U-20W杯予選に向けた最終選考。U-19日本代表がベトナム戦で見せた収穫、注目選手は?

U-19日本は合宿最終日にU-19ベトナム代表と対戦。U-20ワールドカップ(W杯)予選に向けて、冨樫剛一監督は好材料を積み重ねている。育成年代にも造詣が深いサッカージャーナリストの川端暁彦氏が見た強化試合、注目選手とは?

選考作業は実質終了

来年5月にインドネシアで開催されるU-20W杯に向けてのアジア1次予選を控えるU-19日本代表は16日から18日にかけて3日間のショートキャンプを実施。最終日の18日には、日本で強化合宿を張っているU-19ベトナム代表と対戦した。

冨樫剛一監督の口からハッキリと「最終選考」という言葉が漏れ、選手からは「生き残る」といったワードが出てきたことが象徴するとおり、予選に向けたチーム作りとメンバー選びの場である。

とはいえ、直前の日曜日に試合をしていた選手も多く、「全員で練習できたのは1日だけ」(冨樫監督)。それだけに、最後の練習試合、しかも国際試合という枠の中で選手個人、あるいは「まだ見ていない組み合わせ」(同監督)を試せる意義は大きかった。

U-19年代は日常的にクラブで試合に出ている選手と出ていない選手のギャップが最も大きい世代で、歴代の監督はこの点に頭を悩ましているが、冨樫監督もそれは同じ。「先月の出場時間が3分とか4分の選手もいた」と苦笑いを浮かべる。そしてだからこそ、そうした選手たちの状態を観察する場という意味付けもあった。

「Jリーグで多くの試合に出ている選手たちは3本目に多く出てもらった」と指揮官が語ったように、この練習試合における先発のセレクションにもそうした意向が見え隠れする。お互いに未知の組み合わせも多くなる中で、攻撃の意図が噛み合わないようなシーンも見られたが、「絶対に結果を残す」と宣言していた高校3年生のFW熊田直紀の見事なヘッドが突き刺さる形で1本目から日本が先行する形となった。

2本目以降も、国際試合ならではとも言える遠慮のない球際での激しい攻防なども体感しつつ、さまざまな選手配置をテスト。また先のAFC U-23アジアカップでは大会中にコロナ禍によって選手が続々と離脱していったことも踏まえ、あえて普段とは異なるポジションで起用する選手も見られた。「楢原慶輝の左サイドは良かったね」と指揮官が笑顔を見せたように、意外な適性を感じさせる選手もいるなど、収穫も少なくなかった。

3本目は「中心選手としてやってやるという気持ちはある」と語るG大阪の売り出し中のFW坂本一彩の2得点などが決まって、結局は5-0の快勝となった。ほぼトレーニングはできない中、お試し布陣の傾向が強かったことも加味すれば、全体としては及第点の内容と言えそうだ。

これで選考作業は実質的に終了。アジアの1次予選は、中1日の日程での4連戦。しかも酷暑の東南アジアでそれをやるのだからターンオーバーは必須になるが、さらにコロナ禍という要素も加味しながら戦うための材料は得られたと言えるだろう。

来月にラオスで行われる予選には、合宿に参加した選手たちをベースにしつつ、所属クラブの意向で招集できなかった選手などを加えたラインナップで臨むこととなる。

注目選手

■FW坂本一彩ガンバ大阪

見事な2得点で気を吐いた。フランスで行われたモーリスレベロ杯を通じて欧州の基準を体感。「初速が違うし、フィジカルの強さが凄かった」と意識を改め、フィジカルコーチにメニューを作ってもらって世界仕様を意識した強化に励んでいる。

■FW熊田直紀(FC東京)

クロスに合わせる見事なゴールを突き刺すも、「1点じゃダメ。もっと決められた」と、1ミリも満足した様子を見せず。恵まれた体躯としなやかな体さばき、そしてゴール前で見せる存在感は天下一品。あとは「もっと信頼されるために結果を出す」のみ。

■MF石渡ネルソン(セレッソ大阪)

2歳下に当たる飛び級招集の高校2年生ながら、ポテンシャルの高さを随所に披露。クラブで厳しく指摘されてきた止める・蹴るの部分でも確実な進歩を見せつつ、年下であることを感じさせないプレーぶり。まだまだ伸びしろもたっぷり残している。

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