前園真聖が語る「それでもパリ・サンジェルマンに期待している理由とは」

今年もジャパンツアーを行うパリ・サンジェルマン。昨年の来日メンバーよりエムバペ、リオネル・メッシセルヒオ・ラモスらが抜けることとなったが、サッカージャーナリストの前園真聖氏は、新たなチームになるパリ・サンジェルマンにも期待を寄せる。

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今年はさまざまな海外の強豪クラブが日本にやってきます。その来日チームの中でパリ・サンジェルマンには衝撃が走りました。

22日に今シーズン最初のゲームとなるル・アーブルとの親善試合に出場し、1ゴールを挙げているチームの大黒柱、キリアン・エムバペがメンバーに入らなかったのです。エムバペは退団も噂されており、その話が次第に現実味を帯びてきた気がします。

パリ・サンジェルマンは去年も来日していて、川崎フロンターレ、浦和レッズ、ガンバ大阪と試合をしましたが、そのときのパフォーマンスは期待どおり。僕もスタジアムに行きましたが、スーパースターたちの活躍に時間を忘れるほどでした。

去年は中2日、あるいは中1日という日程で組まれた3試合だったのにもかかわらず、期待されたスターたちは次々にゴールを挙げ、日本の観客を魅了していました。去年もトレーニングが有料で公開されていたのですが、取材に行ったカメラマンが「練習なのにおもしろかった」と感心しているくらいでした。

そのメンバーからエムバペ、リオネル・メッシ、セルヒオ・ラモスらが抜けていて、いよいよパリ・サンジェルマンは新たなチームになるのだとはっきりしました。

ではパリ・サンジェルマンがこれで沈んでいくかというと、確かにいろいろな影響はあるでしょうが、一気に落ちていくことは考えられません。それは他にもスター選手がゾロゾロと揃っているからです。

ブラジル人選手のマルキーニョスは2022年カタールワールドカップにも出場していました。対人、スピード、テクニックとDFとしてのすべての能力を備えています。イタリア人のマルコ・ヴェッラッティもイタリア代表でプレーする選手で、2021年のEURO決勝、イングランド戦での活躍を覚えている人も多いと思います。

同じくイタリア人のGKジャンルイジ・ドンナルンマはACミラン時代、16歳でリーグ戦デビューを果たした逸材です。2021年にパリ・サンジェルマンに加入すると、コスタリカ代表のケイロル・ナバスとポジション争いを繰り広げていましたが、2022-23シーズンからは正GKの座を不動のものとしました。2021年のEURO決勝ではPK戦で2本のセーブを見せ、大会最優秀選手にも選ばれています。

守備の選手がこれだけ充実しているとそうそう崩れはしなそうです。もっともヨーロッパはこれからシーズンインということで、来日するチームはここから次第にチームを作り上げていくという段階です。

そのためシーズン中ほどのパフォーマンスは期待できないかもしれません。どちらかというとコンビネーションよりも個人技が中心となることでしょう。それでもその個人技が世界最高峰の選手たちですから、見ていておもしろいのです。

そしてチームの攻撃の中心として期待の大きいネイマールは3月に足首の手術を受けていてまだリハビリの途中でしょう。ル・アーブル戦は欠場しましたが、日本ツアーには帯同しています。どれくらいプレーしてくれるか分かりませんが、それでも見る価値は十分にある選手です。

近年はケガに泣かされ、思ったようにプレーできなかったり出場時間が減ったりしていました。ですが思い切って出術をして、もしかすると日本がネイマールの再出発点になるかもしれません。そもそもネイマールが2017年にバルセロナを出てパリ・サンジェルマン入りしたのは、チャンピオンズリーグに優勝してバロンドールを狙ったからだと思います。

メッシがインテル・マイアミ(アメリカ)に、クリスティアーノ・ロナウドがアル・ナスル(サウジアラビア)に移籍した今、バロンドールに大きく近づいたと言えるでしょう。エムバペがいなくなるかもしれないことで、一層責任感を感じ、張りきっているのではないかと想像しています。

またパリ・サンジェルマンは去年の来日で日本のこの時期の気候を知っています。わずか1年前のことですから、その経験は今年生かされるでしょう。それも僕が特に期待する理由の一つです。

こうやって書いていても今年の試合が楽しみになってきました。たくさんのスター選手たちが今年もピッチの上で輝いてくれるものだと思います。クリスティアーノ・ロナウドとの対戦やインテル・ミラノとのゲームも楽しみですが、Jリーグ勢で唯一対戦するセレッソ大阪にも大いに期待しています。

前園真聖 プロフィール

鹿児島実業高校からJリーグ・横浜フリューゲルスに入団。アトランタオリンピック本大会では、チームのキャプテンとしてブラジルを破る「マイアミの奇跡」に貢献。その後日本だけでなくブラジル、韓国などの海外クラブでもプレーし、2005年に現役引退。現在は、サッカー解説などメディアに出演しながらも、サッカースクールや講演を中心に全国の子供たちにサッカーの楽しさや経験を伝えるための活動をしている。

■2022年パリ・サンジェルマン日本ツアー結果

■2023年パリ・サンジェルマン日本ツアー予定

■来日メンバー

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