中田英寿、本田圭佑…「自信を身にまとう男」今大会のチームにもいた その名は鎌田大地【カタールW杯】
◇記者コラム「目撃者」
「自分を信じることだ。自信のない者に戦う資格はない」―。元日本代表監督のイビチャ・オシムさんの言葉だ。W杯を戦ってきた過去の日本代表を振り返れば、誰よりも自分自身を信じることでチームの光となり、道標となってきた男たちがいた。
中田英寿、本田圭佑とキャラクターこそ違えど、このチームで言えば鎌田大地にほかならない。
「そこまで気負うことなく、いつも通りの自分で入れたらいい。いい状態ではあると思うので、いつも通りできたらいい」
舞台が大きくなっても、入れ込むことなく、「いつも通り」と繰り返した。それほどまでに、いまの鎌田は自信に満ちあふれている。
今季公式戦22試合12得点4アシスト。ドイツ専門誌『キッカー』のフィールドプレーヤー平均評価ランキングでは、ミュラーらバイエルン勢を差し置いて堂々の単独1位だ。ただ、背負う看板が大きくなっても、鎌田本人は「特に驚きはない」と言い、「自分としては『常にできる』と言い続けてきたし、サプライズではないという感じですかね」と淡々と受け止めた。
喜びや感情はあまり表には出さない。周囲とのコミュニケーションも決して活発ではない。「内に秘めた意思の強さ」。鎌田の源流をたどると、周囲の人々はそう口をそろえる。
G大阪ジュニアユース監督だった鴨川幸司さん(現ティアモ枚方アカデミーダイレクター)は懐かしそうに言う。
「同期の井手口陽介(現セルティック)はいろんな人から見ても目標になるような有名な選手だった。そういう選手が同じチームにおったら、普通は意識するでしょ。でも、大地はもっと上を目指していたのかもしれない。そういう性格だった」
ひるまぬ闘志、揺らがぬ自信。その目線ははるか上。鎌田の存在こそが、ニッポンの推進力になる。



