【番記者の視点】G大阪、不運だけで片付けられない痛恨ドロー わずかな緩み“魔の時間帯”
◆明治安田生命J1リーグ 第9節 G大阪1―1横浜FC(23日・パナスタ)
【G大阪担当・金川誉】まるで何年間も冷蔵庫で放置したケチャップのように、ゴールの“口”は詰まりきっていた。1―1の後半に放ったシュートは18本(前半4本)。特に後半30分以降には、4本のシュートがポスト、バーを叩いた。敵陣に押し込み、サイドから中央からと手を変え品を変えゴールに迫った。しかし最後までこじ開けることはできなかった。
2点目が奪えなかった理由については「決定力が足りなかった」というポヤトス監督の言葉がすべてだろう。しかし気になったのは、先取点の後に、宇佐美が「少し自分たちの勢いがぼやけてしまった」と語った時間帯だ。前半13分に左サイドからFWアラーノのラストパスを、MF宇佐美が決めて先制。今季初めて前半15分までにリードを奪い、その後もFWジェバリらがチャンスを迎えた。しかしそんな中で追加点を奪えず、流れが横浜FCに傾くのはセオリー通りだった。
失点は、小さなほころびがきっかけだった。パスミスやプレスのミスから、横浜FCにシュートチャンスを与え、風向きが変化しつつあった前半終了間際の43分。中盤での守備があっさりとかわされ、バイタルエリアまで簡単に運ばれて与えたCKから失点。指揮官は「自分たちがリラックスした瞬間があったんじゃないか、と思っています」と表現した。先取点を奪い、その後も優勢にすすめる中でわずかな緩みから“魔の時間帯”が生まれ、手痛いつけを払うことになった。
ほんの少しの運に恵まれなかった、と片付けるのは簡単だ。しかし最下位相手に、勝ちきれなかったという事実は重い。ポヤトス監督は「内容はいい試合ができているので、今やっているサッカーを信じながら、前に歩み続け行かないといけない」と、下を向くことはなかった。ここからは鹿島、C大阪、名古屋、浦和、横浜Mと難敵相手が続く。「今やっているサッカー」の信頼が揺らぐ前に、勝ち点3を積み上げていかなければ、苦しいシーズンが続くことになる。