Jリーグ最強MFは誰だ!? 能力値ランキング1~10位。ブラジル人を上回る新旧サッカー日本代表とは?

明治安田生命Jリーグには、様々な特徴を持つ選手が活躍している。サッカーという競技の特性上、彼らの能力を数値化するのは極めて困難であることを承知の上で、フットボールチャンネルでは今季のスタッツを中心に様々なデータを集計し、5項目の能力に分類して数値化してランキングで紹介する。(5月1日時点でリーグ戦の出場時間が450分以上の選手が対象。データは5日時点)

10位:伊藤敦樹

所属クラブ:浦和レッズ

生年月日:1998年8月11日

今季リーグ戦成績:9試合1得点0アシスト

中高6年間を浦和レッズのアカデミーで過ごした伊藤敦樹は、流通経済大学での4年間を経て2021年に浦和のトップチームに加入した。プロ入り以前は最終ラインでプレーすることも多かったが、浦和ではボランチを主戦場としている。プロ1年目からリーグ戦36試合に出場し、3年目の今季も全試合に先発している。

185cmという恵まれた体格を持つ大型ボランチで、攻守におけるダイナミックさこそが伊藤が持つ最大の特徴だ。中盤の底でボールを散らす岩尾憲とは対照的に、広範囲に動いて相手の守備陣形を崩していく。他のMFに比べると「スキル」では若干劣るものの、攻守において効果的なランニングを見せる点で、「IQ」は高い数値となった。

「71」となった「守備」能力の高さは武器で、1試合平均タックル数はリーグ2位の4.2回を記録する。71.1%のタックル成功率もMFとしては高い数字で、インターセプト数もリーグ10位の4回をマーク。身体の強さや走力といった「フィジカル」面でも秀でており、そういった特長が能力値に大きく反映されている。

9位:樋口雄太

所属クラブ:鹿島アントラーズ

生年月日:1996年10月30日

今季リーグ戦成績:12試合0得点4アシスト

小学3年生のころからサガン鳥栖のアカデミーに在籍し、鹿屋体育大学を経てトップチームに加入した樋口雄太は、昨季から鹿島アントラーズでプレーしている。昨季はリーグ戦32試合に出場して8アシストを記録。今季も10試合消化時点で全試合に出場して4アシストをマークしており、多くのゴールに絡む活躍を見せている。

わずか3年強で22アシストという数字が表しているように、両足から放たれる精度の高いキックで多くのゴールチャンスを生み出している。「攻撃」が「68」、スキルが「64」と高い数字をたたき出しているように、攻撃面でその特徴をいかんなく発揮している。

優れたチャンスメイカーであるとともに、労を惜しまないダイナモとしての一面も持っており、90分換算の走行距離は約13.3kmに上る。168cmと小柄で、空中戦勝率は20%となっているが、走力の部分が評価されて「フィジカル」が「62」となった。5項目がすべて60台となっているのも、攻守に高いレベルでかかわり続ける樋口の特徴を表していると言えるだろう。

8位:喜田拓也

所属クラブ:横浜F・マリノス

生年月日:1994年8月23日

今季リーグ戦成績:11試合1得点0アシスト

昨季王者横浜F・マリノスのキャプテンが8位となった。横浜出身で小学生のときからマリノス一筋でプレーし続ける喜田拓也は、これまでリーグ戦200試合以上に出場してきた。2019年から5年連続で主将を任されており、チームメイトや監督から確固たる信頼を受けて中盤に君臨している。

最大の特徴はMF最高値の「81」を記録した「IQ」の高さ。周囲に攻撃性能の高いアタッカーやサイドバックがいる中、ボランチの喜田はかじ取り役として攻守のバランスを取り続ける。「守備」も「72」と高い数字をたたき出しており、球際の強さや鋭い予測から繰り出されるインターセプトでチームを支えている。

170cmという小柄な身体にもかかわらず「フィジカル」が「65」となったのは、献身的なランニングが評価されているから。リーグ6位となる123.8kmの走行距離を記録しており、流動的に動きつづけるマリノスの攻撃陣をサポートしている。4月29日には実に5年ぶりとなるゴールを挙げ、リーグ戦通算でもわずか3得点だが、それが喜田の評価に与える影響は小さい。

