G大阪・松田浩監督が初取材対応「何かが変わる」布陣変更、片野坂前監督への思いも

G大阪の松田浩監督が19日、就任後初めて取材に応じた。残り10試合で17位とJ2降格圏に沈み、クラブは片野坂知宏監督を17日に解任。コーチとして9日にチームに加わった松田氏が監督に昇格した。初戦はアウェー広島戦(20日・Eスタ)になる。以下は約40分に渡った会見の要旨。

―広島戦に向けてチームに落とし込んだ部分は?

「たくさんを落とし込む時間はありませんでしたが、自分がこれからやろうというサッカーの大枠のところ、四つの局面(攻、守、攻←→守の切り替え)ですね。その局面ごとにどういう考え方でゲームを進めるか、最初はミーティングの形式と、トレーニングの形で。今日はセットプレーが中心なので、最初の2日間(17、18日)で行ってきた」

―松田監督と言うと、4バックの堅守とサイド攻撃のイメージが強いが

「そうですね。基本的にはそういうことをやりたいと思いますけども、前監督からの流れもありますし、その辺りは考慮に入れながら考えていきたい」

―J1での指揮は08年の神戸以来、14年ぶり。今のJ1へのイメージは?

「J1だからJ2だからというよりは、サッカー自体が非常にインテンシティーが上がっていることが一番強い印象。選手自体もアスリート化している。あとはやはり以前に比べてプレーモデルとかいうものが、やっぱりチームにあって、日本のサッカーにも浸透してきたなっていうイメージがありますね」

―片野坂前監督は、相手に合わせて守備をつくったが、松田監督のゾーンディフェンスは自分たちのポジションありき、という印象もある。短時間での落とし込みへの見通しは?

「以前に比べると、育成年代で私が趣向するサッカーみたいなことを、経験してきてる選手が多い。比較的落とし込みは早く進んでいくと感じてます。理解レベルの高い選手が揃っていれば、そんなに時間をかけずに、やっていくことができるのかなっていう感覚はあります」

―今のG大阪の課題は?

「少し人につられるような守備があったり、それによって一番危ないエリアが、ちょっとオープンになりすぎているというか。点を取られる場所はある程度決まってるわけだから、そこの辺をしっかり押さえる。少しバランスよく改善することが失点を防ぐことになるし、良い守備をすればいいゴールに繋がるっていう形になる」

―残り10試合、守備をベースに安定した戦いは大前提か

「守備が安定するということはやはり、勝ち点3を取っていく上で大事なこと。攻撃の方でも、個人のアイディア次第みたいな部分を、チーム戦術としての攻撃をしたい。ある程度パターン化することもあるでしょうし、相手がそれを読んでくれば、その逆をつかなきゃいけない。そういう意味でパターンとイマジネーション、クリエイティビティのバランスで、連動性のある攻撃をしていく

」 ―長崎時代は守備が苦手な選手もうまくチームとして補い、2トップも採用。今のG大阪には守備が課題で起用されていない外国人もいるが、うまく使って武器として用いていきたいか?

「ブラジル人選手も攻撃陣に多いですけど、彼らもハードワークが報われるような形の守備の仕組みとか、この範囲だけでいいからやってくれとか、タスクをしっかり与えていけば、最終的には良い形でボールを取れて自分たちが得点する機会が多くなる。そういうロジックを説明をしていけば、自分が得をするってことがあるとそれをやろうっていう気持ちにはなると思う。そういう考え方を持ってもらえるような説明だとか、指導をしていきたい。11人全員がハードワークをシェアするようなディフェンスができれば」

―監督就任のオファーをクラブから受けた時の率直な気持ちは?

「片野坂前監督を何とかいい形で支えたいっていう気持ちで、コーチングスタッフに入らせていただいた。こういう形になったことは、やはりちょっと残念でしたし、片野坂監督の気持ちを思うと、本当に無念だろうなと。僕もついこの前(長崎で)解任されたわけですから、本当によくわかりますし。しかしクラブとしての決断があった中で、少しですけどチームを見せてもらった中で、自分が少しでも役に立てればっていうような何かそういう使命感みたいのは、なかったわけではない。難しい決断でもありましたけど、何とか役に立ちたいっていうそれだけですね。決めた以上は、もうあんまりいろんなことはもう考えず、とにかく目標達成するために、やれることを全部やるために、次の日のミーティングの準備からトレーニングの準備、スタッフからの情報集めから全部をとにかくやろうと決めた。1ヶ月分ぐらいをこの2、3日でやったぐらいの感覚があります。そこに忙殺されてるだけで、あんまりいろんなことをもうそれ以降は考えている余裕はないってのが正直なところ」

―低迷が続くチームだが、力のある選手はいるのか?

