禁断の後出し!? J1順位予想1~9位。混戦の優勝争いを制するのは?【2023シーズン】

2023シーズンの明治安田生命J1リーグは、残すところあと13節となった。首位ヴィッセル神戸に横浜F・マリノスが肉薄し、名古屋グランパスや浦和レッズが追走する。混戦の優勝争いを制するのはどこなのか。“どこよりも遅い”順位予想を行う。※数字は7月31日時点

9位:アビスパ福岡

監督:長谷部茂利

順位:10位

成績:勝ち点29(8勝/5分/8敗)

ルヴァン杯:準々決勝進出

天皇杯:ラウンド16進出

圧倒的な強さはないが、アビスパ福岡は接戦をものにする巧者ぶりが光る。上位陣との対戦が続いた5月から2分5敗と苦しんだが、中断前は3試合連続で1点差勝利を収めた。戦力が拮抗するチームにとっては非常にやりにくい相手になっている。

選手層は決して厚くないが、主力の怪我によって得た出番で若手が猛アピールしている。大卒2年目の井上聖也と鶴野怜樹、特別指定選手の重見柾斗はその代表格。ライバルのサガン鳥栖から田代雅也を獲得して最終ラインを強化したことで、生命線の堅守はさらに強固なものになるだろう。

9位か10位かで理念強化配分金(賞金)の有無が分かれるだけに、1試合1試合が勝負になる。ここまで上位陣とは力の差を見せつけられる試合が多かったが、それ以外の相手から着実に勝ち点を積み重ねていけば、トップハーフ(9位以内)でシーズンを終えることができるだろう。

8位:ガンバ大阪

監督:ダニエル・ポヤトス

順位:13位

成績:勝ち点26(7勝/5分/9敗)

ルヴァン杯:準々決勝進出

天皇杯:2回戦敗退

低迷が続いていたガンバ大阪に、ようやく光が差し込んでいる。5連敗を喫して一時は最下位に転落していたが、第15節のアルビレックス新潟戦以降は負けなし。4連勝を含む6勝1分と調子を上げて中断期間に入った。

ダニエル・ポヤトス監督の志向するサッカーが、結果に結びついている。開幕当初はやりたいサッカーに固執するあまり、相手に狙われる場面が散見されたが、最近は相手や状況を見ながら柔軟に選択できるようになっている。ネタ・ラヴィ、ダワン、山本悠樹の中盤3枚が攻守に連動することで、前線に迫力が、最終ラインに安定感が生まれている。

ボールを動かしながら、素早いプレスで主導権を握るスタイルは、暑い夏こそ効果を発揮するのではないだろうか。幸か不幸か、天皇杯で敗退したことで、ミッドウィークの試合開催がほとんどなくなかった。残すは13試合だが、上位でシーズンを終えることも十分に予想できる。

7位:川崎フロンターレ

監督:鬼木達

順位:7位

成績:勝ち点32(9勝/5分/7敗)

ルヴァン杯:グループステージ敗退

天皇杯:ラウンド16進出

近年まれにみる不振に見舞われた川崎フロンターレは、一時ボトムハーフに沈むほど苦しんでいた。谷口彰悟の移籍に加えてジェジエウやマルシーニョの負傷など外国籍選手はジョアン・シミッチを除いて軒並み稼働できず。ただ、鬼木達監督は現有戦力の中から戦える選手を抜擢して最適解に近づこうとしている。

チョン・ソンリョンに代わって上福元直人がゴールマウスを守り、最終ラインで18歳の高井幸大が指揮官の抜擢に応えており、中盤では加入2年目の瀬古樹が存在感を示している。前線では同い年の山田新と宮代大聖が切磋琢磨し、7月8日の横浜FC戦ではともにゴールを決めた。

例年以上に苦しいシーズンで、逆転優勝の可能性は限りなく低い。5月から5人を放出(期限付き移籍を含む)する一方で新加入選手が現時点でいないのは、現有戦力の底上げに注力するという意思表示だろう。ただ、貴重な経験を積んでいる選手も多く、来季につながるものも大きい。鬼木監督にとっても、選手にとっても試練のシーズンだが、乗り越えた先には明るい未来が待っているかもしれない。

