【G大阪】降格危機に理想の攻撃的サッカーは小休止 残り10戦、残留へ現実的な戦い/解説
J2降格危機にあるガンバ大阪が、17日に片野坂知宏監督(51)の解任とコーチだった松田浩新監督(61)の就任を発表した。
ヴィッセル神戸、清水エスパルス、ジュビロ磐田などの残留争い組に続き、自動降格圏の17位に沈むG大阪も、残り10試合となって、大きな決断をした。
華麗なパスをつなぎ、自分たちのスタイルで攻め続ける-。各時代で程度や内容の差はあったものの、G大阪が理想とする攻撃的なサッカーは、この監督交代で、ひとまず小休止することになりそうだ。
主にDFとしてサンフレッチェ広島で育ち、02年ヴィッセル神戸監督時代は、残留争いを勝ち抜いた経験のある松田新監督は、4-4-2システムで守備重点の采配が特長。前線にターゲットマンを置くなどロングボールも多用し、現実的なサッカーで勝ち点を奪いにいくことが予想される。残り10試合となり、戦術的なトライをしている時間はない。
選手でいえば、レアンドロ・ペレイラ(31)とパトリック(34)のブラジル人FW2人がカギを握る。故障や体調不良の可能性があったものの、片野坂体制ではLペレイラは6月以降、ほぼ構想外のような扱い。パトリックも出場機会を減らしていた。
Lペレイラは前線からの守備に課題があるものの、実際に20年まで在籍した広島では、苦手な守備を免除してもらい、城福当時監督が使いこなした。20年は15ゴールと大活躍。その特長を理解した上でG大阪は獲得したはずだが、ほぼ戦力にできていない。
ポルトガル語、英語に堪能な松田新監督は、意思疎通を図った上で、この短期間で助っ人をどう再生できるか。故障がなければ、ブラジル人FWは試合に絡んでくるはずだ。
解任が決まった16日、クラブハウスに姿を現した片野坂監督は、この日発表された退任コメントの「残留という目標に向かってチーム一丸となり、必ず達成できるのを信じております」という思いを、関係者に託したという。
昨季から続く、この極度の成績不振は監督だけではなく、クラブ全体の責任であることは間違いない。その検証は後日、クラブ内で行われるだろうが、今は理想のサッカーをいったん小休止させてまで、実現しないといけない残留という目標がある。20日の敵地での広島戦から、松田新監督の下でクラブの運命を懸けた戦いが始まる。