G大阪 監督解任の片野坂氏「試合ごとに少しぶれてしまった」と後悔…担当の金川誉記者が「見た」
サッカーJ1のG大阪は17日、片野坂知宏監督(51)の解任と、松田浩コーチ(61)の監督就任を発表した。24試合を消化して5勝7分け12敗の勝ち点22。J1残留を争う清水戦(14日)に0―2で敗れ、自動降格圏の17位に転落し、クラブは監督交代を決断。2012年以来、2度目のJ2降格の危機を迎える低迷と、残り10試合でクラブが監督交代に踏み切った背景を、G大阪担当の金川誉記者が「見た」。
17日の午前11時30分。G大阪から発表された解任リリースには、片野坂監督のこんなコメントが記されていた。「残念ながら私の力不足によりご期待に応えられず、悔しい思いと残念な結果しか出す事ができませんでした。本当に申し訳ありませんでした」。実直な指揮官の無念さがにじんだ。
昨季も残留争いを演じたG大阪にとって、コーチ時代に数々のタイトル獲得に貢献し、攻撃的なスタイルで大分を6年間率いた片野坂監督の招へいは、復権への切り札だった。クラブは長期政権を期待し、今季は土台づくりの年と覚悟。しかし開幕直後、FW宇佐美がアキレス腱(けん)断裂により長期離脱すると得点力不足に。コロナの影響もあって戦術浸透も遅れ、戦い方も定まらぬまま残留争いに。今夏には元日本代表FW鈴木らを補強したが、浮上のきっかけをつかめぬままにいた。
6月29日の広島戦以来、勝利から遠ざかり、クラブは7月30日からの京都、福岡(コロナの影響で延期)、清水戦の3試合で勝ち点6以上を続投ノルマに据えたという。しかし、2試合で得た勝ち点は1。清水戦の内容は悪くなかったこともあり、G大阪の小野忠史社長(61)は「できることなら片野坂氏と最後まで心中したい、というのは本音でした」と明かした。しかし、後半に守備で踏ん張れず敗れた結果を見過ごすことはできず、決断を下した。
解任を伝えられた席で、片野坂監督は「試合ごとに少しぶれてしまった」と、後悔を口にしたという。相手を分析し、試合ごとに選手も入れ替えながら戦う指揮官のスタイルは、浸透に時間がかかる。本人も悔やんだ“ぶれ”もあってか、狙いが十分に伝わらない試合もあり、一部選手から不満の声が上がっていたことも事実だ。
攻撃的なスタイルの定着がG大阪の悲願だが、片野坂監督の解任によって振り出しに戻る。今月9日にコーチ就任後、すぐに指揮を執ることになった松田監督は現状、今季限りの契約。守備構築に定評のある松田監督の下で、残り10試合はなりふり構わずJ1残留のためだけに戦う。