清水エスパルス勝利もガンバ大阪に「苦しめられた試合」になったワケ【G大阪vs清水】(1)
【明治安田J1リーグ 第25節 ガンバ大阪vs清水エスパルス 2022年8月14日 19:03キックオフ】
試合終了の笛を聞くと、立田悠悟はその場に倒れ込んだ。その奥では片山瑛一が膝に手を当てている。
敗戦後、と説明書きがあればそうとも見える光景だが、手前ではガンバの選手が片山と同じように膝に手を当てている。
引き分けでもない。勝ったのは清水だ。
それだけガンバに苦しめられた試合だった。
試合後の両監督のコメントからも、そういう試合だったことがわかる。
「自分たちが準備してきたことを凄くトライしてくれた」(ガンバ、片野坂知宏監督)
「ガンバは素晴らしいチームだった」(清水、ゼ・リカルド監督)
最終的なスコアは0-2だが、先制点が入るまで、ガンバは自分たちが用意してきた戦い方を展開し、清水は苦しめられた。
前週の福岡戦が中止となり、真夏の残留を巡る6ポイントマッチに向けて思う存分準備をすることができた片野坂監督は3-6-1を選択。特徴的だったのは、7月30日の京都戦に続き3バックの左に藤春廣輝を配したことだ。
■ガンバの清水対策
この日のガンバの攻撃の軸は、3バックの左右が高い位置を取るようにして数的優位を作り出し、2シャドーが自由に動き回ることで決定機を増やす、というものだった。最前線のチアゴ・サンタナからセンターバックまで、清水がチーム全体で積極的にボールを刈りに来る中央での戦いではなく、サイドを軸にチャンスを数多く作り出すことで得点の可能性を高める、というこの戦い方は狙い通りに機能した。
左サイドでは藤春が左ウイングバックの黒川圭介と2シャドーの左の石毛秀樹を押し上げ、そこにボランチのダワンも加わるパス交換が行われクロスまで進んだ。右サイドでは小野瀬康介と奥野耕平がペースを作り、飯野亮太郎の動き出しが清水を悩ませた。
清水は効果的にプレスをかけることができなくなり、ゴール前での集中力を保つことで耐える、という状態になった。
ガンバが準備した清水対策は、攻撃時だけではなかった。
清水ボールになった時には、鈴木義宜と立田の両センターバックから縦にボールを出させないことと、ボランチの松岡大起に前を向かせないことが徹底された。それによってボールを持つことが多くなるサイドバックの山原怜音と片山には、戻すかロングボールを蹴り出すかの2択を迫った。清水は通常の攻撃の組み立て方の序盤をことごとく潰された状態になり、ガンバペースが続くことになった。