G大阪FW鈴木武蔵が“地味な得点”に手応え感じた理由「点を取れる場所にいられた」
G大阪FW鈴木武蔵(29)が1日、鳥栖戦(2月26日・パナスタ)で挙げた今季初ゴールを「この辺に来そうだな、と感じてポジションを取り直せた。点を取れる場所にいられた、というイメージです」と振り返り、取り組んできた意識の変化への手応えを明かした。
0―0の後半6分、FW宇佐美のCKからゴールは生まれた。鈴木は味方選手と連なって相手のマークを混乱させる動きから、ゴール正面に入ったボールに味方が競る間に、するするとファーサイドへ。密集地帯でわずかに空いたスペースに立つと、相手DFのクリアが短くなったこぼれ球に素早く反応し、右足で蹴り込んだ。
一見すればこぼれ球を押し込んだ“地味な得点”にも映った。しかし「(スペースを)見つけるように努力している」意識のたまものでもあった。「身体能力だけじゃなく、ポジショニングでサッカーはすごく変わってくると気づいた。考えて、首を振りながら、ボールが来たときにどうするか、というイメージを持つように。世界レベルの選手を見ていると、何回も首を振っている。それを見ながら、まだまだですけど意識するようにはしています」。その結果、鳥栖戦ではこぼれ球に誰より速く反応し、ゴールが生まれた。
抜群のスピードを武器に台頭し、リオ五輪代表、A代表にも選出され、ベルギー1部・ベールスホットへの海外移籍も経験してきた鈴木。当然、以前から首を振って周りを意識するプレーも行ってきたが「ヨーロッパに行ってから、さらにその感覚が強くなった。中盤の選手は首振りが大事ですけど、FWも常に敵の場所を把握することが大事だなと」。日本より身体能力の高い選手が多い欧州で、自身の課題と向き合い、進化の必要性をより感じてきた。今季はG大阪でセンターFWを務める中、より得点感覚に優れたストライカーとしての色を強めようとしている。
若手の頃は、スピードにまかせたダイナミックな突破力などを武器にしてきた。「今となっては、うまくいくときは、サッカーは大変じゃないんです。無理して自分でどうにかしようとすると、余計に難しくなる。(パスを)はたくところははたいて、点を取れるところに入っていくことがFWとしては大事。たまには自分で行く場面も大事なので、そこは残しつつ。味方や自分の位置を把握しながらできるのが理想かな、と思います」と語る。ダニエル・ポヤトス監督も「彼(鈴木)のよいところはスペースの理解」と、相手守備を見て空いたスペースを見つける鈴木の能力を評価している。
夏にベルギーからJリーグ復帰した昨季は、チーム状況の悪さと負傷も重なり、1ゴールのみに終わった。背番号9に変更した今季は勝負の年。「僕は点を取れる場所、っていうのがあると思っています。そこにいかに顔を出せるか。ストライカーとしてはこぼれ球とか、点を取れる場所にいることが大事。そこにいなければ、点を重ねるのは難しいので」。昨季は得点源の不在に苦しみ、残留争いに巻き込まれたG大阪。スピード系FWから、“点取り屋”らしくモデルチェンジしつつある鈴木がフィットすれば、得点力不足という悩みは消えるはずだ。