まだまだいる未招集の実力者! Jリーグ&海外組で「日本代表に呼ぶべき選手」は誰〈dot.〉
サッカー日本代表の森保ジャパンは今月、キリンチャレンジカップの2試合、エルサルバドル戦(6月15日、豊田ス)、ペルー戦(同20日、パナスタ)に臨む。カタールW杯で選外となった古橋亨梧、旗手怜央(ともにセルティック)が復帰し、国内組から森下龍矢(名古屋)、川村拓夢(広島)、川崎颯太(京都)の3人が初招集されたが、まだまだ日本代表で試してもらいたい選手は多くいる。 【写真】「ケガがなければ…」日本代表の歴史を変えられた“未完の逸材”たち(全4枚)
まずはやはり、伊藤涼太郎(新潟)の名前が挙がる。1998年2月6日生まれの25歳。優れたボールテクニックと軽やかなステップ、相手の意表を突くパスと攻撃のアイディアを持ち、正確無比なシュートで自らゴールを奪うことも可能で、今季ここまで7得点4アシスト。Jリーグ全体の今季前半戦のMVPとも言える働きを続けた。今月5日にベルギー1部のシントトロイデンへの完全移籍が電撃発表されたばかりだが、海外でのプレーと同時に日本代表での活躍も期待が高まる。現在の森保ジャパンでトップ下のファンタジスタをどのように機能させるかは見どころだが、代表で苦しんできた古橋とはタイミングが合いそう。まずは試すべき。そして連携を深め、日本の新しい武器とすべきだ。
同じく今季のJリーグで輝き、代表入りを期待したいのが、浅野雄也(札幌)だ。1997年2月17日生まれの26歳。兄・拓磨譲りの爆発的なスピードに加え、切れ味鋭い高速ドリブルと強烈な左足のシュートという武器を持ち、今季は高い決定力を発揮して8得点をマークしている。長い時間をかけて戦術を落とし込んで連携を深めることができるクラブチームとは異なり、時間が限られる代表チームでは、攻撃の選手、特に点取り屋に関しては“旬の選手”を招集すべき。札幌では3-4-2-1の右シャドーが主戦場。代表では2列目のライバルは多いが、守備の献身性も高く、途中出場でも仕事ができるタイプなだけに“使いどころ”はあるはずだ。
首位を走るチームの中盤を支えている齊藤未月(神戸)も代表招集に値する選手であり、優れたパフォーマンスを見せている。1999年1月10日生まれの24歳。U-15時代から年代別代表の常連であり、湘南からロシアリーグに挑戦、G大阪を経て今季から神戸でプレーし、主力ボランチとして奮迅の活躍を披露している。運動力とボール奪取能力に対しては、すでに高い評価を得ていたが、今季はその武器がさらにスケールアップし、力強さが増している。プレーの連続性も光っており、代表では遠藤航の後継者、守田英正のライバルとして名乗りを上げられる。周囲のレベルが上がれば、縁の下の力持ちとして、より輝くタイプだ。
海外組としては、オランダで覚醒した斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム)を是非とも招集してもらいたい。2001年8月10日生まれの21歳。左サイドを主戦場に鋭いドリブル突破が武器のアタッカー。横浜FCで2018年7月に16歳でトップデビューを果たし、同学年の久保建英と並び称された逸材だ。2020年11月に海外移籍して以降、苦悩の時間を過ごしたが、ベルギーからオランダにレンタル移籍した今季は、エールディビジ28試合出場で7ゴール5アシストと、持てる才能通りの働きを披露した。鈴木唯人(ストラスブール)、藤田譲瑠チマ(横浜FM)らと同じくパリ五輪世代だが、早めにA代表で試す価値があるはずだ。
その他、FWでは大迫勇也(神戸)、鈴木優磨(鹿島)、武藤嘉紀(神戸)の実績組3人は、現在も間違いなく日本人トップレベルの実力を持つ選手たちであり、招集すればすぐにでも結果を残せるはず。中盤では24歳の伊藤敦樹(浦和)、渡辺皓太(横浜FM)、22歳の佐野海舟(鹿島)、20歳の松木玖生(FC東京)らが新たな招集候補に入ってくる。Jリーグで結果を残している選手をすぐに代表に招集することで、日本のサッカー界全体を活性化させる役割も代表チームにはある。若手の発掘も重要だが、30歳となった大島僚太(川崎)など、ベテラン勢の中にもまだまだ働ける選手は多くおり、可能性を閉ざすことなく試してもらいたい。
ひと昔前に比べて、国内外を含めて代表レベルでプレーできる日本人選手の数は間違いなく増えた。だが、それが森保ジャパンの強化、選手層アップにそのまま繋がっているかと問われれば“NO”だろう。2026年のW杯までは、まだまだ時間がある。それまでは積極的に新戦力を発掘し、招集した選手は恐れることなくピッチに送り出してもらいたい。(文・三和直樹)