6位:セレッソ大阪

監督:小菊昭雄

順位:5位

成績:勝ち点35(11勝/2分/8敗)

ルヴァン杯:グループステージ敗退

天皇杯:ラウンド16進出

スタートダッシュこそ失敗したものの、その後は着実に白星を重ねていき、セレッソ大阪は5位まで順位を上げた。特筆すべきは引き分けの少なさで、11勝のうち1点差勝利が7試合を数える。爆発的な得点力こそないものの、ゲームマネジメントに長ける小菊昭雄監督の采配で勝ち点を拾った試合も少なくない。

上位陣の中では最も移籍が活発になっている。今季リーグ戦で17試合に出場していた加藤陸次樹のサンフレッチェ広島移籍は痛手だが、J2で得点を量産中の渡邉りょうを獲得して穴埋めを行った。先月末に手術を行った清武弘嗣が不在の2列目には21歳の柴山昌也を大宮アルディージャから獲得している。

YBCルヴァンカップはグループステージで敗退しているため、上位陣と比較すると日程的には少しばかり余裕がある。首位との勝ち点差は9で、上位陣との直接対決もまだ残っている。難しいミッションであることは確かだが、新戦力がすぐにフィットすれば、追いつくのに不可能な数字ではない。

5位:鹿島アントラーズ

監督:岩政大樹

順位:6位

成績:勝ち点33(9勝/6分/6敗)

ルヴァン杯:準々決勝進出

天皇杯:3回戦敗退

序盤戦で4連敗を喫して一時は15位まで順位を落としたが、2トップへの移行を契機に盛り返した。首位との勝ち点差は11で、優勝の可能性もまだ残す。2007年の逆転優勝の再現を狙いたいところだ。

夏の補強はピンポイントで、スカッドの整理を行った。キム・ミンテと染野唯月を期限付き移籍で放出し、スイスへ渡った常本圭吾の代わりに須貝英大を獲得した。これまでとベースは変わることなく、終盤戦に臨むことになりそうだ。

YBCルヴァンカップを残しているため、試合数は多くなるが、選手層の厚みがここにきて活きてくるだろう。垣田裕暉が復帰したことで、鈴木優磨の良さも活きる。ここに知念慶が復帰すればさらに破壊力は増すだろう。

残り13試合の中で、いうまでもなく直接対決がカギを握る。8月13日には名古屋グランパス、9月24日には横浜F・マリノス、10月21日にはヴィッセル神戸、同月28日には浦和レッズと対戦する。前半戦で1勝1分2敗と負け越した上位陣に勝ちを重ねることができれば、一気に優勝争いのダークホースに名乗り出ることになる。

4位:浦和レッズ

監督:マチェイ・スコルジャ

順位:4位

成績:勝ち点37(10勝/7分/4敗)

ルヴァン杯:準々決勝進出

天皇杯:ラウンド16進出

終盤戦に向けて浦和レッズは着々と準備を進めている。外国籍選手が振るわなかった攻撃陣には中島翔哉と安部裕葵という2人の海外組と、タイ代表のエカニット・パンヤを加えた。リーグ戦27得点は上位6チームで最も少なく、得点力不足という課題は明白だった。

対照的に、ヴィッセル神戸と並んでリーグ最少の失点数を誇る守備陣は浦和の武器だ。マリウス・ホイブラーテンとアレクサンダー・ショルツの守備能力の高さに加え、西川周作が文句の付け所がないパフォーマンスを披露している。前線からの連動した守備もこの堅守には不可欠なだけに、新戦力がどこまでチームにフィットできるかがカギになるだろう。

最大の敵は日程だ。AFCチャンピオンズリーグはプレーオフからの参戦となり、ベスト16に残った天皇杯、ベスト8に残ったYBCルヴァンカップも残されている。新加入選手はもちろん、これまで出場機会の少なかった選手たちをローテーションに組み込むことができなければ、戦い抜くことはできない。マチェイ・スコルジャ監督1年目の終盤戦は、チーム力が試されることになる。

