残留ラインはハイレベルの「42」? “残留確定”はまだ3チーム、過去例から導き出す今季の熾烈なサバイバルゲーム
【識者コラム】残留ラインの勝ち点は「試合数×1=34」が当てはまるが今年は例外!?
ガンバ大阪が残留に向けて監督交代(片野坂知宏→松田浩)に踏み切った。25節を終えて現在24試合消化しているG大阪が残り10試合で挽回できるのか。そして、今年の残留ラインは何点になりそうなのか分析してみる。
まず、現時点での順位表から。
今後、これまでと同じ割合で今後も勝ち点を稼いでいくと仮定すると、このようなフィニッシュが予想される。
J1リーグは残留ラインの勝ち点が「試合数×1=34」と言われていて、今年もその数字にピッタリ当てはまることになる。
ただ、もし残留ラインを「34」だとすれば、8月19日現在、17位で残り10試合のG大阪と残り9試合の磐田の現時点の勝ち点が「22」なので、4勝以上の成績を残せば残留できることになる。残り試合の半分以下に勝てば大丈夫、ということだが、果たして本当にそうだろうか。
ここで過去のシーズンの残留ラインはどうだったのだろうかを調べてみよう。J1リーグが現在の18チーム構成になった2005年以降、降格がなかった2020年、20チーム構成だった2021年を除いて、16位から18位のチームの勝点は何点だったのか(カッコ内は勝ち点)。
データにある15シーズンのうち、「試合数×1=34」が残留ラインだというのには7シーズンが当てはまっている。
残留ラインが「勝ち点42」になる可能性も?
ところが過去、18位で降格したチームは15シーズン中10シーズンで勝ち点22を下回っている。ということは、今年は下位のチームが例年以上のペースで勝ち点を稼いでいると言えるだろう。
では、現状のように最下位のチームが25試合を消化した時点で勝ち点22を獲得していたことはあるのか。実は過去に似通ったシーズンが1回だけある。それは2018年。25節を終了した時点での成績はこうだった。
勝ち点41で5チームが並ぶという大接戦で、残留ラインとしては「42」を目標にしておくべきだったことになる。
今年はこの2018年よりもラインが上がる可能性があるが、仮に「42」だとした時、現時点で残留を確定しているのは上位3チームしかない。
つまり4位以下はほっと一息つけるという状態ではないのだ。さらに、2018年第25節に比べると、1位の勝ち点が低く、勝ち点20点台のチームは増えており、さらに混戦度合いが高まっているのが分かる。
もしも「42」が目標の場合、これまでと同じペースで勝ち点を稼ぐと勝ち点42を下回ってしまう札幌、福岡、清水、京都、湘南、神戸、G大阪、磐田は危ない。そしてこの8チームが粘ることでさらに混戦度合いが増し、2018年を上回る激戦になることも十分予想できる。
G大阪の危機意識が高まるのも無理はない状況
最後に、後半戦になってブーストがかかっているチームはどこか調べておこう。
ということになる。この上位チームとの対戦を残していると要注意と言えるだろう。では現在12位以下のチームの残り試合はというと、こうなる([H]はホーム、[A]はアウェー、※は延期試合)。
もちろん今後さらに終盤ブーストもあるので、ここからがリーグ戦の醍醐味とも言えるが、G大阪の危機意識が高まるのも無理はない。
だが、ここから残留できれば奇跡の1年として記憶に刻まれる年になるはず!! そしてそうなってこそ、解任された監督に顔向けもできるってもんです。だからガンバって!! で、ここからの戦いよりも大事なのは、来季の編成どうするかってことにホントはなるんですけどね。
[著者プロフィール]
森雅史(もり・まさふみ)/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。



