よほど選びたくない理由があるのか…森保一監督のメンバー選考に「?」も3年後の結果に直結するプラス材料の行方にも注目
2022年ワールドカップが閉幕しておよそ3カ月。2026年ワールドカップへ向けて、再び日本代表が動き出した。
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“第2次森保一政権”下での初陣となるのは、3月24日に行なわれるウルグアイとの親善試合。続く28日のコロンビア戦と合わせ、2試合に臨む日本代表メンバーが発表された。
その内訳は、ワールドカップの登録メンバーだったカタール組が16人と、それ以外が10人。カタール組以外の選手のなかには、初招集の4人が含まれている。 「カタール(ワールドカップメンバー)から基本的に選んで、そこに(新たな)選手を加えて代表活動をスタートする」
森保監督もそう話しているように、大まかに言えば、ワールドカップの登録メンバーからベテランを外し、新たに若手を加えた格好だ。
今回発表されたメンバーを見て、目を引くポイントは主に2点。プラスの意味とマイナスの意味で、それぞれ1点ずつのポイントがある。
まずはマイナスのほうだが、ともにセルティック(スコットランド)でプレーする、FW古橋亨梧とMF旗手怜央のふたりが選外となったことだ。
現在のふたりの活躍は目覚ましく、今季はスコットランドリーグだけでなく、UEFAチャンピオンズリーグにも参戦。残念ながらグループリーグ敗退に終わったとはいえ、そこで彼らが見せたパフォーマンスは、決して失望させられるようなものではなかった。
率直に言って、今回の日本代表メンバーに選ばれて当然の選手だろう。
ところが、発表されたリストに彼らの名前はなし。森保監督は「リーグのレベル、置かれている状況もそれぞれ違う。いろんなことを考えての招集(選手選考)」だったと説明しているが、同じセルティックでプレーする前田大然は今回も選ばれているのだから、「リーグのレベル」が決定的な理由とは考えにくい。
加えて、指揮官からは「この一回だけが代表活動ではない。彼らはチームの戦力として問題なく活躍してくれると思うが、(今回は)違う選手を見たいということ」とも話していたが、彼らふたりは先のワールドカップでは、昨年9月のドイツ遠征(実質的なワールドカップ本番前最後の活動)にも参加していながら、最後の最後に登録メンバーから漏れた選手である。
だとすれば、彼らのモチベーションを保つためにも、再スタート後最初の活動である今回こそ、誰よりも呼ぶべき選手だったのではないだろうか。
にもかかわらず、今回もまた選外。メンバー選びは監督の専権事項であるとはいえ、よほど選びたくない(選ぶにあたらない)理由があるのではないかと勘繰ってしまうほどだ。
いずれにしても、現在の彼らのプレーぶりを見る限り、「?」が残る選手選考だったことは確かだろう。
その一方で、若手を中心に新たな顔ぶれが日本代表に加わったことは、プラス材料として捉えるべきポイントである。
とりわけ注目したいのは、初招集の4人。しかも、うち3人がDFであることは興味深い。そこには、ベテランの後釜探しを早急に進めたいという、森保監督の狙いがはっきりとうかがえる。
つまりは、センターバック(吉田麻也)、左サイドバック(長友佑都)、右サイドバック(酒井宏樹)が、後釜探しが必要なポジションということになるわけだが、センターバックでは角田涼太朗(横浜F・マリノス)が、左サイドバックではバングーナガンデ佳史扶(FC東京)、右サイドバックでは半田陸(ガンバ大阪)が、それぞれ初招集されているのである。
しかも、角田に至ってはセンターバックのみならず、左サイドバックもこなすのだから、ポスト吉田だけでなく、ポスト長友の候補にもなりうる。実際、森保監督も両方のポジションでの起用を考えていると話しており、今の日本代表にとっては、願ったりかなったりの人材だろう。
また、21歳のバングーナガンデの選出に関して言えば、これが日本代表初招集ということで、多少なりとも驚きを持って受け止められたかもしれない。
だが、今季FC東京では長友を押しのけ、左サイドバックのレギュラーポジションをつかんでいる。いわば、すでにポスト長友の座に就いている選手なのだから、日本代表でも当然名前を挙げられるべき選手である。
2010年以降、長友の独壇場だった左サイドバックにおいて、これからどんな競争が見られるのか。カタール組の伊藤洋輝(シュツットガルト)も含め、日本代表の再スタート早々、ポスト長友の争いはし烈なものになりそうだ。
そのバングーナガンデと半田は、U-22代表世代の選手でもあり、同じ時期に同代表が行なうヨーロッパ遠征メンバーの有力候補だったはず。主力選手をA代表に”奪われる”結果となったU-22代表の大岩剛監督にとっては、悩ましいところかもしれない。
しかし、22歳以下の選手がこうしてA代表に名を連ねることは、当人たちにとって貴重な経験となることはもちろん、同世代の選手の気持ちをざわつかせることにもつながるに違いない。
「もっと(U-22代表の選手が)A代表に絡んでいかないといけないと思っている。もっともっと行ってほしい」
大岩監督もそう話している通り、そうしたサイクルが活発になることで、「我々(U-22代表)の選手層が厚くなる」というメリットもあるだろう。
カタールでは、堂安律(フライブルク)、三笘薫(ブライトン)、田中碧(デュッセルドルフ)らの東京五輪世代がブレイクしたように、次のワールドカップでその役割が期待されるのは、現U-22代表のパリ五輪世代。彼らがどれだけ成長するかは、ワールドカップでの結果に直結すると言ってもいい。
再スタートの初陣にして、早くもA代表に名を連ねるパリ五輪世代の選手が現れたことは、歓迎すべきことである。