天皇杯ベスト8の川崎、鬼木監督は「ここ数試合、交代選手が結果を出せば勝利になる」。田邉が19人目で帯同、瀬川は強い気持ち明かすなどサブ組が活性化…逆転優勝へのキーワード
8月2日、川崎フロンターレが天皇杯ベスト8に進出した。高知ユナイテッドSCとの試合で決勝点を挙げたのは途中出場組だった。
■【動画】途中出場組3選手が絡んで決めた! 川崎が奪った天皇杯・高知戦での決勝ゴール■
79分間のスコアレスを経て得た、後半35分の右CK。蹴ったのは瀬古樹だったが、右足から放たれたボールにニアで最初に触れたのは後半17分から出場した瀬川祐輔だった。そのボールを強烈なシュートに変えたのは後半32分から入った山田新。そして、GKが弾いたそのボールに詰めたのは同じく後半32分からピッチに立った佐々木旭である。
セットプレーではあったが、途中出場組3選手が勝利を直接的に引き寄せた。試合後、鬼木達監督は「ここ数試合、交代選手が結果を出せば勝利になっています。逆に交代選手が少しパワーがないときにはは勝ちに持っていくことができていません。そういう意味では、今日のゲームは交代選手が非常にいい働きをしてくれた」とその重要性について説明したが、得点場面以外でも効果はあった。
瀬川が左ウイングに入ると、そのサイドを使っての攻めがさらに活性化。前半は人数と手数をかけて攻め込む場面が多かったサイドだが、ゴール前にクロスがより入るようにもなった。
瀬川は、「シンプルなことが一番大事かなと思って試合に入りました。シンプルにクロスを上げて、セカンドボールひろってもう一回攻撃に。絶対僕らのボールになるんで、そこでこうやり過ぎてっていうのが前半にノッキングしたところかなと思ったんで」と振り返り、シンプルにやろうとしたことを説明した。ただし、前半のうちに人数をかけた攻めで相手が疲弊したことでできたことだとも付け加えた。
■佐々木旭について「効果のあるプレーをしてくれた」
センターフォワードについては、「シン(山田新)とダミアンのところは一番悩んだ」と指揮官が話すところで、「クロスが上がってきたので、ダミアンという選択肢はかなり早い段階からありましたけど、コンディションのところと、延長戦もあるので、崩せるのではあれば違う崩し方で」という考えで山田が選ばれた。「シンはクロスにも入っていけるようになってきていた」と、成長というポジティブな要素があったことも説明している。
佐々木旭については、「プレーをすれば右足でも左足でも仕掛けられたりとか、蹴ることができます。チームとしては非常に効果のあるプレーをしてくれた」と称えた。ピッチに送り込む際には、以下のような言葉をかけたという。
「一つは仕掛けることを要求しました。押し込んではいたので、そこで仕掛けるということ。もうひとつは(相手の)カウンターがありましたので、戻る作業。他の選手がキツくなってきていたので戻る作業。その両方で、攻守でアグレッシブにやってくれという話をしました」
ここまで出場機会が不安定な佐々木だが、「ここというタイミングでちょっと体調を崩してしまったりとか、非常にもったいないタイミングが今年のシーズンは多いんですけれども」と指揮官は明かす。
■「常にサブは、スタメンのすぐ後ろを走っている」
ここまで負傷者が多かったこと、また、ポジションごとに負傷者が偏るアクシデントもあって、チームは選手のやり繰りに苦労していた。しかし、それも徐々に戻りつつあることでベンチメンバーにも選択肢と迫力の両方が戻ってきた。
この日の試合には、キックオフ前の万が一に備えて19人目の選手として田邉秀斗も帯同していた。4月9日のガンバ大阪戦で左ひざ内側側副靭帯を損傷して同12日に手術を行い、全治4~5か月程度と発表されていたが、7月29日のバイエルン・ミュンヘン戦で久々の出場。そしてついに、公式戦出場もあと一歩というところまで来たことになる。
試合後、瀬川はこう話していた。
「常にサブは、スタメンのすぐ後ろを走っているんだぞっていうのをスタメンの選手に見せなきゃいけない」
逆転優勝に向けて、層の厚さは欠かせない。ここからはACLの日程も加わるため、その重要性はより高まってくる。先発とベンチメンバー、そしてそれを覆そうとする個々の働きが、逆転優勝に向けた重要なキーワードになる。



