【番記者の視点】G大阪、インテリオール起用の宇佐美貴史が初ゴール「やること多い」30歳からの進化へ

明治安田生命J1リーグ▽第1節 柏2―2G大阪(18日・三協F柏)

【G大阪担当・金川誉】G大阪は柏との開幕戦で2―2と引き分け、ポヤトス新監督体制での初勝利はならなかった。この試合では、MF宇佐美貴史(30)が今季から挑戦しているインテリオールでプレーし、後半4分には今季初ゴールもマーク。スペイン人のポヤトス新監督(44)に合わせ、日本ではまだなじみの薄いスペイン語で表記するが、この起用が宇佐美の新たな能力を引き出す可能性を感じた。

インテリオールとは、インサイドハーフと呼ばれることも多い中盤のポジション。4―3―3の布陣で、中盤を逆三角形に配置した場合、前(上)の2人となる。攻撃の中心となるポジションではあるが、守備の負担も多い。これまでFWやトップ下、ウイングでプレーすることが多かった宇佐美がフィットするのか疑問だった。

この日、際立ったのが、宇佐美の「止める」技術の正確さだ。少々パスが浮いていようが、何事もなくボールを収め、パスをつないだ。宇佐美といえば、ドリブルの突破力やシュート力で注目が集めてきた選手。これまでの監督は、その能力を相手ゴール前、得点に直結する場面で使いたいと考えることが多かった。中には宇佐美が中盤に下がって組み立てに参加し、肝心のゴール前にいないことを良しとしない場合もあった。しかしこの日はボールを触れば触るほど、チームの助けになっていた。

「試合を支配する」ためにボール保持を重視するポヤトス監督は「貴史自身、中でプレーすることが好きな選手。ボールをたくさん触れますし、ゴールも中央にあるので、彼をあのポジションに置いています」と起用の意図を説明した。また攻撃時は4―3―3だが、守備時には宇佐美を前に上げて4―4―2に変化させることで守備や運動量の負担を軽減。相手ゴール前でプレーする回数は多くなかったが、後半4分のゴールシーンではもうひとりのインテリオール・山本悠が右サイドで起点となり、宇佐美はゴール前へ。本来の持ち味でもあるドリブルからの決定力を発揮し、得点に結びつけた。

宇佐美は「下がって受けて次の選手に出して流れを作り、どうやってフィニッシュに絡むか。ゴールやアシストを取っていくためには、やはりゴール前に顔を出さないといけない。そこもやりつつ守備やって、やることは多くなるが、チャレンジしがいがある」と語っていた。背番号7を継承し、主将にも就任した今シーズン。30歳を過ぎ、ここからさらに選手として成長を遂げるのは至難の業だろう。しかし7番の先輩・遠藤保仁がJリーグMVPに輝いたのは34歳。まだ完成形は見えないが、期待せずにはいられない。そんなシーズン初戦、久しぶりだ。

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