【G大阪】宇佐美貴史、先制演出のフル出場「弱者のサッカーに徹する」首位横浜撃破で残留へ望み
<明治安田生命J1:横浜0-2G大阪>◇8日◇第32節◇日産スタジアム
残留争いのガンバ大阪が敵地で首位の横浜Fマリノスを2-0で破り、暫定ながら自動降格圏を脱して16位に浮上。残留へ望みをつないだ。キャプテンマークを巻いたFW宇佐美貴史はコーナーキックからMFフアン・アラーノの先制点を演出するなど、フル出場で貢献した。
◇ ◇
J1残留へ、なりふりかまわず、つかんだ勝ち点3だった。試合後、宇佐美は笑顔は見せずに語った。「弱者のサッカーに徹することを、状況もふまえて割り切った」。分析のために横浜の映像を見て、「ボールを持てるとは到底思えなかった」。力の差をここまで認めるのは当然、不本意だった。ただ、優勝を目前にする相手。理想やプライドは捨てる必要があった。
シュート数もボール支配率も、おそらく負ける。そのうえで、選手間で意思統一した。「相手のセンターバックには、無理をして(プレスに)いかなくていい」。FWやボランチが追いかけて、選手間の距離が広がってできたギャップを突かれることだけはしないと徹底した。「相手がやりたい、縦に速くというところだけやらせないように」。ボール支配率はわずかに31%。だが想定内だった。
チャンスになるのはセットプレーとカウンター。「粘り強く守り続けて、1発、2発とって勝てればと思っていた」。まさにその展開に持ち込んだ。前半に自らのCKから先制。以後は固く守ってカウンターから奪ったFKを生かして追加点。「相手のほうがクオリティーが高い。相手よりも走る、守備を精いっぱい全員でやる。そうやっていかないと勝ち点は拾っていけない」。言葉が体現された90分間だった。
自身は3月6日の川崎F戦で負った右アキレス腱(けん)断裂から1日の柏戦で復帰し、この日が2戦目。「7カ月遠ざかったぶん、試合の反動はすごくある」。試合前日になるまで、筋肉痛が取れなかった。できる限りのケアをし、ピッチに立った。後半途中には「体力は大丈夫」とベンチとやりとりし、フル出場した。
これで自動降格圏を脱する16位に浮上。17位清水が消化試合が1つ少ないため簡単ではない状況が続くが、首位横浜を敵地で撃破したことは大きな希望になる。「J1にチームを残せれば、不本意ではありますけど、現状の目標は達成できる。来季につなげるためにもあと2つ、死ぬ気で頑張りたい」。戻ってきたエースが、チームの窮地を救うために走り続ける。
◆J1残留争いの行方 J1残留争いは大混戦。今季は16位がJ1参入プレーオフに回り、17位以下の2チームがJ2へ自動降格。現時点で静岡の2チームが自動降格圏に沈む。ただ、今季はまだ消化試合数がそろわない上、下位チーム同士の直接対決も多く残る。13位湘南から17位清水まで勝ち点3差に5チームがひしめき、15位福岡と16位G大阪が最も少ない残り2試合。勝ち点25で最下位の磐田は厳しい状況にあるが、最多の残り4試合で、12日に首位横浜と対戦し、その後に清水、G大阪、京都との直接対決がある。