「そこはまだはっきりわからないです。良い選手かもしれないけども、ちょっとそう映らないと感じるときもありますし、やっぱり上手いなっていうふうに感じるときもある。プレイヤーは、ハードとソフト両面がそろって、本当にいい選手になると思います。いい素材、いいタレントであっても、輝くときがあれば輝かないときもある。何とか少しでも輝けるような仕組みを作ってあげればいいかな、と今考えてるところ」

―選手は自信を失っていないか?

「なかなか結果が出ないことが続くと、あまりいい状態ではなくなるのは間違いない。そんな中で、何かを変えざるを得ないという状況。そこで、何か起爆剤みたいな形で監督交代もあるでしょうし、例えばシステムの変更で、もしかしたらうまくいくかもしれないと思ってもらうことも大事。サッカーの中身に、いいも悪いも、正解はないと思う。ただ、今うまくいってないなら、変えるってことが正解になる可能性が高いんじゃないかと。そこに自分が持ってるものを全て伝えて、勝つ確率が上がる雰囲気、心持ちにしてあげることができれば、結果というのはおのずとついてくるのかなとも思います。こうなった以上、何かが変わる。スタメンも変わる、システムも変わる、監督が変わる。何か変わるってことが、何かのきっかけだとか、選手の気持ちが変わる拠り所になってくれれば、いいかなと思います」

―片野坂監督とは現役時代からの間柄だったが、今回の監督交代に当たって話したことは?

「本当に短い間だったんですけども、上手く力になれなかった。逆にプレッシャーがかかった状態になってしまったとしたら、申し訳なかったと思う。複雑な気持ちでしたね。ただ交代が決まってからは、何かようやく昔からの先輩後輩に戻れたような感じがして。僕としてはもう申し訳ないっていう気持ちは言わせてもらいましたし、片野坂前監督も、申し訳ないけど、後よろしくお願いします、という気持ちを伝えてくれました。一番無念な思いをしてるのはやっぱり片野坂前監督でしょうから、カタのためにもやらなきゃいけないっていう気持ちで、今まとまってるんじゃないかなと思います」

―現代サッカーは選手がアスリート化しているという言葉があったが、G大阪の選手たちの印象は?

「最初に見たときには、そこが一番もしかしたら欠けてるとかなとは思いました。守備でも闇雲に行くことはよくないですけど、ここっていう取りどころは強度高めて取り切るメリハリは必要。攻撃に関しても、もっと無駄走りがあったりだとか、おとりの動きがあったりだとか、素早いサポート、追い越していく動きがあったりとか、ものすごくエネルギーが必要なところだと思う。あとはフィジカル的な強度だけじゃなくて、頭のメンタル的な強度。一瞬たりとも切れないだとか、ぼうっとする時間がないとか、知らんふりして(パスを)出させて取るだとか、そういう駆け引きも含めて、強度が今のサッカーには必要と思っている。そのディテールで勝負が決まってくる。そこは要求して高めていきたい」

―長崎時代も苦しいチームを浮上させ、神戸では残留争いを勝ち抜いた経験も。選手にここで訴えていきたいのはどういった部分か?

「コミットメント(責任のある約束)っていう言葉がありますけど、ワンプレーワンプレーにかける気持ちです。サッカーはどんなに劣勢でも勝てる可能性がある。柔道の技ありのように、少しずつポイントが入るとか、クロスバーに2回当たる1点になるとかもない。力がそのまま結果に出るスポーツではない部分もある。結果っていうのは、メンタリティが引っ張ってくるというか、そこで決まってくる部分が大きい。それだけでは絶対勝てないですけど、僕は中核を占めていると思っている。こういう状況になると、残留できなかったらどうしようとか、ネガティブなことを考えがちになり、体は硬直してパフォーマンスが低下するのも当たり前。だから、メンタルのところはすごく整えてもらいたい。全力を尽くすことさえすれば、それ以上は何も責任を負わなくていい。どんな状況になっても目の前のプレーだけ集中し、その結果どうなったっていいぐらいの感覚を持ってもらうことが大事。勝負へのこだわりは大事ですけど、結果はどうなるなのか本当にわからない部分がある。そこには全然責任なんか持たないでほしい。そこに責任を取らなきゃいけないのは、監督だけ。だからもう全力を尽くすことだけ求めたい。(試合が)終わってから、少しさぼってましたとか言わなければ、もうそれだけでいい。100パーセント、全力を尽くすことにはプレッシャーを感じてほしい。だけど、結果には全然プレッシャーを感じてほしくない」

https://hochi.news/

Share Button