応援ボイコットのガンバ大阪サポ連合がクラブとの対話中身を明かし混乱の謝罪と応援再開を表明も…一部SNSの批判の声止まず
横浜F・マリノス戦(20日・パナソニックスタジアム吹田)で応援をボイコットしたガンバ大阪サポーター連合が21日、公式SNSを通じてボイコットに至った経緯や、試合後にFW宇佐美貴史(31)ら選手たちとの間で交わされたやり取りの一部を公表し、今後の応援再開を表明した。声援や手拍子などで自発的に応援した一般のファン・サポーターとの分断など、異例の行動がもたらしたさまざまな混乱を謝罪したが、ネット上では「見苦しい言い訳」や「自分勝手」などといった批判が集中。応援ボイコットの波紋は広がったままだ。
「『応援』を放棄する決断への批判も理解」
マリノス戦のキックオフ直前に応援ボイコットを表明し、周囲に理解と協力を呼びかける異例の行動を起こしたガンバ大阪サポーター連合が、一夜明けて公式ツイッター(@gambasupporter)を再び更新。一連の経緯や現状、そして今後に言及した。
最初に投稿されたのは、応援ボイコットに至った経緯だった。
ツイートによれば、試合終了間際の失点でセレッソ大阪に敗れた、今月3日の大阪ダービー(パナソニックスタジアム吹田)がきっかけになったという。
続く6日の名古屋グランパス戦(豊田スタジアム)で、応援の全面ボイコットが検討された。
しかし、実施するならばホームの方が「メッセージ性も与える影響も大きい」と判断。名古屋戦はキックオフ直前までの応援ボイコットにとどめられ、さらに14日の浦和レッズ戦(埼玉スタジアム)ではこれまで通り応援する形態取られた。
しかし、ガンバは名古屋と浦和にも敗れ、ついに最下位に転落してしまう。ツイートはこれまでのサポーター連合の行為に言及した上で、ホームのパナソニックスタジアム吹田にマリノスを迎える20日の一戦までの経緯が説明されている。 「そして、浦和の敗戦後クラブに対し選手との対話を求めましたが断られ代わりに中口強化部長との話し合いを行いました。しかし、納得のいく回答が得られませんでした。現状、取りうる能動的アクションでの最終手段がボイコットしかないという状況から最終的に踏み切りました。過去のゴール裏の過ちを決して忘れてはいませんが、これらの現状下で取れる手段の最終形が『ボイコット』であった点。我々の唯一出来る『応援』を放棄する決断故に批判をいただくことも理解しております」(原文ママ、以下同じ)
迎えたマリノス戦は、サポーター連合が表明通りに応援をボイコット。対照的に一般のファン・サポーターの多くが自発的な声援や手拍子を送り、太鼓などの鳴り物による応援がない状況でもチャントを響かせる、過去にない雰囲気のなかで行われた。
しかし、ガンバは昨シーズン王者マリノスに0-2で完敗する。後半途中にはマリノスに退場者が出て、数的優位に立ちながらもセットプレーから追加点を決められる展開の末に、1998シーズン以来、実に25年ぶりとなるリーグ戦での5連敗を喫した。
試合後の挨拶でチームが場内を一周し、ゴール裏に差しかかった際には、選手たちとサポーター連合の幹部がフェンス越しに話し合いに臨んだ。
2つ目のツイートでは「箇条書きになります」とした上で、幹部から投げかけられた言葉が明かされている。
「このボイコットは諦めたわけでも見捨てたわけでもない。距離を縮めるための苦肉の策。俺達は人生かけてやってる。これをネガティブに捉えずに、ここを底やと思って一緒に這い上がろう」
「我々は何があってもガンバを見捨てない。何回4点取られた試合を見せられようが応援をやめることはしなかった。これからもそうするから応えてくれ。ぶつかってもいい」
「泣きたい気持ちも分かる、こっちも泣きたいくらい。でもそれ以上に這い上がらないといけない。上がるしかないからやり返そう」
一連のやり取りでは、今シーズンからキャプテンを務め、遠藤保仁(43)のジュビロ磐田移籍後は空き番だった「7番」も背負う宇佐美が涙する姿も見られた。話し合いの最後には、ダニエル・ポヤトス監督(44)やベンチ入りした全選手と幹部が握手を交わしている。
しかし、サポーター連合以外の反応は、賛成よりも批判の方が圧倒的に多かった。ボイコットを表明し、協力を呼びかけた最初のツイートには「勝てないからこそ応援するものじゃないの」や「他人に強要する事ではないよね」だけでなく、「応援しないなら来るなよ」とスタジアムへの来場そのものをボイコットすべきと指摘するリプライが寄せられた。
こうした状況を受けて、21日に投稿された3つ目のツイートは冒頭で「今後について」と題され、応援ボイコットが引き起こした混乱を謝罪している。
「今回の行動によって混乱を生みご迷惑をおかけしたことをお詫びします。決してネガティブな意図を持ち行動したことは無く選手や監督スタッフとより強固な信頼関係築き一丸となりこの苦境を乗り越え未来の栄光に繋げる為に起こした行動であるということをご理解ください」
さらに最後となる4つ目のツイートで、ホームに京都サンガF.C.を迎える、24日のYBCルヴァンカップからは応援を再開する方針を伝えている。
「次の試合からまた熱く激しくチームへのサポートを行うつもりです。異論等あるとは思いますがガンバ大阪が一丸となりここから這い上がりたいと思いますのでよろしくお願い致します」
一連のツイートには「雨降って地固まる」や「これで議論は終わり」に始まり、なかには「選手には響いたと思います」といった前向きなリプライが寄せられた。しかしながら賛成派は少数で、リプライの大半は批判で占められた。一部をあげれば次のようになるが、応援ボイコットをめぐる波紋は依然として広がったままだ。
「見苦しい言い訳しとる」
「自分勝手やなぁ」
「勝手に事起こしといて被害者面するの迷惑ですよ」
「今のままじゃ迷惑、一緒にされたくないわ」
「要約すると選手に握手して貰えて嬉しいから許しちゃったってことですか?」
「なんでこんなに上から目線なん」
「どうみても昨日炎上した言い訳やろ」
リーグ戦で1勝4分け9敗と泥沼にあえぐガンバは、応援ボイコットを巡る騒動が起こったマリノス戦後に、公式HP上で小野忠史社長名による声明を発表。そのなかで「どんな状況でも諦めることなく戦い、勝利を目指して取り組んでまいります」と綴り、今シーズンから指揮を執るスペイン出身のポヤトス監督体制を支援する意向を表明している。
今シーズンのJ1戦線では、同じく開幕から苦戦を強いられた鹿島アントラーズや横浜FC、柏レイソルがファン・サポーターから抗議を受けている。しかし、白星をきっかけに状況を好転させた鹿島は4位に浮上し、同じく横浜FCは最下位から脱出。柏は井原正巳ヘッドコーチ(55)を新監督に昇格させて、20日の首位・ヴィッセル神戸戦で引き分けている。
ファン・サポーターの間に溝が生じている状況を含めた、どん底を抜け出すための唯一の処方箋はリーグ戦での連敗を止める白星しかない。ガンバはルヴァンカップをへて28日に、敵地デンカビッグスワンスタジアムでアルビレックス新潟との第15節に臨む。