7位:稲垣祥

所属クラブ:名古屋グランパス

生年月日:1991年12月25日

今季リーグ戦成績:12試合2得点1アシスト

広大なカバーエリアを持つ稲垣祥の存在は、いつもチームを助けている。今季は復帰した米本拓司と中盤に並ぶことで、その効果は絶大なものに。稲垣と米本の“トリプルボランチ”は、堅守速攻を武器とする名古屋グランパスの生命線となっている。

MFトップ10最高値の「75」となった「守備」力の高さが最大の持ち味で、1試合平均タックル数はリーグトップの4.5回を記録する。無尽蔵のスタミナで90分を通してピッチを駆け回り、ボールを奪って攻撃に繋げる。自己最高値となったのは「IQ」で、状況判断力の高さも素晴らしい。

「フィジカル」面でも素晴らしいスタッツを残しており、走行距離は136.8kmでリーグ2位となっている。試合終盤の得点は稲垣だからこそ成せる技であり、今季もアルビレックス新潟戦の後半アディショナルタイムに長い距離を走ってゴールを決めている。名古屋在籍4年目の今季までリーグ戦を欠場したことはない。試合に出続けることが稲垣の価値を証明している。

6位:ダワン

所属クラブ:ガンバ大阪

生年月日:1996年6月3日

今季リーグ戦成績:12試合3得点2アシスト

ブラジル出身のダワンは昨季、ガンバ大阪に期限付き移籍で加入した。セリエA(ブラジル1部リーグ)で活躍したボランチはJリーグでも違いを見せつけ、チーム5位の出場時間を記録。完全移籍に切り替わった今季も開幕から活躍しており、昨季に並ぶ3得点を挙げている。

昨季より高い位置でプレーすることの多い今季は「攻撃」で「72」という高い数字を記録している。わずか12得点というチーム状況の中で3得点2アシストをマークしており、CKからのヘディング、ミドルシュート、クロスに走りこんで流し込む形と、ゴールパターンも豊富となっている。

空中戦勝利数33回はMF登録選手としてはリーグトップで、「フィジカル」の「78」という数値はトップ10の中では最高値となった。ボール奪取能力も高く、「守備」の貢献度も高い。攻守において素晴らしいパフォーマンスを見せていることを数字が証明している。

5位:マテウス・サヴィオ

所属クラブ:柏レイソル

生年月日:1997年4月15日

今季リーグ戦成績:12試合3得点2アシスト

献身的でありながら、創造性豊かなプレーで観る者を虜にする。ブラジルの名門フラメンゴ出身のマテウス・サヴィオは21歳のときに柏レイソルに加入し、昨季から背番号10をつける。かつて10番を背負ったフランサやレアンドロ・ドミンゲスに優るとも劣らない存在感を示している。

最大の特徴は「78」という高い数字を記録した「攻撃」で、ここまで3得点2アシストという素晴らしい数字を残している。チャンスクリエイト数、スルーパス数などはいずれもリーグ上位につけており、波に乗れないチームの中でも自身の強みを発揮している。

攻撃を牽引する10番は、シュートブロック数でチームトップの26回を記録するなど、守備でも労を惜しまない。ポゼッション距離、スプリント回数、走行距離などもチームトップクラスの数字を計測しており、「フィジカル」や「守備」といった能力も高い。オフ・ザ・ボールでの貢献度も高く、「IQ」も「72」という高い数字となっている。

4位:伊藤涼太郎

所属クラブ:アルビレックス新潟

生年月日:1998年2月6日

今季リーグ戦成績:12試合6得点2アシスト

昨季、アルビレックス新潟を6年ぶりのJ1昇格に導いた伊藤涼太郎は、今季も傑出したパフォーマンスを見せている。昨季はJ2で9得点11アシストという素晴らしい数字を残したが、今季はすでに6得点2アシストをマークしている。まだシーズンの約7割を残しており、昨季以上の数字を残すことも十分に可能だ。