3位:ヴィッセル神戸

監督:吉田孝行

順位:1位

成績:勝ち点44(13勝/5分/3敗)

ルヴァン杯:グループステージ敗退

天皇杯:ラウンド16進出

2位・横浜F・マリノスと勝ち点1差の首位に立つヴィッセル神戸は、このままタイトル獲得へ突き進むことができるのだろうか。ここまでは大迫勇也を中心とした破壊力抜群の3トップや、齊藤未月と山口蛍のプレーが光る中盤などの活躍が目立つ。何より、故障者が続出する最終ラインは、酒井高徳のセンターバック起用など、くるしい台所事情の中でも、リーグ最少タイの17失点と素晴らしい数字を残している。

アンドレス・イニエスタ、セルジ・サンペール、ステファン・ムゴシャが次々に退団している。いずれにせよ層の厚さという課題を抱えており、外国籍選手を新たに獲得するとしたら、即戦力としての活躍が求められることは言うまでもない。

残すカップ戦が天皇杯のみで、上位4チームの中では最も日程には余裕がある。ただ、大迫ら替えの利かない選手が離脱するとなると、一気にチームのバランスが崩れるということもありうる。その点を加味してライバルの後塵を拝すという予想になっている。

2位:名古屋グランパス

監督:長谷川健太

順位:3位

成績:勝ち点39(11勝/6分/4敗)

ルヴァン杯:準々決勝進出

天皇杯:ラウンド16進出

昨季に築いた堅守をベースに、キャスパー・ユンカーを加えた攻撃陣がクオリティの高さを見せる今季、名古屋グランパスは優勝を狙える位置につけている。残りの期間でまだ動く可能性もあるが、補強面は現時点でも積極的な動きを見せている。前線には中島大嘉、サイドには前田直輝(期限付き移籍からの復帰)と久保藤次郎と層の厚みを加える補強を施し、終盤戦に臨む。

直近9試合でクリーンシート(無失点)がわずか2試合と、ディフェンスに綻びが見えるのは気になるところ。ただ、最大の焦点は主力がシーズンを通して活躍できるかだろう。ユンカーはJリーグでこれまで1年間を通してプレーし続けたことがなく、永井謙佑や野上結貴、米本拓司ら30代の選手が主力の大半を占める。天皇杯もYBCルヴァンカップも残す中、大きな怪我なくシーズンを走破できるかは疑問が残る。

中断前にプレータイムを伸ばしている和泉竜司、河面旺成、内田宅哉が主力に定着できるほどのクオリティを見せ、新戦力がプレータイムを得ることができれば、逆転優勝の可能性も見えてくる。

1位:横浜F・マリノス

監督:ケヴィン・マスカット

順位:2位 成績:勝ち点43(13勝/4分/4敗)

ルヴァン杯:準々決勝進出

天皇杯:3回戦敗退

昨季王者の横浜F・マリノスは、21節を終えた時点で2位につける。日本代表にも選ばれた角田涼太朗、サイドバックの小池龍太、小池裕太を長期離脱で欠くというアクシデントもあったが、チーム全体でカバーしている。首位ヴィッセル神戸との勝ち点差はわずか1。3位・名古屋グランパスとの差も4しかない混戦状態で、終盤戦の戦いを控えている。

得点ランキングトップを快走するアンデルソン・ロペス、中盤で頼もしい活躍を見せる渡辺皓太など、チームの骨格は固まりつつある。終盤戦で鍵を握るのは控えメンバーの活躍だろう。

天皇杯では控えメンバー中心で臨んだ3回戦でFC町田ゼルビアに完膚なきまでに打ちのめされた。ただ、海外クラブとの親善試合では、榊原慧悟や井上健太がアピールに成功しており、宮市亮もプレータイムを伸ばしている。人材不足の左サイドバックには加藤聖を加え、ブラジル人選手の起用が制限されるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を見据えて韓国人MFナム・テヒを獲得している。ACLとYBCルヴァンカップも日程に組み込まれる終盤、リーグ戦を戦い抜くためには彼らの活躍が必要不可欠だ。

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