【番記者の視点】ポヤトス監督就任初勝利の京都戦 “聖域なき”チーム内競争の勃発か

◆YBCルヴァン杯 ▽1次リーグE組 京都1―3G大阪(8日・サンガS)

【G大阪担当・金川誉】ポヤトス監督にとっては、初勝利の安堵感と今後のメンバー編成へのうれしい悩み、両方を得た試合となったはずだ。京都が経験の浅い若手中心のメンバー編成だったことは差し引く必要があるが、選手個々の特徴をチームとして生かす形が見えたことはプラス材料だろう。

果敢にハイラインハイプレスを仕掛けてきた京都の守備を、狙い通りに切り裂いた。0―0の前半30分。左サイドバックのDF黒川からのロングフィードに、MFアラーノが抜け出した。最後はマイナスへの折り返しにFW福田が右足を振り抜いて先制。さらにセットプレーから同点とされた後の同42分にも、再び黒川のロングフィードからFW鈴木が起点となり、左サイドを福田が突破。ドリブルでDFをかわした福田の折り返しを、MFダワンが決めて勝ち越した。

黒川は「相手が前からプレッシングをはめにくる、と(分析で)言われていた。僕が(味方の)センターバックの横についたら、相手ウイングのプレスの距離が長くなる。それ(プレス)を出させたら裏や間が空いてくる、という狙いで、一番優先順位が高い裏(のスペース)を突けた」と話した。リーグ戦では4日・神戸戦で0―4と大敗した後、この試合に向けて準備してきた狙い通りの形。ボール保持にフォーカスしたくなるポヤトス監督のスタイルだが、指揮官が語り続けてきた「どこのスペースが空いているのか」という真の狙いを、選手たちが体現した。

リーグ戦では開幕3試合で2分け1敗とまだ勝利がない中で、成功体験が必要だった。神戸戦から先発7人を変更した中でも、黒川を含めてDFラインの4枚中3枚は神戸戦から変更せず。またリーグ戦ではウイングでプレーしていたMFアラーノも、ポジションをインテリオール(インサイドハーフ)に変え、引き続き先発起用された。黒川の左足の精度、豊富な運動力でスペースを突くアラーノの動き出しで奪った先制点は、相手のハイプレス対策としてポヤトス監督のイメージにも刻まれたはずだ。

さらにリーグ戦では出遅れたFW福田、パリ五輪世代のMF山本理らチャンスを得た選手がアピールに成功した。福田は1得点1アシスト、山本理はセンスあふれるパスに加えて激しい守備でも貢献。また開幕から22歳の谷にポジションを譲っている36歳の元日本代表GK東口も今季初出場。後半7分の好セーブなどでその力を示した。途中出場したMF石毛もG大阪での初ゴールを決め、各ポジションで結果を出した選手たちが、リーグ戦でもチャンスを得る可能性は十分に高まったといえる。

ポヤトス監督はチーム内競争の激化について「ガンバであれば、こういった(競争のある)状況は必要」とうなずいた。開幕からリーグ戦で起用されてきた選手たちにプレッシャーを与え、指揮官には選択肢を与えることになったルヴァン杯初戦。はっきりと言えるのは、リーグ戦で初勝利を狙う広島戦(12日・パナスタ)でスタメンに立つ可能性がある選手が、確実に増えたということだ。

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