平畠啓史チョイス“至極の11人”|宮市亮は生きる喜びを一番与えてくれた。献身的なダワンは空中戦も強い【J1月間ベストイレブン6月】

試合を引き締めたショルツと植田

芸能界屈指のサッカー通で、J1からJ3まで幅広く試合を観戦。Jリーグウォッチャーとしておなじみの平畠啓史氏がセレクトする「J1月間ベストイレブン」。6月の栄えある11人はどんな顔ぶれになったか。今月は超攻撃的な2-4-4システムだ。

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GKは鳥栖の朴一圭。3試合2失点。足もとの技術やフィード能力は言うまでもないが、シュートに対する反応、特に至近距離のシュートに対する反応は一級品。

第18節、湘南戦は6-0というスコアで、攻撃陣に目が行きがちだが、湘南が攻撃できていなかったわけではない。シュート数では鳥栖よりも湘南のほうが多かった。

そこに立ちはだかったのが朴。象徴的なのは56分のシーン。大橋祐紀のシュートに対し、朴のアクションは逆に行きかけていたが、それでも見事に反応してセーブ。すぐに体勢を立て直し、大橋の二度目のシュートも反応して見せた。鳥栖にとって攻守両面で欠かせないGKである。

センターバックは浦和のアレクサンダー・ショルツと鹿島の植田直通。第16節の浦和対鹿島は0-0で終わったものの、緊張感に溢れ、見る者をサッカーに集中させてくれる素晴らしいゲームだった。

その試合をしっかりと引き締めていたのがショルツと植田。リアクションの動きが多いディフェンダーながら、ジタバタすることなく、常に余裕を持った振る舞い。集中力も高くミスも少ない。そして、相手の攻撃陣に隙を見せることがない。

植田は試合には負けたものの、第18節のG大阪戦ではCKからヘディングシュートを決めた。なんとか追いつこうとゴールを喜ぶ素振りも見せず、一目散に自分のポジションに戻っていく姿が印象的だった。

守備的な中盤にはG大阪のダワン。1ゴール・2アシストと数字を残しただけでなく、攻守両面で常にボールに関わる動きを見せ続けている。

6月の自陣空中戦数のランキング3位。そのランキングのほとんどがディフェンダーであることを見ても、ダワンが献身的にプレーを続けていることは明らかである。

マテウスがボールを持てばワクワク

トップ下には名古屋のマテウス・カストロ。ドリブルの迫力。キックしたボールの軌道の意外性。マテウスがボールを持っただけでワクワクさせられる。コンディションやキックのフィーリングも上がっている印象もあるマテウス。夏場はさらに楽しみだ。

中盤の右にはG大阪のファン・アラーノ。攻撃的な引き出しを多く持つだけでなく、プレーに加わるまでのランニングの距離が長い。G大阪が調子を上げてきたが、ダワンやJ・アラーノの献身性は欠かせないものである。

中盤の左には3ゴールを挙げた浦和の関根貴大。かつてはサイドプレーヤーという印象だったが、ここ最近ではサイドだけでなく、攻撃的なポジションのいろんな役割やチームのタスクをしっかりと果たしている。地味に見えるような仕事も厭わない関根の活躍は、現在の浦和の攻撃陣に欠かせない。

前線は4トップ(というか、今回2バックです)。右は神戸の武藤嘉紀。第18節、福岡戦の2ゴール・1アシストは圧巻。2点目のゴールシーンに至るまでのランニングも見事だった。

中央は横浜のアンデルソン・ロペスと鳥栖の小野裕二。A・ロペスの2試合連続2ゴール、いや5月の第15節も加えれば、3試合連続の2ゴールは実に素晴らしい。最終的にどこまで数字を伸ばすかも楽しみである。

湘南戦でハットトリックを決めた小野。ゴールに迫るまでの迫力とシュートシーンでの良い感じの力の抜け具合が、点を取れる選手の風情を感じさせる。

そして、4トップの左で、今月のMVPは横浜の宮市亮。2対3とリードされていた第17節の柏戦。アディショナルタイムで同点、そして逆転という展開だけでも劇的だが、決勝ゴールを決めたのが、昨シーズン大怪我を負った宮市だった。

6月、宮市よりも活躍した選手や数字を残した選手はいるが、困難に立ち向かい、見る者にサッカーの喜びや感動、そして生きる喜びを一番与えてくれた選手は間違いなく宮市。感動的なゴールシーンだった。

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