開幕3連勝のヴィッセル神戸や昨季躍進のサンフレッチェ広島など Jリーグ西の6チームの主要布陣と戦いぶり

J1全18チームの主要フォーメーションと戦いぶり 後編

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◆【画像】ガンバ大阪、セレッソ大阪、サンフレッチェ広島ほか、J1全18チーム序盤戦フォーメーション

Jリーグ開幕3節終了時の、J1全18チーム主要フォーメーションと戦いぶりを紹介。後編では開幕3連勝のヴィッセル神戸ほか、大阪の2チーム、広島、九州の2チームなど、6チームのこれからを展望する。

【スタイル刷新の今季。注目はやはり宇佐美貴史

ガンバ大阪

FW/山見大登(食野亮太郎)、鈴木武蔵(イッサム・ジェバリ)、ファン・アラーノ(杉山直宏) MF/宇佐美貴史、ダワン(山本悠樹)MFネタ・ラヴィ(ダワン) DF/黒川圭介(江川湧清)、クォン・ギョンウォン、三浦弦太、半田陸(高尾瑠) GK/谷晃生(東口順昭)

今季からガンバ大阪はスペイン人のダニエル・ポヤトスを新監督に迎え、サッカーのスタイルが刷新された。基本システムは4-3-3で、攻撃ではビルドアップから高いボール保持率をベースに敵陣へ進入していく。守備では宇佐美貴史が一列前へ上がり、4-4-2に可変してタイトな守備ブロックを形成。攻守にやることははっきりしている。

開幕の柏レイソル戦はアウェーでもボールを保持して主導権を握り、先制を許しながらも逆転に成功した。終了間際のPK献上で引き分けになったものの、新スタイルは機能していた。ただ、第2節のサガン鳥栖戦では粘り強い守備で勝ちきれず、第3節のヴィッセル神戸戦では相手のプレスに苦しみ大敗。未だ勝ち星に恵まれていない。

注目はやはり新キャプテンとなった宇佐美だろう。卓越したキープ力とパスセンスでビルドアップを助けつつ起点となり、ファイナルサードでは柏戦の1点目のように違いを生み出す。ポヤトスサッカーの中心としてチームを牽引する存在だ。

【攻撃は強力。ストライカーの爆発が待たれる】

セレッソ大阪

FW/上門知樹(北野颯太)(香川真司)、レオ・セアラ(加藤陸次樹) MF/為田大貴(中原輝)、原川力(鈴木徳真)、奥埜博亮、ジョルディ・クルークス DF/山中亮輔(舩木翔)、西尾隆矢、マテイ・ヨニッチ、毎熊晟矢 GK/キム・ジンヒョン(清水圭介)

セレッソ大阪は第1節ホームで昇格組のアルビレックス新潟に引き分け、第2節ではアウェーでアビスパ福岡に敗戦、第3節で浦和レッズにも競り負け、厳しい開幕スタートとなった。内容的にも新潟にはプレスをうまく剥がされてリズムが掴めず、福岡にはスペースを消されて思うような攻撃ができなかった。

昨季から引き続き、ハイプレスで相手を追い込んでボールを奪うチーム全体でのハードワークは健在。そこからの両サイドでの崩しはC大阪の強みで、とくに今季加入のジョルディ・クルークスの高精度クロスと毎熊晟矢の絶妙な攻撃参加の右サイドは強力だ。

両サイドから質の高いクロスが入ってくるだけに、ポイントはフィニッシュだろう。その意味で期待される新加入のレオ・セアラだがここまで得点なし。浦和戦ではネットを揺らすもオフサイドで取り消しになった。昨季もそうだったが、最後のクオリティをどう上げられるか。ストライカーの爆発が待たれる。

【開幕3連勝。ハイプレスがはまる】

ヴィッセル神戸

FW/汰木康也(ジェアン・パトリッキ)、大迫勇也(ステファン・ムゴシャ)、武藤嘉紀(泉柊椰) MF/齊藤未月(井出遥也)(佐々木大樹)、山口蛍 MF/大崎玲央(齊藤未月) DF/初瀬亮、山川哲史、菊池流帆(本多勇喜)、酒井高徳(飯野七聖) GK/前川黛也

唯一の開幕3連勝と、序盤の主役となったのはヴィッセル神戸だった。福岡戦は相手の守備に1-0と手を焼いたものの、北海道コンサドーレ札幌、G大阪戦は大勝し、失点も3試合で1点のみと攻守によいパフォーマンスを見せている。

そのなか今季のチームで印象的なのは、前線からのハイプレスだ。とりわけ札幌やG大阪といったビルドアップでボールをつないでくる相手に、連動したハイプレスがハマった。どちらの試合でも高い位置でボールを奪取し、そのまま先制点につなげて流れをものにした。

