【バイタルエリアの仕事人】vol.29 井手口陽介|「攻撃より守備のほうがやりがいを感じている」故郷の福岡で再出発した26歳が“ボランチの理想像”と語る選手は?

「純粋にピッチでプレーしたいという想いが強かった」

攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第29回は、アビスパ福岡のMF井手口陽介だ。

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ジュニアユースからガンバ大阪の下部組織で育ち、17歳の時に同クラブでプロデビューを果たす。これまで各世代の日本代表に名を連ねており、19歳でリオ五輪のメンバーにも選出。20歳でA代表デビューを飾った。

そんな順風満帆なキャリアを歩む一方で、欧州リーグでは思うように出番を得られず、今年2月にセルティックからの期限付き移籍でアビスパ福岡に加入。経験豊富な26歳は、生まれ故郷の福岡で再出発を切った。

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セルティックでは1年間試合に出られなくて、純粋にピッチでプレーしたいという想いが強かったです。移籍を考えるなかで、最初は日本に戻るというのは視野に入れてなかったのですが、なかなかチームが見つからなかった時に、アビスパが声をかけてくれたので、迷いなく決断しました。

アビスパは選手、スタッフを含めて、みんなとても仲が良いです。チームのサッカーは自分に合っていると思いますけど、よりそのスタイルを追求していかなければいけないですし、もっと全体を良い方向に持っていくようなチーム作りも大事にしたいと思っています。

そんななかで、移籍後に初先発した試合(第3節・柏レイソル戦)で怪我をしてしまい、長期離脱を強いられました。チームの役に立ちたいという気持ちがとても強かったので、シンプルに悔しかったですし、歯がゆい気持ちでした。

でも、あまり考えすぎずに3か月間、リハビリに励み、先日のガンバ大阪戦でようやく復帰できました。今後はゴールやアシストという結果を示していきたいと思っています。

ガンバにいた時は、攻撃に特長のある選手が多かったので、自分はどちらかと言えば守備で貢献して、攻撃は任せるわけではないですが、タイミングよく絡めるように意識していました。

アビスパでは、長谷部(茂利)監督からより攻撃への関わりも求められているので、守備では気の利いたプレーをしつつ、攻撃の質も高めて、どんどん顔を出せる選手になっていきたいです。

「対峙してやりづらいなと感じたのは…」

井手口のポジションは、チームの生命線とも言えるボランチだ。攻撃にも守備にも関わる役割を担うなか、バイタルエリアを制するうえで意識しているプレーとは?

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攻撃では、やっぱり2列目からタイミング良く、飛び出していくこと。なんでもかんでもというわけではなく、今で言うアンダーラップ、ここに来られると相手はマークしづらいなというスペースに入っていきたいと毎試合、考えています。

逆に守備は感覚の部分が多いです。自分は真ん中のポジションなので、行くところと行かないところのメリハリを持ってやっている。ボランチは特に攻守ともに重要ですけど、守備のほうがよりやりがいを感じています。

参考にしている選手は特にいませんが、山口蛍選手(ヴィッセル神戸)は、リスペクトしているし、勉強になる。「走れる」、「戦える」は当たり前で、足もとの技術もしっかりしているし、ここぞというタイミングで攻撃に参加している。ボランチの理想像です。

あと、対峙してやりづらいなと感じたのは、レオ・シルバ選手(元新潟、元鹿島、元名古屋)。攻撃では山口選手と同じく足もとの技術が高く、守備でも効いている。プレスをかけてくる時に、気配を消して寄ってくるんです。衝撃を受けましたね。

自分が考える良い選手の条件は、守備ではボール奪取の能力に長けている選手。攻撃では、派手なプレーをするのではなく、シンプルにプレーできる選手が好きですね。

※後編に続く。次回は6月28日に公開予定です。

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