪アカデミーで育成年代の指導に関わってきた鴨川幸司さんの存在も大きいです。鴨川さんが大阪信愛学院大学サッカー部のコーチとして動いてくださるので、選手たちにとっては、かなり手厚い環境が用意されていると思います。
次回#2では後藤監督の尊敬する指導者、そして大阪信愛学院大学の掲げる指針についての話を紹介します。