「やっぱり遠藤航選手はすごい」パリ五輪を目指すU-22代表「守備の要」半田陸が森保ジャパンの一員となって感じたこと
サッカー日本代表「パリ世代」インタビュー08半田陸(ガンバ大阪/DF)後編
◆半田陸・前編>>「山形はすごく居心地のいいクラブです。だけど…」
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今年3月に行なわれた親善試合で日本代表(A代表)に初選出された半田陸は、年代別代表経験が豊富な、いわばエリートである。
2017年、U-15代表に初めて選ばれて以降、年代別代表の常連となり、2019年にはU-17ワールドカップにも出場。守備の要であるセンターバックとしてだけでなく、キャプテンとしてもチームを引っ張り、日本のベスト16進出に大きく貢献した。
同年代の選手に先駆けてA代表入りを果たした俊英は、同時にU-22代表にも名を連ねており、来年開かれるパリオリンピックでの活躍が期待されている。
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── 半田選手はU-15代表での初選出以来、年代別代表に数多く選ばれてきました。
「毎回選んでいただくたびに、すごくうれしかったですし、どんな選手と一緒にできるんだろうっていうワクワクもありました。ひとつの遠征が終わるたびに、自分の成長を実感できていたので、代表活動中はすごくいい時間を過ごせていたのかなと思います」
── 15、16歳で海外を経験すると、刺激も多かったのではないですか。
「ヨーロッパとかきれいなところだけじゃなくて、本当にいろんなところに遠征させてもらって、現地の食事なども含めて、その環境でどう自分たちのサッカーを100%出すための生活をするかっていう面では、ほかの人ができないような経験ができました。
サッカーにおいても、それぞれの地域にいろんなタイプの選手がいるなかで試合を経験できたことは、すごく自分にプラスになったのかなと思います。やっぱり(若い時は)試合をすることで一番成長できると思うので、いろんな国の、いろんなタイプの選手と対峙できたことは、大きな財産だと思います」
── そのひとつの集大成が、2019年にブラジルで開かれたU-17ワールドカップだったと思いますが、グループリーグを1位で突破しながら、ラウンド16でメキシコに0-2と完敗。悔しい終わり方になりました。
「僕自身としても、チームとしても、グループリーグは結果も内容もすごくよかったのに、ちょっと気が抜けたのか、あのメキシコ戦はうまく噛み合わずに終わってしまった。僕は(負傷欠場でメキシコ戦を)ベンチから見ていたんですけど、もっとできることがあったんじゃないのかなって思ってます」
── それでもグループリーグ1位通過には手応えもあったのではないですか。
「グループリーグは(2勝1分の)1位で抜けられましたけど、すごくいい手応えがあったなかでの、ああいう負け方だったので……。世界はこんなもんじゃないっていうことを改めて認識させられたような終わり方だったと思います」
── U-17ワールドカップの時には、キャプテンも務めていました。性格的にはキャプテンタイプですか。
「どうなんですかね(笑)。(キャプテン)キャラではないって自分では思っているんですけど(笑)。今度、森山(佳郎U-17代表監督)さんに会ったら聞いてみたいです」
── U-17代表ではセンターバックだった半田選手も、その後は主にサイドバックでプレーしています。世界の舞台で戦ってみて、サイズ的にセンターバックでは厳しいと感じることもあったのですか。
「その時にプレーしていて、厳しいというのは全然なかったです。それでも、将来を考えると(サイドバックのほうがいい)……という感じでしたね」
── 本来なら2021年のU-20ワールドカップがリベンジの舞台になるはずでしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催中止となりました。
「U-17ワールドカップの時、僕は(最後の試合に)出られずに終わってしまい、次はそこを目標にしながらやってきたので、大会がなくなってしまって本当に残念でした。でも、(中止が決まった以上)また復活することはありえないので、割とすぐに(気持ちを)切り替えることはできたんじゃないかなと思います。今は、次にオリンピックっていうリベンジの機会があるので、すごく楽しみにしています」
── 昨年、パリオリンピックを目指すチームが立ち上げられ、大岩剛監督が就任しました。
「ボールをしっかり動かしていくチームですし、そのなかでも1対1や球際のところ、それに(攻守の)切り替えのところは本当に大事にしています。大岩監督は練習のなかでセットプレーに十分時間を使うので、セットプレーを大事にしている監督なんだなって感じています」
── 昨年は3月のドバイカップをはじめ、久しぶりに海外遠征もありました。