特筆すべきはアタッキングサードにおけるクオリティの高さで、「攻撃」は「78」という高い数字をたたき出した。得点数だけではなく、チャンスクリエイト数35はリーグトップ、スルーパス35回もリーグ2位という好成績を残している。

ボールを巧みに操るテクニックに加え、相手守備陣の間にタイミングよく潜り込むポジショニングの良さが際立つ。「スキル」「IQ」という項目でも80近い数字となっている。トップ下というポジションゆえ、スタッツ上では「守備」の数字は低くなるが、90分換算の走行距離は11.5kmで、攻守に献身的かつ効果的なランニングが印象に残る。あらゆるスタッツを加味しても、今季の伊藤が特筆すべきクオリティを見せていることが分かるだろう。

3位:ディエゴ・ピトゥカ

所属クラブ:鹿島アントラーズ

生年月日:1992年8月15日

今季リーグ戦成績:11試合1得点0アシスト

中盤の底で鹿島アントラーズの攻守を支えるブラジル人が3位となった。ブラジルの名門サントスの主力選手だったディエゴ・ピトゥカは2021年に鹿島に加入した。ハードワークし続ける泥臭さと高い技術を兼ね備えるMFで、攻守両面でハイレベルな能力をJリーグでも見せている。

どの能力をとっても穴がなく、5項目すべてが「65」以上と均整の取れた能力となっている。中盤の底でパスを捌き、アタッキングサードで決定的なパスを出す「スキル」が高く、今季唯一のゴールは、開幕節で見せたペナルティーエリア外から放たれた完璧な左足のボレーシュートだった。

ピトゥカが評価される理由は、「スキル」の高さだけではない。ボール奪取能力も高く、球際にも強い。センターバックや左サイドバックでもプレーした経験もあり、今季の90分平均の走行距離は約12.0kmに上る。献身性やインテリジェンスの高さが自己最高値となった「IQ」の高さに反映されている。

2位:満田誠

所属クラブ:サンフレッチェ広島

生年月日:1999年7月20日

今季リーグ戦成績:11試合1得点2アシスト

昨季、大卒ルーキーながらサッカー日本代表にも選出された満田誠は、Jリーグでも指折りの攻撃的MFへと成長した。今季のサンフレッチェ広島ではシャドーとウイングバックを兼務しているが、どちらのポジションでも高いパフォーマンスを見せている。

チャンスクリエイト数はリーグトップタイの35回で、「攻撃」は「73」という高い数字をたたき出した。セットプレーのキッカーを任されており、精度の高いキックを含めた「スキル」の高さも持ち味だ。サイドから繰り出される切れ味鋭いドリブルも相手にとっては脅威となる。.

空中戦の勝利ではやや分が悪いが、「守備」への意識は高く、走行距離やスプリント回数といった「フィジカル」面の数字もリーグでは上位の部類に入る。9得点8アシストを記録した昨季に比べると、今季はまだ1得点2アシストと突出した数字を残すことはできていないが、細かいスタッツを見る限りは昨季と遜色ないパフォーマンスを見せていると言える。

1位:山口蛍

所属クラブ:ヴィッセル神戸

生年月日:1990年10月6日

今季リーグ戦成績:12試合2得点1アシスト

高い守備強度を武器に首位をキープするヴィッセル神戸を、山口蛍は中盤で先導している。32歳となった現在でもそのパフォーマンスは衰える兆しを見せず、今季はここまで11試合にフル出場している。

サッカー日本代表通算48試合に出場した経験を持つ山口の能力は、すべて「64」以上という均整の取れたものとなった。特筆すべきは「IQ」の高さで、予測や判断といった目に見えない能力が高く、1試合平均のインターセプト数はリーグトップの1.1回を記録している。

「フィジカル」や「守備」といった項目も高い数値となっている。173cmと小柄ながらタックル成功率は66.6%、空中戦勝率は57.6%という優れたスタッツを残しており、当然のようにスプリント回数や走行距離でもリーグトップ10に入っている。さらに、今季挙げた2得点がどちらも体力的に厳しいラスト10分で決めていることからも、「フィジカル」能力の高さがうかがえる。

https://www.footballchannel.jp/

Share Button