ボール保持時には右サイドバックの酒井高徳が高い位置を取って可変し、DFラインが3人となって中盤の枚数を増やすなど、ビルドアップでの立ち位置の工夫も見られる。

そして2試合連続得点の大迫勇也のキープ力を起点に、汰木康也のドリブル突破、武藤嘉紀の推進力など、前線のタレントは今季も違いを生み出している。攻守が噛み合った神戸が、スタートダッシュでどこまで勝点を伸ばすか見ものだ。

【足りないのはフィニッシュの精度】

サンフレッチェ広島

FW/ナッシム・ベン・カリファ(ピエロス・ソティリウ) MF/森島司(川村拓夢)、満田誠(エゼキエウ) MF/東俊希(柏好文)(志知孝明)、野津田岳人、川村拓夢(松本泰志)、中野就斗(満田誠) DF/佐々木翔、荒木隼人、塩谷司 GK/大迫敬介

昨季3位のサンフレッチェ広島は大幅な戦力の入れ替えはなく、好調だったチームは今季も継続されている。前線からのハイプレスの強度は高く、奪ったあとのダイナミックな動き出しも開幕戦から見られ、総じて悪いゲームはしていない。

しかし、結果を見ると2分1敗といいスタートは切れなかった。開幕の札幌戦は多くの時間で主導権を握りながらスコアレスドロー。第2節新潟戦はハイプレスを剥がされて対応できないうちに2点先行を許し、後半に攻め立てるも競り負けた。昨季王者との第3節は、幸先よく先制するもすぐに追いつかれ、一人多い状況になるもあと1点が奪えなかった。

広島は守備の強度も高く、チャンスも作り出している。足りないのはフィニッシュの精度やクオリティの部分だろう。ナッシム・ベン・カリファは勤勉で攻守に多くのタスクをこなすが、最後のところでまだ結果を出せず、それは交代で入るピエロス・ソティリウも然り。フィニッシュをどう改善するか注目だ。

【堅守は盤石。攻撃では紺野和也のキレに注目】

アビスパ福岡

FW/ルキアンMF/山岸祐也(佐藤凌我)、紺野和也(金森健志) MF/小田逸稀(亀川諒史)、中村駿(井手口陽介)、前寛之、湯澤聖人(前嶋洋太) DF/宮大樹、奈良竜樹、ドウグラス・グローリ GK/永石拓海(村上昌謙)

アビスパ福岡は長谷部茂利監督が3シーズンに渡って築いた堅守が、今季もベースとして盤石であることを開幕3試合で披露した。守備時に5-4-1となってコンパクトに陣形を作り、宮大樹、奈良竜樹、ドウグラス・グローリの3センターバックによる人に強い守備は対戦相手を大いに苦しめた。

開幕の神戸戦こそジェアン・パトリッキの個の力に屈したが、第2節C大阪に2-1、第3節柏に1-0と、力のあるチーム相手に僅差をものにした。2勝1敗は福岡にとっては最高のスタートが切れたと言えるだろう。

攻撃面で注目したいのは、今季FC東京から加入した紺野和也だ。ジョルディ・クルークスが引き抜かれた穴を埋める形で加入した紺野は、神戸戦やC大阪戦でキレのあるドリブルと左足のクロスでチャンスを作り、前任者の穴を感じさせないクオリティを見せている。

ルキアン、山岸祐也も合わせた前線3人のタレントが、カウンターでどれだけ躍動できるかがキーになるだろう。

【狙いが明確な戦いもチャンスはまだ少ない】

サガン鳥栖

FW/小野裕二(富樫敬真) MF/本田風智(森谷賢太郎)、西川潤(菊地泰智) MF/長沼洋一、藤田直之、河原創、岩崎悠人(樺山諒乃介) DF/原田亘、山崎浩介、福田晃斗 GK/朴一圭

サガン鳥栖はホームで迎えた開幕の湘南ベルマーレ戦で1-5と大敗を喫し、手痛いシーズンスタートとなった。第2節のG大阪戦では先制を許しながら樺山諒乃介の個人技で同点に追いつき、引き分けに持ち込んだ。そして第3節は開幕2連勝と好調な名古屋グランパスを相手に、終了間際にCKから1点をもぎ取り、接戦の末に今季初勝利をホームで挙げることができた。

鳥栖はビルドアップでGKを使いながら数的優位をうまく作り、相手のプレスを剥がして前進。サイドの長沼洋一や岩崎悠人で起点を作り、インサイドの本田風智や西川潤、あるいは小野裕二、富樫敬真がポケットを狙って崩していく。狙いは明確で、ボールもよく握れているが、ここまでの3戦ではチャンスの数はまだ多くはない。

G大阪戦で強烈な個を見せた樺山、アンカーでロアッソ熊本の中心だった河原創など、個性の強い選手を獲得した。あとはフィニッシュのところで、ベガルタ仙台から加入した富樫がクオリティを示せるかに注目だ。

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