「『やっぱりこれだな!』っていうか、自分がやりたかった舞台、目指してきた舞台はこういうところだなって、すごく実感しました」
── 昨秋のヨーロッパ遠征では、スペイン、イタリアなどの強豪国と対戦しましたが、印象に残っているチームはありますか。
「一番はイタリアです。(相手選手との)間合いを空けていたら縦をぶち抜かれて、しかも相手はボールを持って走っているのに全然追いつかなくて……。一瞬のちょっとしたミスでやられるっていう、強豪国とやるからこそわかることを実感できた、いい遠征だったと思います」
── そういう相手だとワクワクしますか。
「試合前からワクワクしますし、試合中も、ぶち抜かれたあとの対応をどうしようって考える、そういうことも自分のなかではワクワクです(笑)。
ワクワクは相手が強くなればなるほど大きくなりますし、試合を楽しみながらというか、駆け引きを楽しみながら試合ができるような感覚です」
── 今年3月には、ついにA代表初選出。どんな気持ちでしたか。
「すごくうれしかったですけど、その反面、本当に僕が選ばれて大丈夫なのかな……という思いも多少はありました」
── A代表の親善試合と同じ時期に、U-22代表はヨーロッパ遠征を行なっていました。A代表選出が伝えられるまでは、そちらに参加する心づもりだったのですか。
「そうですね。パスポートを準備したり、持っていくものを考えているような状態だったので(笑)。本当にビックリしました」
── とはいえ、ガンバ大阪で今季開幕から試合出場を重ねるなかで、それなりの手応えはあったのではないですか。
「いや、全然なかったです。相手ボールを奪いきったりすることができず、試合で全然いいプレーができてなかったので、本当に手応えはゼロでした」
── 今回は試合出場の機会こそありませんでしたが、活動全体を通じて初めて経験したA代表はどんなものでしたか。
「やっぱりサッカーの強度が全然違ったので、新しい基準を知ることができたのはすごくよかった。それ以外の面でも、海外での生活だったり、いろんな話を聞けたのでよかったです」
── もともと面識があったり、話ができたりする選手はいたのですか。
「いなかったので、選ばれたのを知った時から、すごく緊張してました(苦笑)」
── 海外でプレーしている選手は、A代表のなかで見ても違うものですか。
「体つきも全然違いますし、球際や1対1をひとつ取っても、全然違うなって感じました」
── 具体的に、誰のどんなプレーにそれを感じましたか。
「やっぱり、遠藤航選手は相手との距離がすごく近いですし、そのなかでボールを奪いきれる。そこはすごいなって思いました」
── 自分自身の海外移籍への気持ちも強まりましたか。
「そうですね。やっぱり、早く海外に……という思いは、この前のA代表(での活動)が終わってすごく出てきました。でも、まずは目の前のことをひとつずつ(こなしていこう)って今は感じています」
── 昨年のワールドカップを経て、A代表ではボールを保持するスタイルを取り入れようとするなかで、現在はサイドバックの役割が注目されています。
「自分は、そういうサッカーを理解できていると思いますし、柔軟に味方と相手の位置を見ながら、あとはスペースも見ながら外側からでも内側からでも動けるようになれば、サイドバックがゲームを作れるようになる。そこが一番大事なところなのかなと思っています」
── 自分のよさを生かせそうですか。
「そうですね。十分に生かせそうな感じです」
── 森保一監督から個人的に言われたことはありますか。
「僕が(親善試合だけでなく)紅白戦も出られないという感じだったので、その時にちょっと話はしました」
── 悔しさが残る活動でしたか。
「試合に出られなかったんで、すごく悔しかったです」
── それでも一度選ばれたことで、次も絶対に選ばれたいという気持ちは強くなりましたか。
「やっぱり、あのレベルで練習や試合をしていけば、自分もより成長できるので。ただ、そのためにはガンバで(活躍しなければいけない)っていう思いがより強くなりました」
── パリオリンピックまでは、U-22代表の活動と両立させていくことになりそうです。
「大岩さんも『A代表経由でオリンピックチームに』ということをずっと(目標として)言っていますからね。自分がA代表に選ばれ続けたり、試合に出られたりすれば、オリンピックチームにもすごくいい影響を与えることができる。僕自身も、いろんなことを吸収していければなと思います」
<了>
【profile】半田陸(はんだ・りく)2002年1月1日生まれ、山形県上山市出身。モンテディオ山形ジュニアユース→ユースを経て2009年にトップチームに昇格。同年5月のジェフユナイテッド千葉戦でJリーグデビューを果たす。2023年、ガンバ大阪に移籍。U-15から各年代の日本代表に選出され、キャプテンとしてチームをまとめる。2023年3月のキリンチャレンジカップでA代表に初選出。ポジション=DF。身長176cm、体重63kg。