【番記者の視点】17位転落…G大阪ににじむ緩みと焦り ポヤトス監督は正念場か

明治安田生命J1リーグ 第10節 鹿島4―0G大阪(29日・カシマ)

【G大阪担当・金川誉】ゴールデンウイークの初日。遠路アウェーまで駆けつけたサポーターにとっては悲劇だった。後半だけで4点を失い、鹿島に大敗。リーグ戦10試合を終えて、1勝4分け5敗で17位に転落した。ポヤトス監督が会見冒頭に「サポーターに申し訳ない気持ちでいっぱい。この場を借りて謝りたい」と言葉を絞り出すのも当然だった。

緩みと焦り。勝てないチームに起こったふたつの事象が、大敗の要因だ。前半は約6割のボール支配率で上回り、選手達も「主導権は握れていた」と口々に話した。決定的なチャンスはほぼなかったにも関わらず、ボールを保持する時間が長かったことで、どこか「試合を優位に進めている」という心理が働いたのか。後半3分、CKからあっさりと失点。指揮官は「後半、もっとインテンシティー(強度)を持ちながら入る必要があった。何とかなるだろう、というような雰囲気があった。そこはもっと締めて、相手を上回るぐらいのものを出していかないといけない」と苦言を呈した。

本来ならばセットプレーからの1失点ぐらいで、揺らぐべきではない。しかし「主導権を握れていた」つもりが失点し、今度は焦りは表面化した。同19分、右サイドのミドルゾーンでボールを失うと、カウンターを受けた。この瞬間、左サイドバックのDF黒川は高い位置に。ハーフタイムには相手が中央を固める中で、サイドからの攻撃活性化が求められていたからだ。すると鹿島の右MF名古に背後のスペースを突かれた。同FW鈴木優磨への決定的なクロスを許し、2点目を失った。

黒川は「リスクを負いすぎたのかもしれない」と悔やんだが、彼一人の問題ではない。早く追いつきたい、という思いで前掛かりとなるのは理解できる。しかしホームで先制し、鹿島が勢いを増した試合の流れをチーム全体として感じ取ることができていたか。ずぶずぶと相手の術中にはまっていったことが問題だ。その後、2点を追いかける状況でさらにバランスを崩したチームは、今季3度目の4失点という屈辱にまみれた。

10試合を終えてボトム2の17位は、通常なら監督解任が叫ばれるような順位だ。今季は降格チームが1というレギュレーション、さらにサッカーのスタイルを大きく転換している最中とあり、クラブは“我慢”のシーズンと位置づけている。しかし、時間は無限に与えられるわけではない。次節・5月3日はC大阪との大阪ダービー。どうチームを立て直してビッグマッチに挑むのか。ポイントのひとつは、ボールを回しながら点は取れていない前半の評価か。これを継続するのか、それとも選手の入れ替えなどで“メス”を入れるのか。ポヤトス監督にとっては、大きな正念場といえるだろう。

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