激戦のJ1残留争いで生き残るチームはどこだ? 識者3人の見解はほぼ一致した

どこがJ2に落ちてもおかしくない最終的に大きく作用するのは「運」か

小宮良之氏(スポーツライター)

◆最終予想順位12位=ヴィッセル神戸13位=清水エスパルス14位=アビスパ福岡15位=湘南ベルマーレ16位=京都サンガ17位=ガンバ大阪18位=ジュビロ磐田

サッカーの方向性のなさや戦力的な厳しさを総合的に考慮に入れると、12位~18位の順番はどうなっても不思議ではない。大差はなく、どこがJ2に落ちてもおかしくはないだろう。最後まで切実な争いになりそうだ。

磐田は現在最下位に位置し、単純に厳しい。残留圏とは勝ち点差7。残り5試合を考えれば、土俵際まできている。背水の覚悟で挑むとしても、これまでの戦いを劇的に変えられるような要素は見当たらないだけに……。

ガンバ大阪は本来、降格するようなクラブ規模ではない。ただ、監督の登用があまりに無軌道。選手の緊急的補強に関しても資金力に物を言わせたが、点でバラバラに戦う印象がさらに強くなった。”監督交代ドーピング”の効果もすでにきれている。第33節の磐田戦は”雌雄を決する”ことになるか。

京都は、J2を勝ち抜いてきた”懸命さ”は本物と言えるだろう。だが、そのサッカーの中身は開明的とは言えず、戦力的にも劣勢。しぶとく勝ち点を拾えるチームだが、筆者自身が開幕前の予想で降格圏に入れたので、それを貫くことにした。

湘南は、ぼんやりだがサッカーの仕組みが見え、それが選手を成長させており、生き残るべきチームだろう。福岡は最後まで強度で勝負し、勝ち点を稼げる。

清水は早々に監督を交代したことによって、チアゴ・サンタナが躍動。乾貴士など即戦力を入れることで浮上した。神戸のマネジメントは模範にすべきではないが、武藤嘉紀など突出した選手たちがどうにかできるだろう。

不安定な要素が多いだけに、結局は”運”が大きく作用するかもしれない。残留戦は、人々の祈るような気持ちが入り乱れ、エモーショナルな戦いになるはずだ。

熾烈なのは福岡、湘南、京都の争いプレーオフ行きとなるのはどこか?

中山 淳氏(サッカージャーナリスト)

◆最終予想順位12位=ヴィッセル神戸13位=清水エスパルス14位=アビスパ福岡15位=湘南ベルマーレ16位=京都サンガ17位=ガンバ大阪18位=ジュビロ磐田  残り4~5試合となっても、まだ大混戦模様のJ1残留争い。

そのなかで現在13位の神戸は、G大阪との”関西ダービー”を制したことが好材料なうえ、福岡、サンフレッチェ広島、湘南と続く今後3試合の対戦カードから見ても、12位以上の成績を残す可能性は十分。また、ゼ・リカルド体制になって復調気味の清水も残留は堅そうだ。

逆に、厳しいのは最下位の磐田だ。渋谷洋樹新監督就任後も大きな変化は見られず。残り5試合のうち、清水、G大阪、京都との直接対決を控えるが、全勝でもしない限り、現在の勝ち点差を考えても奇跡は起こりそうもない。

同じく、残り4試合で勝ち点29のG大阪も、松田浩監督になってから現実的な戦いに舵をきりながら、結果は出ていない。残りの対戦相手には、分の悪い横浜F・マリノスや鹿島アントラーズが残っており、次の柏レイソル戦に勝てなければ、降格が現実的になりそうだ。

問題は、勝ち点31で並ぶ福岡と湘南、それを1ポイント差で追う京都の行方だ。このなかで、福岡は残りの対戦相手が神戸、コンサドーレ札幌、柏、浦和レッズの4チーム。勝ち点4ポイント以上を手にする可能性はあるだろう。

5試合を残す湘南は、ホームが1試合しか残っていないのが気になるが、今季はアウェーで3勝しているうえ、連敗が少ないのが好材料だ。

京都は5試合に加えて、天皇杯準決勝も残っているため、日程的ハンデを背負うのが不安材料。最終節に磐田戦を残しているが、もしその前に磐田の降格が決定していると、意外と苦しめられる可能性はある。

たとえ降格が決まっても最後まで手を抜かないのがJリーグの特徴でもある。それを含め、J1参入プレーオフ行きとなる16位は、京都になる可能性が高い。

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