【番記者の視点】4連敗で最下位 J2降格圏転落のG大阪 ゴール後に“腰が引けた”理由
◆明治安田生命J1リーグ 第13節 浦和3―1G大阪(14日・埼スタ)
【G大阪担当・金川誉】勝ちたいという思いが、チームに重い鎖をかけていったように映った。FWジェバリのファインゴールで1点をリードしたにもかかわらず、その後は最終ラインが下がり、浦和に押し込まれる時間帯が続いた。前半終了間際、ハンドで与えたPKで追いつかれると、後半も流れは変わらず。押し込まれ、相手CKの流れから2失点目。さらにGK東口のパスが自陣エリア内で奪われ、現状では絶望的と言える3失点目を喫した。
浦和戦前、選手たちからは「先制できれば…」という声を聞いた。得点が入りにくいサッカーの特性上、先制点はどの試合でも重要な意味を持つ。しかも今季、ボール保持率では相手を上回る試合が多いG大阪にとって、リードを奪って試合をコントロールすれば、限りなく勝利に近づけるはずだった。
しかし現実のピッチでは違った。リード後はボールを握るどころか、奪ってもクリア、さらに前からのプレスもかからずに自陣に後退し“腰が引けた”ように見えた。象徴的だったのは、同点ゴールを許したシーン。浦和のCBがG大阪陣内深くまでボールを持ち込んだにも関わらず、フリーでエリア内へのパスを許した。これに抜け出した浦和FW興梠のパスが、DF福岡の手に当たってPKに。ボールホルダーへの寄せがもう少しあれば、防げた失点だった。ハーフタイムにも修正できず、押し込まれる時間が続いた後半の立ち上がりに2失点。リードを守りたいという消極的な心理が、チームの重心を下げ、持ち味のボール保持でも浦和に上回られた要因か。
「たとえばヨーロッパでは1―0や2―0で終わる試合が多く、まずチームはクリーンシートを目指す。13試合で28失点では、スタートラインに立てない」。FWジェバリの言葉だ。今季、ボール保持をベースに「試合を支配する」という狙いでチームは進んできたが、ここまでわずか1勝で最下位に転落。まずは失点を減らしていかなければ、浮上の目は見えない。
ポヤトス監督が守備的なスタイルへと転換する可能性は低いが、理想より先に必要なものが今のチームにはある。目の前のデュエルに負けない闘争心と、チーム全員で穴を開けずに守りきる意識。これは目指すべき攻撃的なスタイルと、相反するものではないはずだ。選手全員がお互いに強く要求しあって作り上げる守備がなければ、理想の追求などできるはずもない。