【番記者の視点】ポヤトス新監督就任のG大阪、開幕戦の注目ポイントは 中盤3枚が鍵
G大阪は18日、柏(三協F柏)とのJ1開幕戦を迎える。ポヤトス新監督を迎え、近年の低迷から脱却を目指す新シーズン。開幕戦としては2020年の横浜M戦以来、3年ぶりの勝利を目指す初陣の注目ポイントを、G大阪担当の金川誉記者が「読み解く」。
開幕スタメンがここまで予想できないシーズンは、かつて記憶にない。練習試合が1試合も公開されなかったことが大きいが、たとえ公開されていてもメンバーはかなりミックスされていたとの情報があり、予想できたかどうか…。「攻守でゲームを支配する」という合言葉の下、ボールポゼッションをベースに攻撃的なスタイルを取り戻そうとしているG大阪。まず注目のポイントとして挙げたいのは、中盤3人の人選だ。
4―3―3の布陣を採用しているポヤトス監督は「中盤3人の選手が重要になってきます。試合をつくり、チャンスをつくるポジションなので、彼らがうまく機能しなければ、チャンスはなかなかつくることができなくなると思っています。3人には常に先読みして動くことを求めています。それによって相手より早く動くことができますし、先を見据えたプレーができると考えています」と語っている。中盤の底でセンターバックとともにボールを動かすアンカー、さらにインテリオール(インサイドハーフ)と呼ばれる2人が、キーマンとなることは間違いない。
アンカーの候補はMFダワン、山本理、そして14日に合流したばかりイスラエル代表MFネタ・ラヴィ。インテリオールは宇佐美、山本悠、倉田、山本理が候補か。ともに相手のプレスを把握し、どうボールを動かせば有利になるのか、という素早い判断が求められ、入念なポジショニングの指示も与えられてる。キャンプからアンカー、インテリオールの両ポジションでプレーしてきた山本理は「アンカーはより低い位置でボールを受けるので、より正確なプレーや簡単なプレーの判断が求められる。(インテリオールは)1つ前なので、勝負のパスの割合が多くなる」と語る。いかに3人が数多くボールに触れ、かつインテリオールが高い位置でチャンスにからむことができるかは、チームの出来を見定めるポイントになりそうだ。
これまでFWやウィングとしてプレーすることが多かった宇佐美は、より攻撃の組み立てにも関わるインテリオール起用について「技術的なストロングやアイデア、自分が持っているものをどれだけチームの攻撃に落とし込めるか。うまくいかない理由も把握して、それを選手たちに伝える役割もしてほしい、と(ポヤトス監督には)言われています。チャンスメイクしながら点を取りに行くところは、自分に課す最大のテーマ」と語っていた。キャンプからチームとして積み上げてきたボールの動かし方から、いかにゴール前のチャンス、そして得点に結びつけられるかは、MF陣の働きにかかっている。
チュニジア代表FWジェバリが負傷中の影響もあり、15日の紅白戦では宇佐美がセンターFWの位置に入るなど、スタメンの構成は読めない。GKでは東口、期限付き移籍から復帰した谷ら代表クラスの名手が競い、右サイドバックでも新加入したパリ五輪世代のDF半田陸、元来ビルドアップを得意とするDF高尾がポジション争いを繰り広げる。選手間競争は激化している印象は強い。
開幕戦は過去10年でわずか1勝(3分け6敗)と相性は悪いが、選手達からは新たなチャレンジに対する高揚感を感じる。ポヤトス監督は「本当にワクワクした気持ちでいっぱい。キャンプからボールの動かし方に取り組んできた中で、全体的にアイデア、理解度はかなり進んでいる感触を得ています。あとプレッシングや切り替えの部分も練習の中でよくなっているが、そこはさらによくしていきたい」と語っており、チームの“肝”となる戦術浸透は進んでいるとみる。あとはそれを恐れずにピッチで表現できるか。近年は志半ばに断念していた攻撃的スタイルへの回帰を目指す新シーズンが、いよいよ始まる。