北川信行の蹴球ノート Jリーグ関西勢前半戦振り返り…神戸が悲願のリーグ優勝狙う

サッカーのJ1はほとんどのチームが17試合を消化し、今季の折り返しを迎えた。関西勢の前半戦の戦いぶりをまとめた。

【写真】攻めるC大阪の香川。ボランチで攻守のタクトを振る

■神戸、ホームで安定した強さを発揮

1試合消化試合の少ない神戸は勝ち点33(10勝3分け3敗、33得点13失点、得失点差20)で暫定3位につける。第2節以降、首位を堅持してきたが、10日の第17節に敵地でC大阪に敗れ、陥落した。ただ、吉田孝行監督は「今までやってきた戦い方をメンタル面も含めて毎試合出すのが大切」と前半戦と同じ戦い方を後半戦も継続することが肝要との考えを示す。

得点は札幌、横浜Mに次いで多く、失点は浦和に次いで少ない。得失点差が最も大きく、攻守にバランスのとれた戦い方ができているからだ。10勝はすべて先制点を挙げた試合。ホームスタジアムでの無失点試合が6試合と最多なのも心強い。

時間帯別の得点では、前半の16分から30分と、後半スタートから15分までの得点が多いのが特徴。この30分間で16得点と総得点の半分近くを占める。一方、守りは前半30分まででわずか1失点。前半を通しても3失点しかしていない。前半戦をリードで終えると7勝2分けと無敗。得点ランキング2位(11得点)の大迫や武藤、山口ら経験豊富な選手が多く、アラートに(集中力高く)試合に入りつつ、ピッチ内での修正力や適応力を生かして得点を奪う形が表れていると言える気がする。

課題は先発と控えの力量差。守備陣を中心に故障者が多いのも気がかりで、「上積みという点では、戦える選手が新たに出てくるのも大事かなと思う」と指揮官。新戦力が登場すれば、悲願のリーグ優勝も現実味を帯びてくる。

■C大阪、選手間の競争で活力生み出す

前半戦最後の試合で神戸を撃破したC大阪は勝ち点29(9勝2分け6敗、23得点19失点、得失点差4)の6位。9勝はすべて先制点を奪った試合で、先行逃げ切りが必勝パターンだ。

ただし、15分ごとの時間帯別の失点を見ると、2→2→2→3→4→6と、時間が進むに従って失点が多くなる傾向がある。昨季からの課題となっている終盤の失点を減らすことが、後半戦も上位争いを継続する鍵となる。

今季はキャンプからボールを保持して押し込む4-3-3の布陣に取り組んだが、守備の強度を高める目的もあって昨季までの4-4-2に変更。現在は起用する選手や状況、対戦相手に応じて両布陣を使い分けることで下位チーム相手に白星を重ねる一方で、広島や鹿島、名古屋といった相性の悪いチームにはなかなか勝てないでいた。

神戸戦の勝利がはずみとなるか。12年半ぶりに復帰し、現在はボランチ(守備的MF)のポジションで攻守に奮闘する香川は「トップに勝ったことは自信になる。これをベースにしないといけない」と強調。小菊監督は「いい競争をして首位争い、優勝争いに絡んでいきたい」と話した。若手の台頭に加え、清武やヨニッチら戦線離脱している実力者らが復帰すれば、戦力も厚くなる。

■京都、ホームでの得点力向上で巻き返せるか

前半戦最後の試合で6連敗のトンネルを脱した京都は勝ち点16(5勝1分け11敗、20得点28失点、得失点差-8)の14位。なんとか一息ついて後半戦を迎えることができる。

序盤から激しいプレスとハードワークでボールを奪う京都(走行距離は18チーム中7位、スプリント回数は同6位で、ともに関西の4チームの中では最上位)は後半に息切れするイメージがあるが、今季は後半16分以降に10得点。データ上は終盤に反攻している。一方で失点も後半だけで18。後半16分以降だと13失点で、試合終盤はノーガードの打ち合いになってしまっている感がある。

特にホームでの無得点試合が5で18チーム中最多なのはいただけない。「サンガスタジアム by KYOCERA」の成績は2勝6敗の勝率2割5分。ホームアドバンテージを考えても、せめて5割以上に引き上げたい。

■G大阪、前半リードで勝率10割

3連勝で息を吹き返したG大阪も勝ち点16(4勝4分け9敗、21得点33失点、得失点差-12)の15位。前半をリードして終えると勝率10割(4勝)なのは心強いデータだ。

一方で、前後半の31分以降の失点がワースト。ともに8失点ずつの計16失点を喫しており、試合が終盤に向かうにつれて守備に緩みが出る難点を抱えているように思う。

「前半戦の成績には満足できない。もっとポイントを稼げた。新しいスタイルを取り入れたが、(残留争いに巻き込まれた)昨季までのメンタルも影響したと思う」と振り返ったポヤトス監督は「シーズン後半戦は積み重ねていく。効果的に試合を支配し、状況判断をより速くすることをしていきたい。選手を信頼している」と力を込めた。

前半16分から30分までと、後半開始から15分までの得点が多いのは神戸と同じ。ホームのパナソニックスタジアム吹田での勝率は京都と同じ2割5分(2勝3分け3敗)。関西4チームの中では最多の1試合平均2万1558人の観客を記録しており、その声援に応えたい(神戸1万9010人▽C大阪1万5655人▽京都1万3874人)。

ちなみに、神戸、京都、G大阪とも後半ロスタイムの失点が3で最多。試合の終わり方は共通の課題と言えそうだ。

関西勢の奈良とFC大阪が新規参入したJ3は、13試合終了時点で奈良が勝ち点21(5勝6分け2敗、得点17失点9、得失点差8)の4位、FC大阪は勝ち点18(6勝0分け7敗、得点10失点12、得失点差-2)の11位となっている。

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