【番記者の視点】G大阪、混乱の4失点大敗 そろわなかったチームの戦い方
◆明治安田生命J1リーグ第21節 川崎―G大阪(9日、等々力)
何度も、何度も、ピッチ上では選手たちによる議論が飛び交っていた。しかし失点は止まらなかった。前半だけで4失点。試合は決まった。後半はGK東口の好セーブ連発と、川崎の精度が落ちたこともあって無失点でしのいだが、シュートは0本(前半は2本)。試合後にみせたDF昌子の涙は、何もできなかった悔しさを物語っていた。
9連戦の7戦目。J1初先発となる高校3年生の18FW南野を2トップの一角に据えた4―4―2と、スタメンも布陣も変えるターンオーバーを実施した。そんな中で、立ち上がりから足並みがそろっているようには見えなかった。シンプルに裏を狙おうとする前線と、GKからつないで組み立てる意思をみせる最終ライン。前半6分にはさっそく失点した。同7分には、ビルドアップでのずれをカバーしようとしたMF奥野のスライディングが危険なタックルと判定され、一発退場となった。チームは混乱し、同20分に2失点目を喫した。
ここで片野坂監督は、布陣を4―4―1から4―3―2に変更。「0―2になって、このままだと一方的に押し込まれる状況になる。前線を2トップにして、カウンターで背後のスペースを南野と山見のスピードでチャンスをうかがうようにしたかった」と語ったが、3枚と薄くなった中盤のサイドを川崎に自由に突かれた。失点を重ね、結局4点を奪われてから「守備がうまくいかない」という選手の意見で4―4―1に再変更。その後は必死に耐えたが、攻撃までパワーを回すことはできず、一矢報いることもできなかった。
ハーフタイムのロッカールームでは議論は激しさを増し、片野坂監督は「後半、とにかく選手を奮起させて戦わないと取り返しのつかないゲームになると思った」と言う。退場者、前節から中2日で準備期間が短かったことなど、さまざまな要素はある。しかしシーズンの半分以上が過ぎても、まだ足並みのそろった戦い方ができなかったことは、チームの未熟さを表している。
後半戦からチームとして取り組んだハイプレスがはまった広島戦や浦和戦はあったが、選手や布陣が変わり、相手の出方も変わると対応できない。過密日程によりメンバーを固定できない現状も加わり、解決策をなかなか見いだせていない。天皇杯ラウンド16の鹿島戦(13日・カシマ)を経て、リーグ戦の次節は16日にホームで迎えるC大阪戦。今夏に加わったFW鈴木武蔵、FW食野亮太郎が出場可能となる大阪ダービーまでに、チームとして立ち直ることができるか。残留争いにおいても、非常に大きな分岐点となる可能性が出てきた。