パリ五輪世代のG大阪MF、ルヴァン杯”大阪ダービー”で体感した世界を知る香川真司の深み
山本理仁が香川真司とのマッチアップでさらなる成長へ意欲
ルヴァンカップのグループステージ第6節が6月18日に各地で行われ、ガンバ大阪はヨドコウ桜スタジアムでセレッソ大阪と対戦。敵地で1-0の勝利を飾り、プライムステージ進出を果たした。
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前半はG大阪が主導権を握り、セットプレーからDF半田陸がゴールを奪ったが、後半は追いかけるC大阪が押し上げると、後半20分に小菊昭雄監督はMF香川真司、MF奥埜博亮、MF上門知樹の3枚を同時投入。ボランチのポジションに入った香川は正確なボール捌きと巧妙なポジショニング、オフでも周りに指示を出してガンバのプレスを無力化した。
いつC大阪側に同点ゴールが入ってもおかしくない状況で、ダニエル・ポヤトス監督は中盤のMF石毛秀樹に代えてMF山本理仁を投入する。「あの時間帯で、あの展開だったので。やることははっきりしてました」と振り返る山本理仁は、同時に入ったFW宇佐美貴史とともに「前から規制をかけて、なるべくいいボールを入れさせない」ように香川を起点としたC大阪の攻撃を限定した。
攻撃面にも持ち味のある山本理仁だが、余裕がないなかでも、なるべくタメを作るということを意識したという。香川については「なるべく背中で消すようにしてましたけど、前に寄せればスッと重要なところに顔出してくるので、そこはすごい嫌でしたね」と語る。
「ただ、蹴らせないことが大事だったので、背中を意識しつつ、ある程度は仕方ないのかなと思ってました」
ボールは捌かれても、決定的な縦パスを出されないように心がけていた山本理仁だが、18歳のMF石渡ネルソンが香川と並ぶ形になった終盤、香川が外に開くと見せかけて内側にターンして、そこから石渡の危険な縦パスにつながるシーンもあった。
「香川選手は目線の配り方というか、もちろん足元も素晴らしいのは僕も小さい頃から知っていて、そこは間違いないですけど。それ以上に、前に立った時に、目線を散らすことで、対峙しててもどこに出すか分からないというのは一番近くでやってみて分かりました」
山本理仁はパリ五輪を目指すU-22日本代表のこれまでの活動で、大岩剛監督からキャプテンに指名されるなど、大きな期待を背負っている。しかし、J2の東京ヴェルディから昨夏ステップアップのために来たというG大阪で、中盤のポジションを奪えていない。リーグ戦で3連勝とようやく波に乗るG大阪はルヴァンカップのプライムステージ進出も決まり、夏場のさらなる躍進が期待されている。
U-22日本代表の欧州遠征でイングランド、オランダと対戦し、個のところで違いを生み出さないと、世界に出ていけないことを痛感した山本理仁だが、その世界を相手に個人としても日本代表としても戦ってきた香川とのマッチアップで体感したことが、この先に生きてくるはず。それと同時に、香川真司という選手がJリーグを舞台に存在感を発揮していくことを確信した”大阪ダービー”だった。
[著者プロフィール]
河治良幸(かわじ・よしゆき)/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。