【大阪ダービー直前】G大阪FW食野亮太郎インタビュー 欧州での苦悩と再起への覚悟

今夏、3年ぶりにG大阪に復帰したFW食野亮太郎(24)が、スポーツ報知のインタビューに応じた。19年にマンチェスターCに完全移籍し、欧州では期限付き移籍した3クラブでプレー。16日のC大阪戦(パナスタ)から出場可能となるアタッカーに、苦悩した欧州での3年間と、再起に向けた覚悟を聞いた。(取材・構成 金川誉)

―チームは公式戦3連敗、J1リーグは15位と苦しい状況で大阪ダービーを迎える。G大阪での再デビュー戦となる可能性もあるC大阪を前に、どんな心境か

「ダービーの重みを知るアカデミー育ちとしては、次の試合は勝つことがすべて。もし、僕がプレーするなら、ゴールに向かいたいし、全力で勝ちに向かって努力していきたい。チームとしては、僕がプレーする、しない関係なく、勝つことが大事だと思う」

―G大阪復帰に当たって、欧州での3年間の振り返りを。感じた壁はなんだったのか

「やっぱり一番は言葉、コミュニケーションに苦労した部分はある。そこは大前提として、あとはプレー強度の面はすごく言われてきた。守備のところでも、そこをがんばったら試合に出られる、と必死に取り組んだ部分。日本とはプレスのかけ方も違うし、対峙する選手が185センチ以上ばっかり。スピード感、体の分厚さ、硬さも全然違う。ギャップに苦しんだ部分があった。プレー強度は、もっと上げていかないといけない自分の課題でもある」

―1年目、マンチェスターCから期限付き移籍したスコットランド1部のハーツでは、出場2試合目で初ゴールを決めるなど順調なスタートも切った

「攻撃面では通用した部分もあった。キレ、シュートまで持っていく個人技は、監督からも評価してもらった。でもやはり試合になった時、ベースとなる部分が足りなかった。ただ、フィジカルも鍛えて、ボールを取りきれるように練習から取り組んだところは、自分の糧になっていると思う」

―最も苦しかった時期は?

「点を取って、調子がよくても(先発で)使われなかったり、そういうのが一番自分の中できつかった。結果出したんやから、使ってくれよ、って正直思ったけど、監督はチームとしての機能性、守備で機能する部分にフォーカスして決める時もあった。攻撃が持ち味の僕としては、迷ってしまったけど…。沈むところまで沈んで、落ち込んで。でもやっぱり自分の良さを捨てずにやりたかったし、それをピッチで表現するために、しっかり守備も頑張ろうと」

―ハーツでは22試合3ゴール、2年目のポルトガル1部・リオアヴェでは22試合4ゴール。3年目のポルトガル1部・エストリルでは出場9試合1ゴールにとどまった

「3年目は一番しんどかった。ポジションも、(得意な中央ではなく)サイドに張るウイングで起用されて。本当は僕が戦術にフィットしなければいけないし、監督に求められることを表現しないといけなかった。選手としての幅が広がることなのに、当時は受け入れられなかった自分もいて。それをできなかった悔しさもある。でも今そう思えていることは、成長した部分かなとも思う。G大阪では、片野坂監督から求められることは全部やってやろう、と思っています」

―欧州で苦労した中でつかんだ自信はあるか

「良い形でボールを持てば通用した。自信を持ってやれた部分は、これまでやってきたことが間違いじゃなかった、と思えた。どんどん仕掛けてシュートまで行くところは、自分の中ではすごく通用したと思う」

―G大阪から移籍後も、チームの関係者たちは動向を気にしていた。U―23で指導を受けた森下仁志監督(現ユース監督)は、食野選手に大きな期待を寄せてきた指導者のひとりだが、復帰して話す機会は?

「会いに行きました。そんなに込み入った話はしていないですけど、こんな形で帰ってきて本当に申し訳ないという思いがあって。仁志さんは、ずっと僕にやれるからって言ってくれていた分、すごく悔しいし、申し訳なさがあった。そこは伝えたかった。でもおかえりって言ってもらって、頼むで、もう1回ここでやり直して、評価される選手になればいいって言ってもらえた。もう後はないという気持ちで、期待を裏切らないようにしっかり頑張っていきたい」

―食野選手が欧州で苦労した3年間、G大阪も低迷の時期が長かった。古巣をどう見ていた?

「悔しいっていう気持ちはありました。今回オファーをいただいて、こういう状況でチームが自分に対する期待をすごく感じた。3年前にやり残したことをもう1回やり直して、チームに貢献したい」

―リーグ戦での大阪ダービーは、食野選手が出場して勝利した19年5月18日以来、6試合勝利がない

「中学校1年生でガンバに入ってから、セレッソだけには負けたらあかん、と教えられてきた。練習試合でもこだわってやってきたし、公式戦なんかちっちゃいなりにもあいつらには負けへんぞ、と育ってきた。ガンバでプロになって、セレッソには負けたらあかんやろ、って思いでやってきたんで。個人的には、あんまり負けた記憶はないんですよね。だから自信もあるし、再デビューするかどうかは監督次第ですけど、舞台としては自分の中では整ってるなと感じているところです」

―連戦中のチームとは一緒に練習する時間は短かったはずだが、同じく今夏加入したFW鈴木武蔵選手とは、コンビネーションをすり合わせてきたか?

「武蔵くんとは一緒に練習させてもらってますし、どういうプレーヤーなのか理解して、コミュニケーションをとりながらやれています。やっぱり武蔵くんは、背後に抜ける動きが特徴だから、そこを生かしたい。ゴール前ではコンビネーションで崩していけたら」

―食野選手に期待しているサポーターも多い。最後にメッセージを

「3年前、大した結果も、タイトルもクラブにもたらせないままに急に移籍した僕ですけど、SNSなどを通じて頑張れって応援してくれたG大阪サポーターの方もたくさんいる。やっぱり励みになったし、今回帰って、頼むぞとか、お帰りなさいって言ってもらえたことがすごく嬉しかった。期待も感じてるし、温かく迎え入れてくれたサポーターの皆さんのためにも、裏切らない結果を残したい。チームのために、走っていけたらなと思います」

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