「森保さんとモメたのか…?」堂安律24歳がいま明かす、1年前日本代表を外された“真相”「(伊東)純也くんと比べて、自分に?だった」
発売中のNumber1067号では、サッカー日本代表の「今」を総力特集。巻頭では大舞台で2得点をあげた堂安律選手が、カタールに至るまでの“真実”と、次のW杯へ向けた覚悟を明かした「エースを超える」を掲載。そのロングインタビューから一部を抜粋する。【全2回の1回目/#2へ】
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――(ドイツ戦で)ゴールを決めてコーナーフラッグのほうに走っていったとき、時間の流れがスローモーションになって、音が聞こえなかったそうですね。ゾーンに入る経験はこれまで何度かあるんですか?
堂安律(以下、堂安) いや、人生で2回だけですね。ドイツ戦と、A代表初ゴールのとき。
――ああ、2018年10月のウルグアイ戦。
堂安 カットインした瞬間、ゴールまでのコースは狭かったんですけど、すごく広く見えて。あの試合は13kmくらい走っているんですけど、今までそんなに走ったことはなかった。アドレナリンが出まくって勝手に体が動く状態だったんでしょうね。
――ゾーンに入るコツは?
堂安 いや、プロフェッショナルの方に聞いても、ゾーンというのは自分でコントロールできるものではないと。ただ、ゾーンの前のフローの状態はコントロールできるから、フローに入りながら、たまに訪れるゾーンを楽しみなさいと。フローの状態は、自分なりに少しずつ作れるようになってきたかなと思います。
「森保さんと揉めたのか?」
――僕が感じる堂安選手の魅力は、プレーもそうだけど、メンタルの作り方、マインドセットなんです。試合前にあえて緊張するようにしていたり、「冷静でいながら少しイライラしているほうが動ける」と言っていたり。非常にうまいなと。
堂安 いろいろ試行錯誤はしてきました。でも、本当の意味でしっかりマインドセットできるようになったのは、アジア最終予選の最後に代表を外されたのが大きかったと思います。『なんでやねん! 』ってイライラしたし、悔しかったし。それまでも覚悟、覚悟と言ってたんですけど、6月シリーズで代表に復帰したとき、本当の覚悟ができた。6月のパラグアイ戦が人生で一番緊張したんです。あのとき、周りにやりづらい状況を作り出された感じがあって。森保(一)さんと揉めたわけじゃないのに、友だちから『揉めたのか』って聞かれたり。僕のツイートは森保さん宛てだと言われたり。
――「逆境大好き人間頑張りまーす! あ、怪我してません!!」というやつですね。
堂安 怪我じゃなく、シンプルに外れたってことを伝えたかったんですけど、ネットニュースにされて(苦笑)。でも、自分はカッコつけやし、みんなの前では『俺を使え』って言うし。だからパラグアイ戦は、ここでやれなかったら、W杯はないなって。そうしたらいいプレーができて、やれるぞって思えた。アピールに成功したからじゃなくて、このパフォーマンスをここで出せたってことは、自分のメンタリティにはもう迷いがないという確信に変わって。パラグアイ戦前の行動も全部覚えてるんですよ。あれはフローの状態やと思っていて。 逆境大好き人間頑張りまーす! あ、怪我してません!!
― Ritsu Doan/堂安 律 (@doan_ritsu) March 16, 2022――どんな感じだったんですか?
堂安 ロッカールームで音楽を聴きながら準備をしてたんですけど、いつもは試合のことを考えるから歌詞は全然入ってこないのに、そのときは歌詞が入ってきて、良い曲だなって。ピッチに出ても、札幌ドーム、広いなっていう感じで余裕があるんですけど、心臓はバクバクしている。
「正直、純也くんのほうがオレよりいい」
――余裕と緊張のバランスが良かった。
堂安 (原口)元気くんから試合後、『右サイドで律が自信満々のオーラ出してたから、全部お前に出したわ』って言われて。これがフローの状態なのかなって、コツを覚えたんですよ。それからマインドセットも含めて、完璧な準備でW杯に臨めたので。
――吉田選手がドイツ戦後、「律は代表でうまくいかない時期もあったけど、代表に懸ける姿勢が変わってきた」と言っていて。そのコメントから、苦しい時期を乗り越えたんだろうなと感じていました。
堂安 ほんと、苦しかったですね。純也くんの活躍を見せつけられて、正直、純也くんのほうが俺よりいいと思っていたし。純也くんよりいいパフォーマンスを出せるかと言ったら、自分自身にハテナだった。今だから言えますけど、自分自身に不甲斐なさを感じていたし、この緊張感のなかでやれる選手は凄いなって。
――そうやって認めてしまうことも悔しい。
堂安 それなのに、周りには『俺を使ったほうがいい』とか言ったり。今思えば、カッコ悪いサッカー選手だったなって思います。それを見抜かれたのか、代表から外されて、目が覚めた感じがあって。
堂安律(どうあん・りつ) 1998年6月16日、兵庫県生まれ。G大阪ユース時代の2015年5月にトップチームデビュー。17年にフローニンゲンに移籍。PSV、ビーレフェルトでプレーし、今季フライブルクへ。日本代表では18年に初出場。22年W杯は全4試合に出場。代表通算33試合5得点。172cm、70kg



