【番記者の視点】G大阪、9試合ぶり敗戦理由は判定のみにあらず “J1最少”76分以降の得点改善を

明治安田生命J1リーグ 第23節 横浜M2―1G大阪(12日・日産ス)

【G大阪担当・金川誉】9試合ぶりに敗れたG大阪の監督会見は、PK判定についてポヤトス監督の訴えに終始した。GK東口がストップした1度目のPKはVARでやり直しとなり、2度目に相手選手がキック前、ペナルティーエリア内に進入した件はおとがめなし。日本サッカーへのリスペクトを常に語る指揮官が、怒りをこらえて「改善しなければいけない」と訴える気持ちは、番記者としてわかる。

ただ負けた理由は、それだけではない。中央を割られた前半34分の失点。後半4分に決められたPKは、横浜M・エウベルに3人で対応したにもかかわらず、一瞬の隙を突かれてDF佐藤がファウル。この2失点も反省点だが、やはり2点目を取れなかったことが響いた。

前半44分、MF山本悠の絶妙ターン&スルーパスを受け、冷静に相手DFを振り切って一時同点となるゴールを決めたFW食野は「ゴールのあとに2本決定機があったので、そっちを外したほうが悔しい」と振り返った。特に前半ロスタイム、GK東口の左サイド深くへのキックを起点に、数多くの選手が絡んで作った決定機を外したことを悔やんだ。取れるところで取り切れなかったツケは、“苦手”の終盤に回ることになった。

この試合はエウベル対策として、本職のセンターバックではなく右サイドバック起用された福岡は「クロスが本当に最悪で…何度もチャンスを潰してしまった。本職の(高尾)瑠がベンチに入っていない中で起用されているのに、申し訳ない」と吐き出した。横浜Mのキーマンを封じる役目を担い、後半は執拗なマークで追い詰め、完璧なインターセプトから相手のタックルを誘い、退場に追い込んだ。しかし数的有利の終盤、何度も右サイドから攻撃に絡んだがクロス精度を欠いた。慣れない上下動を繰り返し、何度も足がつった仕草をみせていた中で、攻撃で違いを見せることはできなかった。

ポヤトス監督は1点を追う中、攻撃のカードとして、FW宇佐美、鈴木武蔵を送り込んだ。前節得点したMF石毛、練習での好調でベンチ入りしたFW山見と攻撃のカードはまだ残していたが、2枚の交代枠を残したまま投入はなし。福岡に代え、右SBとして投入できる選手はベンチにはいなかった。前節まで8戦負けなし(7勝1分け)の内容は、主に“先行逃げ切り”型。今季、途中出場の選手が奪った得点は、全32ゴール中2点のみだ。76分以降の得点は、J1で最も少ない1点(8月6日・川崎戦のMFダワン)。終盤の戦いには、まだまだ改善の余地がある。

最下位から這い上がり、約3か月にわたって続いた快進撃はここで止まった。GK東口からは「まだまだ力不足」という言葉もあった。ただ敗れはしたが、昨季王者を相手にアウェーで堂々と渡り合った姿には、明らかなチームの成長を感じる。残りは11試合。チームとして積み上げるべき課題を見据え、次の戦いに臨む。

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