ガンバ大阪サポ連合の応援ボイコットに賛否…25年ぶり5連敗後に宇佐美が“号泣握手”しクラブが声明発表も波紋広がる

過去にもあった応援ボイコット

 話をガンバの件に戻せば、サポーター連合のツイートにはFWとして活躍し、2021年限りで引退したOBの平井将生さん(35)も反応。自身のツイッター(@ShokiHirai)を介して「シンプルに選手達を後押ししてあげてほしいです。負けたくて試合している選手なんかいません。クラブへの抗議はまた別の形があるのでは?」とリプライを寄せた。

しかし、平井さんへの返信には賛成意見だけでなく、事前申請制で横断幕が掲出できず、チームバスを囲めばスタジアムへの出入り禁止が言い渡され、クラブとのミーティングも開催されない、といった現状がガンバのファン・サポーターから寄せられている。

つまり、サポーター連合として抗議の意を伝える上で、90分間を通しての応援ボイコットは最後の手段だった状況をうかがわせる。それでも、連合に所属していない一般のファン・サポーターや、他のクラブのファン・サポーターの反応は対照的だった。

寄せられた批判の一部をあげれば次のようになる。 「勝てないからこそ応援するものじゃないの」 「てかさ、こんなこと4時間前にいうなよ、無責任やん」 「応援しないから、て何様なん? 自分ら選手らより偉いん?」 「みんなお金払って、ガンバ支えたくてスタジアムに足運んでるねん」 「他人に強要する事ではないよね」

なかには「応援しないなら来るなよ」と、スタジアムへの来場そのものをボイコットすべきだという声もあった。海外では本田圭佑が在籍していたころのACミランの低迷ぶりに、普段はゴール裏を埋める熱狂的なサポーター団体がホームでのリーグ戦観戦をボイコット。代わりに「GAME OVER」などと書かれた横断幕を掲出したケースもあった。

異様な雰囲気に支配されると思われたマリノス戦。サポーター連合は表明通りに応援をボイコットしたが、一般のファン・サポーターの多くは応援ボイコットに従わなかった。

自然発生的な声援や手拍子に加えて、太鼓などの鳴り物による演奏がなくてもチャント(応援歌)が夜空に響きわたる光景が生まれた。

しかし、残念ながら現状のガンバは結果に結びつけられない。

序盤こそ試合を優勢に進めながら、前半37分に日本代表FW西村拓真(26)に先制ゴールを許す。後半14分にはマリノスのDF松原健(30)が2度目の警告を受けて退場。数的優位に立ちながらもゴールは遠く、逆に34分にDF永戸勝也(28)に直接FKを決められた。

0-2の完敗とともに1998年シーズン以来、実に25年ぶりとなる泥沼の5連敗を喫した。17位の湘南ベルマーレとの勝ち点差は4ポイントと最下位からの脱出も遠い。試合後には一部スタンドから「連合、帰れ」と連呼されるなど、ガンバ大阪サポーター連合と一般のファン・サポーターの「分断」が、試合中に続いて露になる事態も発生している。

さらに試合後の挨拶時には、ゴール裏のフェンス越しに、ポヤトス監督や全ベンチ入り選手がサポーター連合と話し合っている。マイクは「絶対に見捨てないから」や「はい上がろう」といったサポーターの声を拾っていて、今シーズンからキャプテンを務め、遠藤保仁の磐田移籍後は空き番となっていた「7」も背負う宇佐美が涙する姿も配信されている。

試合中は座ったまま応援をボイコットしながらも、試合後は指揮官や選手たちへ熱い言葉を投げかけた上にがっちりと握手も交わした。

ガンバは試合後に公式HPを更新。小野忠史社長名で「ガンバ大阪に関わる全ての皆様へ」と題した声明を発表した。その一部は次のように綴られている。 「試合の中での厳しさや、最後まで走り抜くこと、目の前の試合を勝ち切るチームの姿勢に関してもご意見を頂戴しております。我々ガンバ大阪は必ずこの困難な状況を脱し(中略)ガンバ大阪に関わる全ての皆様に笑顔をお届けできるよう、どんな状況でも諦めることなく戦い、勝利を目指して取り組んでまいります」

ガンバに対する抗議の意を示す手段となった応援ボイコット。社長名で発表された声明を引き出したのはひとつの成果かもしれないが、ファン・サポーター間では溝が深まりつつあり、宇佐美の涙に象徴される選手への過度なプレッシャーにもなっている。試合後に交わした“握手”が、連敗脱出のきっかけになればいいのだが…。次戦は24日にホームでルヴァンカップの京都サンガF.C.戦があり、リーグ戦は28日に敵地でのアルビレックス新潟戦。ちなみに宇佐美は累積警告で新潟戦には出場できない。

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