【番記者の視点】痛恨ミスで敗北のG大阪…試合の流れをつかめなかった交代策と課題
◆明治安田生命J1リーグ 第8節 京都2―1G大阪(15日・サンガS)
【G大阪担当・金川誉】一つのミスから決着はついた。1―1の後半42分。DF三浦が自陣深くで京都MFパウリーニョのプレスにかかってボールを失い、同FWパトリックに決勝点を許した。「何ともなかったシーンだった。単純にミスだった。プレスにくることはわかっていたし、シンプルにやるべきところでミスをした」。三浦はそう振り返り、サポーターやチームメートに「申し訳ないけど、切り替えてやっていくしかない」とはき出した。
確かにミスがなければ、ドローに持ち込むことはできたのかもしれない。しかしこの試合の“潮目”を探すのであれば、途中交代で流れをつかめなかったことを挙げる。1―1の後半21分、ポヤトス監督はこの日先制ゴールのMF石毛に代え、エースのMF宇佐美を投入。勝ち越しを狙うための勝負手だったが、宇佐美は攻守がめまぐるしく入れ替わる展開の中で、力を発揮できなかった。
指揮官は「彼はゴール前で良さが出る選手。もっと自分たちがいい状態を作りながら、彼の良さを出していければよかった」と、宇佐美を生かす試合展開に持ち込めなかったことを悔やんだ。宇佐美は負傷から復帰して2試合目で、この日もベンチスタート。その間にポジションをつかんだMF石毛がこの日も美しいミドルシュートで同点ゴールをマークしており、攻守に結果を残している。宇佐美であってもレギュラーが保証されない状況は、チームにとっては決してマイナスではない。
高い技術はもちろん攻守にハードワークをいとわない石毛に対し、強度は落ちるがアイデアや決定力が武器の宇佐美。指揮官は「(宇佐美)貴史をヒデ(石毛)と比べることはしません。彼の良さは、ボールを持った時に違いを作ってくれる部分。彼自身が一番心地よくプレーできるように組織をつくって、助けていきたい」と語っている。より相手を敵陣に押し込んだ状況で戦うことができれば、宇佐美の創造性や“ひと振り”の精度は生きるはず。課題は選手交代に合わせて戦い方を微調整できなかった点とみる。
京都・チョウ貴裁監督は、途中出場のパトリック、パウリーニョが決勝点に絡んだこの試合を振り返り「今のサッカーは、途中から出た選手が活躍しないと勝っていけない」と断言した。交代策からパトリックの恩返し弾に屈し、連勝で波に乗ることは出来なかったG大阪。突如として顔を出すミスからの失点癖も含めて課題は山積みだが、今はこの痛みも糧として積み上げていくしかない。